糸井 |
欽ちゃん、朝の8時から、夕方4時まで、
1回も座らずに、
人に説明してるんですよ、
来る人、来る人。 |
さくら |
欽ちゃんが?! 泣けるねぇ。 |
糸井 |
泣けますよ。
で、選手のほう、
ぜんぜん見ないんですよ。
選手を見ちゃうと、
ああだこうだ言いたくなるし、
プロがちゃんと見てるんだから、
僕が口出しちゃいけないと。 |
さくら |
すごい。 |
糸井 |
そうするとね、やっぱり
スポーツ新聞はね、うれしいんですよ。
面白いことをしている欽ちゃんの
写真撮っただけで、
4面でも5面でも、
大っきい写真載せられるんですよ。
で、まったく無名の、
あんまり上手じゃない選手のことを、
「こないだね入った××は、
ここでなら私も一流ですね、
なんて言ってた」なんて書くだけでさ、
もうさ、お客さんはすっかり
馴染みになっちゃってるわけだから。
見栄晴の役割ができるわけ。 |
さくら |
のぞみ、かなえ、たまえ(笑)、
とかも。
すごい、なんか。
ホントに夢の球団ですね。 |
糸井 |
そうやって、ほんとうに、
みんなの球団になっちゃうの。
これ、ぜんぶがぜんぶ
わかってたはずはないと思うんだけど、
やっぱりね、ユートピアへの
アイデア出しだと思うんだよ。 |
さくら |
うん。そうですよね。 |
糸井 |
驚いたでしょ?
だって、球団名考えてね、
っていわれたから、
うん、考えてるんだけど、
たとえばこんなのが、って、
出したのが、
「ゴールデンゴールズ」だったの。
これで良ければいいと思うんですけどね、
って言ったら、
そのまま翌日発表しちゃったのよ。
デザインも、6、7通り急いで作って、
どの方向でいくかっていうのを
ファックスしたんですよ。
そしたら、もう新聞に載ってるの。
スタッフジャンパーみたいなのに、
もう印刷されてるの。 |
さくら |
すごい(笑)。早いですね。早すぎ。 |
糸井 |
参ったろ? ふつうだったらね、
デザイナーが困っちゃう仕事なんです。
でも、欽ちゃんのほうが正しいって
思わせる何かがあるの。
あ、そうだ!
欽ちゃんの知らないうちに、
俺らが勝手に、
○○○○・○○○○○○○○○、
(すみません、ヒミツです!)
っていうのを作っとこうか?!
欽ちゃんより早く。
ももちゃん、それ、
マーク作ってくれない? |
さくら |
欽ちゃんより早くって(笑)。 |
糸井 |
作ってくれる? |
さくら |
うん、作りますよ(笑)。
って、ここでこう返事すると、
ものすごい早さで決まってしまいそうで
ビビってますけど。 |
糸井 |
そうすると、
参加したい人が出てくるかもしれない! |
さくら |
出てくるといいけど‥‥(笑)! |
糸井 |
俺ね、ほんっと今、勉強してるんですよ。
つまり、こんなことを
俺が言えるっていうのも、
いっちばん自由な考え方として
言ってますよね。でも、この刺激は、
やっぱ欽ちゃんにもらったんですよ。
ももちゃんでさえ、そうでしょう? |
さくら |
うん。欽ちゃん、刺激されますね、
確かに。 |
糸井 |
力がほんとはある人が、今までの財産を、
いわばぜんぶ投げ出して、
そこに広げて大道芸を
やってるみたいなもんじゃないですか。
それにね、やっぱりね、打たれるんですよ。 |
さくら |
うん。賭ですからね、一か八かのねぇ。 |
糸井 |
で、負けのない賭なんですよね。
やっぱり、おとなだなと思うのは
そこなんですよ。
ぜんっぜんこれは負けがないんですよ。
で、これで損することも、
なにもないんですよ。
このチームたぶんね、
ボロ負けすると思うんですよ(笑)。 |
さくら |
負けるでしょうね、たぶん。 |
糸井 |
で、そのときにまたね、
客が試されるんですよ。
つまり、欽ちゃんの
ゴールデンゴールズのファンになったものの、
ちっとも勝たねぇじゃねぇか、
っていうやつが絶対現れるんですよ。
そのときに、あ、それぐらいだったら、
強いチームの応援して、って、
言うと思うんですよね。 |
さくら |
そうですね。
勝つチームを作ろうっていう事だけが
目的じゃないんですし。 |
糸井 |
謝り方がいいかもしれないし、
負ければ負けるほど、あとでやる余興を
面白くするかもしれない。
もうなんとしてでも、
お客さんと一緒に遊びたいんですよ。
で、これ、欽ちゃんが言ったことと、
俺が言ったことが混じってくるんですよ、
だんだん。
これがね、クリエイティブなんですよね。
俺ね、今だから、いろんなものが勉強になる。
コム デ ギャルソンも勉強になるよ。
おんなじことやってると思うんですよ。
ももちゃんのこれもそうですよ。 |
さくら |
恐縮です。 |
糸井 |
おんなじことやってる。 |
さくら |
おんなじなんですよね(笑)。 |
糸井 |
みんながね、買えないものにね、
一生懸命取り組んで、
しかもそれを楽しんでる。 |
さくら |
でもそれも、やっぱね、
必死で頑張った時期が
あってのことなんですよ。 |
糸井 |
そうだね‥‥そうだなぁー。 |
さくら |
だって、それ、
急にできないですよ、若い人は。 |
糸井 |
筋力が必要なんだよね。 |
さくら |
いい年になってきて、
やりたいことやれるようになってる人って、
1周回ってるもん、絶対。 |
糸井 |
そこをどう教えるかっていうの、
また次の課題だね。
頑張れっていうと、
昔の頑張れとおなじになっちゃうじゃない。
マウンドの下には金が埋まってるんだ
っていう説明の仕方があったわけですよ。
あるいは、一振り一振りで、
できる血マメが、きれいな奥さんと、
白い邸宅とキャデラックなんだよ!
っていう‥‥。
でも、それだけじゃなくってさ、
口で言うときには
デタラメなこと言わないと、
世の中は変わんないんですよね。 |
さくら |
そうですよね。ある程度のハッタリは
必要かもしれないですね。 |
糸井 |
これ(神のちからっ子新聞)もそう。
こんな表紙じゃないと。 |
さくら |
こんな表紙じゃないとね(笑)。
新聞ですから。
でも、これは大変なんですよ、
ほんとに。もう、
ちょっとやそっとで終われないんです。 |
糸井 |
この短さでありね。 |
さくら |
うん、ひとつひとつの項目は
短いんですけど、
全部続いてるんですよ、ちょっとずつ。
ばかばかしいけど壮大な計画なんです。
壮大な計画のもと、
アドリブ性も重要な作品なんです。 |
糸井 |
これも、じゃあ、
欽ちゃん球団じゃないですか! |
さくら |
欽ちゃん球団ですよ、だから(笑)。 |
糸井 |
ね!
‥‥ももちゃん、おなかすかない?
なにか食べに行こうか。
ってところでテープも止めて、
こんどはオフレコの話をしようよ。 |
さくら |
そうですねー。楽しかったです!
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