谷川 |
これはね、アメリカ製なんだけどね、
Tシャツなんだけど、雑誌なんですよ。
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ボーズ |
雑誌? |
谷川 |
詩とか、いろんなものが書いてあるの。
それでね、アメリカではこれは、
印刷物の一種として扱ってくれるから、
郵便物扱いで郵送できたりするんです。 |
ボーズ |
へぇー。 |
谷川 |
で、日本ではね、
やっぱりそういうふうには
扱ってくれないみたいだけれど。 |
ボーズ |
アメリカでは雑誌扱いなんですね。
おもしろいなー。 |
谷川 |
内容としては日本の現代詩特集で。
それで、僕の詩も
このTシャツのどこかにあるんですけど。
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ボーズ |
あっ、ここですね。 |
谷川 |
あ、これ、これ、僕の詩なんですけどね。 |
ボーズ |
へぇー。 |
谷川 |
だから、Tシャツってもう
メディアにできるんですよね。 |
ボーズ |
そうですねー。これはあれですか、
イベントとかで作ったものなんですか? |
谷川 |
ううん、じゃなくて、これは、
定期刊行物っていうか(笑)。 |
ボーズ |
あ、そうなんだ!
続いて出てるもんなんですね。 |
谷川 |
なんか、でも、4号ぐらいで
潰れちゃったみたいなんですけど(笑)。 |
ボーズ |
さすがに無理があったのかな(笑)。
あと、これ、
着てる人が読めないっていう
パラドックスがありますね。 |
谷川 |
そうそう、それがおかしい(笑)。 |
ボーズ |
でも、これが雑誌だとしても、
べつにそう言われなければ、
かわいいプリントのTシャツっていうことで
ふつうに着られるわけだし。 |
谷川 |
そうそうそう。
「ちょっと変わったプリントだね」ってね。
アメリカでは、こういう漢字なんかが
デザインとしてよろこばれるし。 |
ボーズ |
うん、とくにいま、そうですよね。
あ、そっちにも漢字のTシャツがありますね。
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谷川 |
あ、これは中国で買ってきたんだけど、
漢字がすごいきれいなんで。
しかもバックプリントだったから、
気に入って買ったんですけどね。 |
ボーズ |
これは、なんて書いてあるんですかね?
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谷川 |
よくわかんないけど、
「語」とか「話」とか「読」とかあったから
なんか詩に関係があるんじゃないかと思って、
それで買ったんですよ。
中国語で何て読むのか知らないんだけど。 |
ボーズ |
なんか、ふつうにアメリカで
作られてそうな感じですね。
いま、漢字のものとか多いから。
逆に、日本だと、日本語のTシャツって
まだまだ少ないですよね。 |
谷川 |
あんまりないですよね。 |
ボーズ |
カタカナもなかなかないし。
逆に、アメリカのアーティストなんかは、
カタカナ使ったTシャツ作って、
それがけっこうカッコよかったりして。 |
谷川 |
あー、なるほどね。 |
ボーズ |
なんか、日本人って、やっぱり、
日本語をデザインするの苦手なんですよね。 |
谷川 |
そうそうそう、そうなの。
こっちは、日本で買ったTシャツ。
わりと最近、九州で買ったんだけど。
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ボーズ |
あ、かわいい。これはかわいいですね。 |
谷川 |
かわいいでしょう?
すごくきれいで、
しかも有機的な木綿だったから
つい買ったんですけど、よく見ると、
線がこまかーい文字でできてて、
簡単なメッセージになってるんですよ。
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ボーズ |
へぇー。かわいいなあ。 |
谷川 |
こっちも日本で買ったやつですね。
西田幾多郎っていう偉い哲学者がいて、
西田幾多郎記念館っていうところで
売ってたんですよ。書いてあるのは、
西田幾多郎先生の書なんですけど、
これぜんぶ「無」っていう字なんだ。
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ボーズ |
はー、すごいですね。 |
谷川 |
すごいでしょ?
無を背負って歩いてる、っていう(笑)。
これもけっこう好きなんですけどね。
哲学者ですらTシャツになるってのが
なんか、おもしろいですよね。
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ボーズ |
はははははは。そうですね。
その、いまって、ほんとに、
なんでもTシャツにするんですよね。 |
谷川 |
そうそうそう(笑)。
なんであろうとTシャツになる。 |
ボーズ |
なんであろうとTシャツになりますよね。
それはあるなー。
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