糸井 |
この前の地震では、 みんなが電話やらメールを 一斉に使って通じなくなりました。 そんななかでいちばん動いていたのが ツイッターだったっていうのは、 ちょっとしたおどろきでしたね。 |
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山下さん |
取材で聞いた話ですが、 ある会社の社長は、実際にツイッター上で 社員に安否の報告を求めたそうです。 |
糸井 | できますよね、それは。 |
PRさん | できますね。 |
糸井 |
ということはもう、 この先に大きな地震が起きた場合、 電話はあまりあてにしない という申し合わせを お互いにしておく必要がありそうですね。 |
山下さん |
「ああいうとき電話はつながらないよね」 という話はしておくべきだと思います。 |
糸井 |
いちばんつながるのは やっぱりネットなんですか? |
山下さん |
つながるという意味では、そうですね。 インターネットの場合は PCや端末が必要だったり 年配の方で使えない人もいたりと いくつかの条件・問題はありますが。 |
糸井 |
ツイッター、ふつうにつながったもんなぁ。 なんであんなにつながったんだろう‥‥? |
PRさん |
インターネットは、 パケット通信の分散型ネットワークというか‥‥ 要するにいろんな経路を迂回して、 なんとしてでも現地へ届こうとするのが、 インターネットの特徴なんです。 設計が、とにかく届くようになっているんですよ。 もともとが アメリカの軍事用のネットワークなので。 |
糸井 |
‥‥その話を、ぼくは久々に思い出しましたよ。 そうだわ、 そもそもが、そういうことだった。 |
PRさん |
核戦争なども想定して、 確実にネットワークが機能するために 考えられた仕組みですから、 つながりやすいのは当然なんですよね。 |
糸井 |
‥‥この言い方は失礼にあたるかもしれませんが、 PRさんはほんとうに、 ルックスがいいだけではないですね。 |
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PRさん | (笑) |
糸井 |
時計のアイコンしかお見せできないのが ぼくはもう、こころから残念(笑)。 やっぱり写真、お撮りしましょうか。 |
PRさん |
いや、大丈夫です(笑)。 実はいまの話、 ツイッターのフォロワーの人から 教えてもらったんです。 |
糸井 |
そうなんですか。 いや、でも、 はじめて明快に説明されましたよ。 「なんでこんなにネットは通じるんだ?」 って、みんな思ってましたよね。 |
PRさん | 「もとが軍事用だから」という理由でした。 |
糸井 |
なるほどなぁ。 ツイッターなんかは 文字データで、あの分量が届けばいいわけだから、 ぜんぜん大丈夫ですよね。 |
PRさん |
そのあたりの話は 私どもNHKの、 『IT ホワイトボックス』という番組のなかで ときどき説明しておりますので、 ぜひ一度ご覧ください(笑)。 |
糸井 |
それはもう、 リンクを貼らせていただきます。 |
PRさん | よろしくお願いします。 |
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糸井 |
ええと、じゃあ電話は‥‥ みんなが最初に頼る電話っていうのは 今後も災害時には あんなにつながらないものなんでしょうか。 |
山下さん |
そうですね、 携帯電話の会社に聞いたことがあるんですけど、 通話というのは、 たくさんの人が一度にかけるから 止まるのではなくて、 そもそも携帯の会社が絞っているのだそうです。 |
糸井 | あ、蛇口を締めちゃってるんだ。 |
山下さん |
はい。 通話が集中してパンクすることを防ぐために。 ですから、混み合ってかからないんじゃなくて、 もう、かからないようになっている。 |
糸井 |
なるほど。 みんな意地になって、かけ続けますよね。 |
PRさん | あれは、かけても無駄? |
山下さん | 無駄です。 |
糸井 | そうかぁ。 |
山下さん |
だから、一所懸命リダイヤルをするよりも、 携帯メールを1本送ったほうが つながる確率は高いんです。 通話とパケット通信は別に管理されているので、 メールの方がつながりやすい。 |
糸井 |
じゃあ、電話が通じなくなったときに 「あわてずにこうする」っていう約束は ぜひ、しておいたほうが‥‥ |
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山下さん | いいですね。 |
糸井 |
会社で、 「半年に1回はそのことについて 話し合う機会を持つ」とか。 |
山下さん |
ええ、必要ですね。 組織とか会社の場合、 災害発生時の安否確認というのはかなり重要、 といいますか、 いちばん最初にやるべきことだと思います。 それをしないと心理的に不安になって、 ほかの作業ができなくなってしまう。 |
糸井 | そうですよね。 |
PRさん |
安否確認に関しては、 会社のルールだけでなく、 家族のルールや友だち間のルール、 もしかしたら地域コミュニティのルール。 いくつかのフェーズがあると思うので それぞれでルールづくりをして、 定期的に「こうだよね」という 確認をするのがいいのかなと思います。 |
山下さん |
そうですね、 社員同士の安否はわかっても、 家族の安否が確認されなかったりすると、 もう、仕事どころでないですから。 |
糸井 |
じゃあ、あれだ、 安否確認のチェックリストをつくりましょう。 |
PRさん | チェックリスト。 |
糸井 |
災害に備えておく「モノ」の チェックリストはよくあるけど、 「安否確認チェックリスト」っていうのは たぶんないですよ。 会社、家族、友だち、恋人、学校、 それぞれのルールをメモしておくリスト。 |
PRさん |
なるほど。 それぞれで定期的に話し合いをして 決めたルールをメモしていく。 |
糸井 | 「災害ダイヤルを活用しよう」とかね。 |
山下さん | ああ、それはすごくいいと思います。 |
糸井 |
立ち入った質問で恐縮ですが、 山下さんは、 奥様と安否確認のルールについて 話し合ったことは‥‥? |
山下さん | ‥‥してなかったです(笑)。 |
糸井 | そうですか(笑)。 |
山下さん | これからは、ちゃんとしておかないと。 |
糸井 |
そうですね、 愛しているがゆえに、心配ですから。 |
山下さん | はい(笑)。 |
糸井 | PRさんは、どうでしょう? |
PRさん |
私と、私の母のあいだでは、 「安否確認をしない」 というルールをつくっています。 |
山下さん |
お。 しないんですか。 |
PRさん |
大きな災害があったとしても、 生きていれば、いずれ連絡はとれますから。 |
糸井 | はい、はい。 |
PRさん |
だから、そういうときは ほかの人の邪魔をしないで、 連絡はしないでおこう、と。 |
糸井 |
そのジャッジ、賛成。 うちもそうしますよ。 |
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PRさん |
安否は1週間くらいでわかるから、 やきもきするよりも その時に自分ができることをがんばろう、 ということを母親に言われてるんです。 「何かあってもぜったいに 安否の電話をしてきちゃダメよ」って。 |
糸井 |
かっこいいお母さんですね。 それはやはり、 お母さまも神戸の震災を経験してるから‥‥。 |
PRさん | それは大きいです。 |
糸井 |
じゃあ、神戸の震災を経験してる人のほうが もしかしたらそのへんは‥‥ |
PRさん |
割り切ってるかもしれないです。 すごく「運だ」と思ってるところがあるので。 生きていれば会える、 そうでなかったら後で悲しめばいい、 そういうふうに考えています。 |
糸井 | その強さは、やっぱりすごいですよね。 |
□大きな災害時に電話はほとんどつながらない、
ということを理解しておく。
□最もつながるのはインターネット。
携帯メールも、
電話にくらべればつながりやすい。
□企業にとって、
災害発生時の安否確認は最優先事項。
その方法を全員で話し合う機会を、
定期的に持つべき。
□安否確認のルールは、
家庭、友人、地域、学校など、
様々なフェーズごとにつくっておくべき。
それぞれのルールを忘れないよう、
チェックリストでメモしておくとよい。
(つづきます)