読みなおす土曜。
2003/07/12
今週の一言

毎週土曜日はレビューの日!
・・・ということで、「ほぼ日」に登場した
あんな言葉やこんな言葉を、ご紹介します。
興味があったら、モトのページも読んでね。

今週は、思わずホッとしちゃうような、
のんびりした言葉を、ご紹介しましょうか。

【信長・秀吉・家康】

織田信長
「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」、
豊臣秀吉
「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」、
徳川家康
「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」、
三人の天下を取った武将の考えを
鳴かないホトトギスへの対応に象徴化して、
そのうち、
どれに自分は近いか、という分類。
どういうわけか、若いうちは、
この話はあまり出さない。
社会に出て、
おじさんと呼ばれるようになると言い出す。
「オレは、やっぱ、信長だからよー」
「そう、オレもお前も、
 鳴かぬなら殺してしまえだよなぁ」
「だけど、部長ってのは、
 家康なわけじゃん・・・」
「それは、わかるのよ。
 いいのよ家康でも、ね」
なんて具合に語られるのだけれど、
自分が、
信長なのか、秀吉なのか、家康なのか、
その決定については、
これは、たいていの場合、
自己申告なのである。
生ビール飲んでいる山田くんと、
焼き鳥のたれを
シャツにこぼしちゃってる斉藤くんは、
自己申告によって、
「信長」になっているのである。
気が短いのかこらえ性がないのか、
考えが広くないのか、
よく知らないけれど、
答えを性急に求めたがる人は、
みんな「信長」なのだ。
で、たいていの、
このたとえ話をする「オレ」は、
90%以上の確率で「信長」なのである。
そして、こういう場で陰口を叩かれている
愚図で目の前の利益のことばかり考えている
夢のない、「オレ」より力のある人間は、
90%以上の確率で
「家康」に認定されているのだ。
3人の武将のなかで、論理的には
いちばん筋が通っていると思われる
「秀吉」は、
あんまり登場してこないことになっている。
ハンパだったんだろうな、
こういう場面の主張としては。

「信長・秀吉・家康」という分類は、
消えそうで消えない、
もう古典のようなものになっている。

(※「ダーリンコラム」の中から、darlingが
  「分類の中の古典」について話していたこと)



【シベリア鉄道の車窓から】

外は、青空。
空気はピンと張り詰めて、
もちろん息は真っ白。
ニューヨークで買った、
襟元のファーがお気に入りの
厚手のウールコート。
ただ、足は冷えるとさんざん脅されたので、
薄いタイツの上に靴下を重ね履きで、
靴はニューヨークでこの旅のために購入した
中にふわふわがついた皮の防寒ブーツ。
首もとには、もともとは父親のだった
肌触りの良い大きな赤いマフラーを。

することがなくなる。
とりあえず廊下に出てみると、
息をのむ、夕焼け!
ただボーーッと眺める。
鮮やかに変化するグラデーションをずっと。
他にはなにも、なにもない。
電線だけがずっと旅を共にする。
陽がすっかり沈んでしまうと、外は真暗闇。
景色はうっすらとしか見えず、
まるで絵本の中にいるようだ。

(※「坂本美雨のシベリア日記」から、
  シベリア鉄道から見る眺めを述べた所)



【それぞれの世代はそれぞれ特殊】

ばあちゃんが、時々見せる、
「なにがあっても、肝がすわってる感じ」
は、空から急に一斉掃射されるという
時代の経験も関係してるんだろうな。

僕は仕事でも、この
“かなーり、上の世代”
と、関わることが多いんだけど、
「力があるものを、
 (例えば組織的な“権力”とか)
 極端に恐れたり、嫌ったり、
 異常に重視する事」
というのも、こういう背景と、
関係あるんだろうなぁ、と思いました。
僕は、こういう方々と、話し合ったり、
新しい方法を模索したり、
組織作りをする立場にあるので、
その人達の、「強さ」と「弱さ」を、
充分ふまえて、話をしないと、なかなか、
スムーズに話が進まないだろうな、
と感じました。

これは、“戦争”や“世代”に
限定した話ではなくて、
“自分”という1つの立場から見れば、
“相手”“他人”というのは、
「その人なりの
 とっても“特殊”な環境なり境遇」
を経て、今に至るのだ。
という、考えてみたら当たり前の理解が、
かなり、大切なんだと思います。

(※「坊さん」でミッセイさんが語った、
  年代ごとの特色の差を感じるということ)



今週のこぼれ話

担当編集者からのこぼれ話や
裏話をお伝えいたしまーす。

【おいしい店とのつきあい方】
先週、ひっそりとはじまったこのコンテンツ。
担当である僕(シェフ)も驚くくらい、
おおぜいの方が読んでくださっています。
ありがとうございます!

著者のサカキシンイチロウさんには、
僕もいつも「おいしい店を教えてください」と
訊いているひとりなんです。
僕としては“旨けりゃいい”ので、
「どこかおいしいとこないっすか」と
雑な質問をするんですが、
サカキさんからは、
いつも逆に厳しく質問されます。
「誰と行くのか」「いつ行くのか」
「エリアは」「どういう目的で行くのか」
「何料理が食べたいのか」
「予算は」などなど‥‥。
そうすると初めて僕も考えるわけです。
「ええと、後輩のあややが、
 滅茶苦茶くたびれているので、
 元気を出せというようなつもりで、
 土曜の夜にうちの女子3人と
 青山界隈で
 イタリアンを食べたいんでですよ。
 予算は思い切ってひとり1万円以内、
 でも安いとうれしいなあ。
 あ、野菜不足だから野菜が食べたいです。
 ダイエットもしてますけど」
と(かなり難題)。
そうするとこんな返事が来ます。
「××××は、小さな店だから
 雰囲気的にはココが一番濃密。
 いい女をオモテナシするには最適かも。
 しかも6000円の
 プリフィクスが基本だから、
 結構、使い勝手はよいよ。
 結構、ナチュラルな料理がメイン」
「◎◎◎◎は、
 5000円ほどのプリフィクス。
 なのにシェフがよくって
 料理はしっかりしている。
 クッチーナナチューラって言う、
 自然派を標榜していて
 野菜がメインになっていたりするから、
 いいんじゃないかな。
 でも予約はとりづらいかもしれない」
「△△△△は、
 武井君とこから一番近いのは
 ここじゃないかな?
 ピザがメチャうま。
 魚のグリルもメチャうま。
 コースがあるわけじゃないんだけど、
 そこそこお腹一杯になっても
 一人7000円くらいだと思う。
 ボクが行くと、ビフテッカを頼むんで
 チョッと高くなるけど・・・。
 野菜のグリルも旨いよ。
 炭水化物がOKならとてもお勧め」
そして行ってみると‥‥ばっちりなのです。
ほんとうに、おいしくて、
サービスのよいお店ばかり。
サカキさん、いったい、どうやって、
そういう店を探してるんだろう???
もちろんプロだから、
情報はふつうの人より多く集まるだろうし
レストランに足を運ぶ回数も
多いからだろうけど、それ以上に
「レストランとのつきあい」
が上手だってことを感じていたのでした。
それ、もっと、教えてほしいなあ‥‥。

そんな経緯から、
このコンテンツが始まったのでした。
僕もいっしょに勉強して
外食上手になるつもり。
毎週木曜日更新です。

(担当者 シェフ武井)


【やさしいタオル・大好評!】
9日から、
<やさしいタオル>の販売が始まりました。
すでに、売り切れになってしまっている
サイズや柄が出てきてしまっております。
ご注文は、ちょっとだけお早めにどうぞ。

実は、<やさしいタオル>使ってもいいよ!
というサンプルは、ほぼ日にも数本、
しかもバスタオルしか無いんです。
あとは、撮影用のサンプルなんかで、
つかってもいいよ!
とはいえないものばかり。

その数本のタオルを、
ほぼ日スタッフのあいだで、
順番にお試しをしていたり、という
なんとも、こうもどかしい状況にあります。

そして、
明るいビル(ほぼ日があるビル)の、
下の階には、ケビン山崎さんの
『トータル・ワークアウト』
というジムがあるのですが、
そちらで、スタッフが、
ムーンライダーズの
鈴木慶一さんにお会いして、
<やさしいタオル>の
バスタオルのサンプルを使ってもらったら!

なんと、あまりに気に入られたそうで、
そのまま「借りていくね!」といって
持っていってしまったそうなんです。

一回使っただけで、
そのトリコになってくださったそうです。
<やさしいタオル>と名称が決まるまでは、
「魔性のタオル」と
いわれてただけのことはある!
すごいうれしいエピソードでした。

私も、担当の役得として
一本確保してるんですが、
洗い替えがなくて、本当に困る!
毎日つかいたいのになあ〜〜。
と、工場から、製品版がとどくのを、
本当に心待ちにしています。

発送は、お盆前くらいを
予定しているところです。
くわしく決まったら、
『こんなタオルを探してたんだ!』のほうで
お知らせしますよ!

(担当者 モギモギコ)

2003-07-12-SAT


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