#05 桜の季節、桜の思い出。


たっっっくさんの写真が届いてます!
人力桜前線制作班のメンバー、
「読みが甘かった‥‥」と
うれしい悲鳴をあげています。
なにはともあれ、
たくさんのメールをどうもありがとうございます!

で、そちらはどうですか?
咲いてますか? つぼみですか?
まだ雪? 今朝から曇り? はげしい雷をともなう雨?

どういう場所で読んでいようとも、
いま、桜が咲いていようと咲いていまいと、
桜への思いはきっと共有できるはず。
今日もたくさんのメールを紹介させていただきます。

小見出し わたしの桜自慢

メール よく晴れた日に、桜の木の根元に立ち、
満開の花ごしに青空を見る。
これが私の桜観賞法です。
桜色と春先のやわらかな空色のコントラストが
もう、うっとりするほどキレイなのです。
いつごろからそうしているのか覚えていませんが
たぶん子供の頃からずっとそうやって桜を見ていました。
私は桜の里、吉野に生まれ育ちました。
今は離れてしまいましたが、
私にとって桜は故郷の思い出そのものです。
関西の桜の名所の中で、最後の方に満開を迎える吉野山。
ふもとから、桜色のリボンが山をそっと巻いていくように
下千本、中千本、上千本、奥千本へと駆け上っていきます。
そのきれいなことといったら!
吉野は歴史の里でもあります。
小学生の頃、
教科書に名前が出てくる人物がいたであろう場所に、
何百年もたった今、桜に囲まれて自分が立っている事に
何だか不思議な気持ちになったことを覚えています。
とにかく、お弁当を持ってお花見に行かなくとも、
ただ満開の桜の木に寄り添うようにして空を見上げる。
それをしないと、春が来たという気がしません。
桜ごしの空が故郷の空につながっている、と思うと
そのまま、子供の頃から
今までの私を振り返るような気がします。
懐かしい思いがしたり、
またがんばらなくちゃなと元気が出てきたり
桜はいろんなことを私の心に思い起こさせてくれます。
(ひとぴょん)
ほぼ日 桜の下に立ち、桜ごしの空を見て抱く、
大きな思い。大きな気持ち。
空は故郷の空へとつながり、
故郷は太古の昔とつながる。
桜を介して広がる、空間と時間。
スケールの大きなメールを
どうもありがとうございます。
メール 私の住む岐阜県では、
名古屋市から金沢へのバスの経路に当る
国道沿いの長良川の提に、桜が植えてあります。
映画『さくら道』の、桜道なんです。
国鉄バスの車掌さんだった方が、
せっせと自費で植え続けたんですよ。
車掌さんが亡くなられてからは、
奥様が遺志を継いで植え続けられました。
そんな想いのこもった素敵な桜道なんです。
私が中・高と住んでいた家が
この堤の近くにありましたので、
毎日この桜の下を通っていました。
ところがこの桜、冬の大雪で
たくさんの枝が折れてしまいました。
つい最近、折れた枝を地元の方たちが綺麗にされました。
そのときに剪定された木や枝が
近くの空き地に置かれていることを、
友人から聞いて見に行ってきました。
大きなつぼみがいっぱいついた枝が
たくさん積まれていました。
勝手に持って行ってもいいと聞いていたので、
少しいただいてきました。
ダイニングの花瓶に挿しておいたのですが、
今朝見たらピンクの花びらが見えるようになっていました。
とても愛おしくてたまらない気持ちになりました。
(うろん 45歳)
ほぼ日 恥ずかしながら、このメールを読んで
「さくら道」のことを知りました。
その方は、なんと自費で
2000本もの桜を植えられたそうです。
その桜が、つながって、残って、
今年、雪で折れて、いまは折れた一部が
ダイニングの花瓶で咲こうとしている。
強い、ですね。
メール 最近会社を退職しました。
なんだか無我夢中に突っ走ってた5年間でしたが
気づけば家の目の前に桜。
こうやって考えると
ゆっくり花見なんてしてなかったなぁと思って、
ちょっとささくれてた心がゆるりとなった気がします。
退職決定した後は
「今までの頑張りは何だったんだろう」という気持ちと
「これでやっと解放される」という気持ちが混濁してて
今でもまだ頭の中の整理はついていませんが、
ゆるやかに北上していく桜前線、いいですね。
昔はもっと身近に桜があった気がするのに
都会に住めば、どんどん自然と遠くなってしまいます。
でも、駅前の桜を見ると、少しだけ心に余裕ができて
ほんの瞬間、都会のオアシスだなぁと
しみじみしちゃいます。
(ほげこ)
ほぼ日 毎年、この時期になると、
思わぬところに薄桃色を見つけて
「あ、こんなところに桜があったんだ」
という発見がありますよね。
いまはひとまず桜を満喫、でしょうか?

小見出し 桜の思い出

メール 子どもが3歳の時、
お花見に連れて行きました。
「きれいねー」「すごいねー」
と、目をまんまるにして、
ぴょんぴょん飛び跳ねてよろこんで、
お弁当もパクパク、たくさん食べました。
満足満足‥‥。
さあ帰ろうかと支度を始めると、
わりと聞き分けのよいほうなのに
突然激しく泣き叫びました!
「はぁなぁびぃ〜!」
あ、花火だと思って楽しみにしてたの?
花火ではなく、花見ですから‥‥。
翌年、「花火」ではなく「花見」だと
それとなく念押しして出かけました。
満開の桜のトンネルを通り抜け、大満足。
さあ帰ろうとした時、またしても、おお泣き!
「こぉこぉでぇおべんとうたべるぅ〜!!!」
あれ〜、お昼食べてからでてきたんだけどな〜。
楽しみにしていたとは‥‥。
お花見の季節になると思い出す、
今はもう成人した子どもの思い出です。
本人も、「お弁当食べる〜!」と
激しく泣いたことは、覚えているようです。
(おむすび)
ほぼ日 やあ、ほほえましい。
「花見」と「花火」は
たしかによく似ている。
ことばも、音も、その行為も。
メール 学生の頃、神戸に住んでいました。
王子公園の横の古びた長屋です。
学生は僕一人であとは家族住まいでした。
北側の玄関を出ると正面に文化住宅がありました。
その向こうには高校がありますが、
そのグランドに咲く桜は見えませんでした。
その夜銭湯に出かけようとして玄関をでると、
桜が舞い落ちています。
見上げると文化住宅の屋根を越えて
その先にある桜の木から花びらが
風に吹かれて静かに、大量に
まるで舞台の桜吹雪のように舞い降りてくるのです。
何もない空からはらはらと
花びらが降ってくるのは不思議な感覚でした。
神戸に住んだ4年でその桜吹雪をみたのは一度きりです。
でも桜の季節になるたびに思い出すのです。
あたたかだった長屋の皆さんお元気でしょうか。
きゅうに懐かしくなりました。
(LIGHT)
ほぼ日 幻想的な夜の風景が
目に浮かぶようなメールです。
花びらが降る夜。
それはまるで薄桃色の雪のように。
メール 大阪の南部に住んでいます。
病気で余命わずかな母に、お花見に行こうと誘ったら
「ここのご近所の桜がきれいだから
 よそに見に行かなくてもいいよ」と断られて、
やるせなくて独りで大川(淀川の支流)に行きました。
川の両岸に満開の桜、
天満橋から川崎橋という小さい吊橋にさしかかり、
ふと顔を上げると大阪城が目の前にあり、
絵のような美しさでした。
それから半年後に母は亡くなり、
桜の季節も4回目がめぐって来ます。
‥‥友人がいっぱいいて住み慣れたところで、
最後のお花見をしたかったのかな。
ずっと独りにしてゴメンね、
もっとやさしくしてあげればよかった。
父さんが亡くなってから二人だけで生きてきたのに、
何にも親孝行できなかった。
そんなことばかり思います。
いつか笑って桜が見られるようになるかしら‥‥。
(なにわっ子)
ほぼ日 うまくコメントができなくてごめんなさい。
メールをありがとうございます。
続けてもうひとつ紹介しますね。
メール 春にはツクシ摘みとお花見を欠かしたことがなかった母。
パーキンソン病が進み転んでから寝たきりとなり
在宅介護から病院へ‥‥。
「もう4年も桜見てないわ」という母に
娘たちが通っていた小学校の校長先生にお願いし
校庭の桜を切らせてもらい病室に飾りました。
見た時のうれしそうな顔!
その母も5年前、
桜を見ずに2月に逝ってしまいました。
忙しい中、毎日病院へ行っていた父。
自分が入院していた時もパジャマから
服に着替え点滴の針を隠して母の病室へ出かけていました。
「お父さんを呼んできて」
「仕事で忙しいんだよ」と言うと
「お父さんは一服の清涼剤なの」と
私より父に甘える母でした。
父は81才、一人になった今も
小さな町工場を営んでいます。
幸い家が近いので工場を手伝っています。
今年もひとりでツクシを摘み
「もうすぐ桜が咲くよ」と
お彼岸に墓参りをしました。
(はな)
ほぼ日 つけ足すことばがありません。
毎年、桜は、短く咲き、
1年がくり返すことの
目印のようになっているの。
それで、思い出や光景が
ふっと、胸によみがえるのでしょうか。
メール 高校生の頃、通っていた予備校の古文の先生が
「桜前線と共に、日本列島を縦断するのが夢です」
とおっしゃっていました。
その話の時に、
「世の中に 絶えて桜のなかりせば
 春の心は のどけからまし」
(この世に桜なんてなければ、
 もっと落ち着いて春を楽しめるのに、
 風が吹くたびに桜が散ってしまう、と思うと、
 落ち着いていられない)
という短歌を紹介してくれました。
10年後の今でも、
あのときの先生のうっとりとした表情と、
この短歌を思い出します。
(桜が美しい、と思える日本人に生まれてよかった)
ほぼ日 素敵な思い出ですね。
「桜前線とともに日本列島を縦断!」
かっこいい先生だなあ、と思います。

小見出し 恋は桜色

メール 19才だった3月のことです。
私はつきあっていた彼氏と別れたばかりで、
元気のない日々を過ごしていました。
そんな頃、友人として交流していた元彼が電話で、
とりあえず出てこい、会おう、と言うので、
気晴らしに行くことにしました。
待ち合わせに現れた彼は
「花見に行こう」とタクシーを拾い、
行き先に、そこからほどない桜の名所を告げました。
やがて目的地に近づき、
どこにしますか、という運転手さんの問いにひと言。
「桜の一番綺麗なところへ」
あまりに気障なその台詞に思わず笑いそうになりましたが、
照れもしない彼の様子からは、
私を喜ばせようとしているのが伝わりました。
人出は少なく、夜桜が綺麗な晩でした。
しばらく散歩をして、他愛のない話をして、別れました。
桜の時期になると思い出す、人に話すと照れくさい、
大事な思い出です。
(afrokids)
ほぼ日 しみじみと人気の「恋は桜色」のコーナー。
今日もいくつか紹介いたします。
メール そうとう昔、勤めていた会社は
馬事公園の近くでしたが、桜満開の頃になると会社で
「明日のお昼はお花見昼食で〜す」と声がかかります。
その日はお昼休みが2時間もらえるので
それぞれお弁当に凝ってグループで出かけたものです。
人気の男性には
あちらこちらの女子社員から声がかかります。
何を隠そう私も憧れの方とブランコに乗ったりして
うきうきとした2時間を過ごしました。
あ、桜もきれいなんですよ、って、
とってつけたように‥‥。
ちなみにその方とは
ブランコに乗ったというだけの関係でした。
(桜乙女?)
ほぼ日 「ブランコに乗ったというだけの関係」
って、なんだかいいですね。
メール 私の男友達でとても寡黙な人がいます。
電話が苦手で自分の気持ちを表現するのも
決して得意とは言えない人です。
それゆえに身内やごく親しい友達にも
時々理解してもらえない事も多く、
中には離れていってしまう人もいました。
でも波長が合ったのか何でか
出逢ってすぐ私には
色々な事を話してくれている人です。
その男友達には
結婚を前提に長く付き合っている彼女がいました。
でも彼は他の人を好きになってしまいました。
彼が好きになった人は既婚者だったし
彼には彼女がいるし、どうにもならない不倫です。
だから当然別れがきたのですが、
その時に彼からきたメールの文章が
今でも忘れられません。
「さっきあの人と別れたよ。
 今日一日ずっと二人でお花見してた。
 あの人といると自然にお腹が空いて
 一緒にご飯を食べると何十倍も美味しかった。
 あの人と歩きながら見た桜は
 いつのどんな桜より綺麗だった。
 もうあの人の事は言わない。
 いつも話を聞かせてごめん。」
それを読んで泣きました。
私の頭の中に満開の桜が浮かびました。
どう返事をしていいか本当に本当にわからず
たった一言「わかった」とだけ返事を出しました。
本物の桜はもちろんの事、
桜の写真や、桜という言葉を見聞きすると
「あの人と歩きながら見た桜は
 いつのどんな桜より綺麗だった」
という一言を想い出して心臓がぎゅっとなります。
彼は長く付き合ってきた彼女と5月に結婚しますが
彼の中ではこの先春がくるたび記憶の中の桜が
とても綺麗に満開に咲くのだろうなと想います。
(ひいらぎ)
ほぼ日 「恋は桜色」、みなさまからのメールを
まだまだ募集しています。

小見出し 北海道をなめるな!

メール 函館在住です。
桜の名所、五稜郭公園を
上空からみるとピンクの星になっているんですよ。
新しいタワーもできることですし、
少し遅いお花見を北海道でどうですか。
うまくいけばGW中にあたるかも。
(勝手に観光大使)
ほぼ日 五稜郭を上空から見るとピンクの星!
こりゃなんともデカい話ですね。
よし、みんなも、このゴールデンウィークは
北海道に行こうじゃないか!
函館は五稜郭に行って、ピンクの星を見物しよう!
‥‥んん?
でも、どうやって上空から見るの?
メール 高校までを北海道で過したので
梅と桜の区別に自信がありません。
両方の開花シーズンは
丁度、学校の遠足の時期で
バスの中から
「あれは、桜?」
「今度のは、梅だよねっ!」
と当てっこをして盛り上がっていたのを
懐かしく思い出しました。
ちなみに区別のポイントは
幹についているスジが、縦か横か、でした。
(かりん)
ほぼ日 ‥‥あの、すいません、
ええと、梅と桜の区別がつかないのを
北海道のせいにするのは、
ちょっと、その、どうでしょう?
メール 関西から北海道へ嫁に来て、4度目の春になりました。
北海道も西の方はまだまだ雪のようなのですが、
こちら「日照時間日本一」のオホーツク海側は、
平地の雪はほとんどとけて、すっかり春ですよ〜。
桜はまだ先のようですが、福寿草が満開です〜。
福寿草、こちらに来て初めて本物を見ました。
道端に普通に咲いているので、ちょっとびっくり。
(ハシモト)
ほぼ日 このページの主役は桜ですが、
せっかくですから、
送ってくださった福寿草の写真を特別に‥‥。


みなさまからのメール、
まだまだお待ちしております。
いよいよ、4月ですね。


2006-03-31-FRI
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