ホントだ。
鶴みたいに
首のうしろが見えます。

搬入を終えたTOBIさんが
やってきました。

TOBIさん
「奥野さん、昨日寝られなかったの？」

おっくん
「いやぁ、眠りましたが、
　ネズミの睡眠のようにですね、
　寝ては起き、寝ては起き」

そうなんだ。

TOBIさん
「でも、昨日の移動中はあんまり
　緊張してなかったように思えたけど」

おっくん
「いや、ひとりになると
　何かがおおいかぶさってくるんですよ。
　ですから、できればこれ以上、
　ひとりになりたくないんです」

たいへんだ。

おっくん
「ちょっとギターの練習でもしてこようかな」

TOBIさん
「奥野さんの練習、すごいですよ。
　首のうしろが、見えますから」

何メートル？

というくらいの巨大なスピーカー。
音も驚くほどデカいです。

ここからギターの音もでるのかあ。
すごいな。

ビームを発射しているような気分に
なりそうです。

今日のライブ会場の
「味園ユニバース」って
去年映画になったんだよね。

「映画になったんですよね」

大きい会場だね。

「大きいっすね」

えーと、おっくん。
いつもにまして、
おうむ返しがひどいですよ。

「はい、もはや
　オリジナルのことばが
　しゃべれなくなってます」

おっくん、TOBIさんたちみんな
搬入とかしてるけど‥‥
そうだ、練習は？
ギターの練習しなくていいの？

「いや、もう
　うまくなんないと思うんで」

そうかもしれないけどさ、
だいじょうぶ？

「すごく他人事みたいに
　なっちゃってるんですよ。
　あいつ、がんばればいいな、って」

ああ、ああ、なるほど、
ああ、ああ、なるほどなるほど。

搬入もそこそこに、
おっくんが座ってしまいました。

みなさん、奥野のにやにやが
とまりません。
とまりません、どうしよう。

奥野さん、どうですか？
あのステージに
ギターを持って立つ気分は。

「いや、わからないです」

「立ってみないことには」

ミュージシャンとして、
荷物をつぎつぎに搬入していく
奥野テンパリギタリスト。

暗くて見えないと思いますが、
顔は、完全に
「にやにや」しています。
そう、余裕のない、
どうしていいかわからないときの
「にやにや」です。

TOBIさんのお姿も
発見いたしました。

おっくんは今日、
レ・ロマネスクさんの
ミュージシャンとして
一日がんばります。
（東京公演もあるけど）

よろしくお願いします。

ゴージャスで
ロマネスクさんにピッタリの雰囲気。

たいへん良い感じです！