私はいま、 コズフィッシュに来ています。 打ち合わせです。 本格的な、本の制作のために来ているのです。
時間どおりにうかがったら、 門番がドアの外にいました。 どう見てもデザイナーの 祖父江慎さんなのですが、 「おじょうさん、ここを通りなさるのかね」 と言ってきます。
はい、そのドアを開けないと、 私は本がつくれないのです。
「ここはな、100年前までは 本をつくっているところだったけど いまは廃墟になっとるんじゃ」
そういえば、以前はこんなに 木の葉がありませんでした。
「じゃろ。100年経っちまったからな」
ええっと、そのドアを開けて、 入ってもいいでしょうか。
「ここのドアを開けると、 時間がとんでもないことになるぞ」
それは知ってます。
「タイムスリップするぞよ」
それもなんとなく知ってます。
「その覚悟のある者だけが 通るんじゃ」
私はとうとう、ドアをあけました。 あんのじょう、タイムスリップしまして、 だいぶいま、足元がフラフラです。
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