糸井 |
まあ思えばさ、
マンガ雑誌が成り立ってることもね、
ふしぎな話ですよね。
昔は、電車の中で読んで、って
怒られたようなものが、
たくさんの人にご飯食べさせてる。 |
さくら |
だいたい私の職業自体が(笑)、
いっつも思うんですけどね、
必要ないんですもん、ほんとは。
幼稚園のころからやってたこと、
まだやってるっていう。
ねぇ、ただそれだけのことが
職業だってことになってる、
っていうだけなんで。
ほんとにね、マンガ家とか、
いろいろものを書く仕事っていうことに、
私、いまだに、
なれたっていうことが嬉しいんですよ。 |
糸井 |
ん〜、あ、そう。あ〜。 |
さくら |
うん。だって、なれるはずがない。
たとえばモーニング娘。になりたいって
思ってたのと同じなんですよ、
自分が小っちゃいころ、
マンガ家とかになりたいって思ってたこと。 |
糸井 |
その意味では、
いつでもやめられるっていうふうに
なっている状態っていうところまで、
たぶん作家っていくでしょう?
どうなんですかね?
たとえばね、アイドルなんかは、
やめるって前提で生きてますよね。 |
さくら |
ああ、そうかもね。 |
糸井 |
つまり、口では言わないけど、
心の奥では、
54歳のアイドルはいないでしょう。 |
さくら |
そうですよね。 |
糸井 |
それはさんざん天地真理とか
見てるわけだから、
あれはちがうな、って
思ってるんだと思いますよ。
で、その意味では、今のゴマキは、
10年後のゴマキとはちがうものですよね。
で、それを知ってて今、
咲いてるんだと思うんですよ。 |
さくら |
うん、うん、うん。 |
糸井 |
で、ほんとは、作家なんかでも、
その気持ちってどっかに
あるんじゃないかって
いう気がするんですよ。 |
さくら |
マンガ家はもしかしたら、
とくにあるかもしれないですよね。 |
糸井 |
とくにギャグ系はね、
ものすごくアイドルに似てますよね。 |
さくら |
そうですよね、うんうん。 |
糸井 |
そうするとさ、ほんとは、
ぴょんと飛び石を渡って、
ちがうことをしたら、
その人の持ってる力が
もっと活きるってことを、
ほんとは持ってたんじゃないか。
で、ももちゃん、
飛び石渡ってるよね、実際。 |
さくら |
そうなんですよ、勝手にね。
だから、なんかやめる気も
したこともないんですよ、べつに。 |
糸井 |
やめてるんですよ、無数に。 |
さくら |
うん、いろいろなことをね。 |
糸井 |
やめるのって、
よっぽど必死になんない限りは‥‥。 |
さくら |
よっぽど必死になんない限りは、
言えないかも(笑)。 |
糸井 |
だから、必死にならないように、
生ぬるくしてるわけですからね。
ただね、たぶんももちゃんも
そうだと思うけど、
必死になる局面がきたときに
必死になれるって自信、あるんだよね。 |
さくら |
ああ、それはそうかも、うん。 |
糸井 |
なんか現役なんですよ、そこは。 |
さくら |
うんうんうん(笑)。 |
糸井 |
なんなんだろうね、
こんなにいいかげんなことばっかり
なのにね。 |
さくら |
だから、もし
今までやってきたような事を
同じぐらいの仕事量で
やってくださいって言われたら、
たぶんできるんですけど、
やりたくはないんです。
もう次に遊んでますから。 |
糸井 |
自分がやってることを渡していかないと、
新しいアイデアが出せないんだよね。
つまり、アマンも1コで
終わりにしちゃったら、ダメですよね。
アマン、こんどはブータンですよ? |
さくら |
すごいですね。ブータンって
直行便あるんですか? |
糸井 |
だから、そういうことになれば
作っちゃったりするんじゃない?
ブータン観光局としてはさ、
1週間に1本でも直行便が
あったほうがいいんだったら、
国として考えるでしょ。
それ、僕聞いたばっかりなんですよ、
養老孟司さんがよくブータンに
行くんですって。
なぜかっていうと、
蝶々採りに行くらしいの。
昆虫採集に。
で、養老さんは、
アマンが好きなんだって。 |
さくら |
いいですねぇ。 |
糸井 |
ちょっといい話でしょ?
やっぱり、みんなね、
天国のアイデアが見たいんだよ。 |
さくら |
うん、そうなんですよね。
|