読みなおす土曜。
2003/07/19
今週の一言

毎週土曜日はレビューの日!
・・・ということで、「ほぼ日」に登場した
あんな言葉やこんな言葉を、ご紹介します。
興味があったら、モトのページも読んでね。

今週は、この3連休に、ちょっと
外にでかけたくなるような言葉をご紹介。
外出するときのコツみたいな話、ですよー。

【まっすぐ前を見て進むこと】

バイクの運転免許をとるための
一本橋を渡るという教習は、
やってみると案外簡単だったりするわけだ。
天然に簡単なんじゃないよ。
方法があるんだ。
教官から聞いた魔法のひと言が、
簡単にしてくれるわけよ。
「まっすぐ前を見ろ」
というだけのことなんですわ。

バイクは、自分の目が見たほうに進むのだ。
だから、まっすぐに前を見ていると、
まっすぐ前に進むんだよ。
あとは、その「まっすぐ前を見ろ」を
信じられるかどうかだけが問題なのだ。

まっすぐ前を見ていても、視界というのは
そんなに狭いものじゃないから、
「何があるかわからない」ことが起こっても
ちゃんと対処できるように、できている。
それに、一本道を渡るなんて、
十分に特殊なことなのだから、それだけを
確実にやろうと思わなければできないのだ。

これが、
教習の時間に体感できたときというのは、
ほんとうに魔法を憶えたように
うれしかったものだ。
自分の目が見たほうに、バイクは進む。
その、とても自然な法則が、
気持ちよかった。

いまごろになって、
それを知ったときのことを思い出したら、
こりゃ、なんにでも応用できる
魔法の方法だと気付いた。
細い一本道を渡っているようなことって、
しょっちゅうあるものなぁ。
【バイクも人間も、
 自分の目が見ている方向に進む。
 だから、まっすぐ前を見るのさ。】
いい年して、
いいこと思いついちゃったなぁ。

(※月曜の「ダーリンコラム」の言葉。
  自分のことを語りつつの感想を
  届けて下さる方が、多かったんです)



【インテリアショップの愉しみ】

女友だち同士で、
インテリアショップとか行って、
家具を見ながら、
こういう家具に似合う男って、
どういう男なんだろう? とか、
あなたの彼氏だったら、
この椅子よりあの椅子とかっていうふうに
言ってもらったほうが楽しいかなと思うし。

それで値段ながめて、
あ、ダメだ、もうこの値段、
ぜんぜんウチの彼氏ダメ、
とかっていうのって、
すーごい楽しいと思う。

いい家具屋さんに行くと、
椅子ってけっこう座れるじゃない。
で、女の子同士で家具屋へ行って
椅子に座って、
この椅子はどんな感じの男の人とか、
あの椅子はどんな感じの男の人とかって
言って歩くのって、すごい楽しいと思う。
包容力のある椅子もあれば、
跳ね返してくるような力強さのある
椅子があって。
で、凛々しい椅子もあれば
だらしないヤツもあるわけでしょ?
そんなこんなでね、半日まわるのって、
すごい楽しいし。
で、そういうふうに思いながら、
椅子とかテーブルとか見ていくと、
どんどんどんどん見る目が
つくんだと思うんだ。

(※「新宿二丁目のほがらかな人々」より、
  お店を味わう心の持ちかたののことを。
  連休、あなたはどこに出かけますか?)



【予約電話はイメージを伝える】

レストランの予約という手順は、決して、
「座る椅子、テーブルを確保するため」
にするものでは、ありません。
このことを、まず覚えておいてください。

ならば、なんのためにすると思いますか?
それは、「これから行くお店の情報収集」と
お店に対する
「自分というお客様の情報提供」の
ためなんだ、というコト。

まず自分の名前を言いましょう。
初めての店であっても、
電話の相手が見知らぬ人であっても
構わずまず名前。
電話を通して
初めての人と話をするのは不安です。
でも不安なのは
電話をかけているあなただけじゃなく、
それを受けている
電話の向こう側の人も同じコト。
だからまず名前を告げ、
相手に自分に対するイマジネーションを
働かせるためのヒントとしてもらう。
だから名前を言うんです。

で、そこが初めての店であればすかさず
「初めてなんですが」と続けてみます。
正直が一番です。
そこで相手の感触が良ければ
「雑誌で見てとても感じの良い店だと
 思ったものですから」とか、
「友人が行ってすごく良かったよって
 言っていたものだから」
とか伝えてみましょう。
お世辞のために言うんじゃありません。
そうした会話を通して、予約を受ける側は、
正しくイマジネーションを働かせるための
ヒントを収集することが出来るんです。
これから予約しようとしているあなたが
どんどん身近な存在として
感じられるようになってくるのです。
「あなたの先味」作り‥‥ですね。

(※「おいしい店とのつきあい方」から、
  仕事での電話対応にさえ便利だよ、と
  大反響だった一節を、ご紹介しました)



今週のこぼれ話

担当編集者からのこぼれ話や
裏話をお伝えいたしまーす。

【来週は小説家に関する新連載が】

今週火曜の
保坂和志さんの新しい小説の特別販売は、
半日ですぐに完売。ありがとうございます。
長編作品『カンバセイション・ピース』は、
新潮社さんから、7月31日に発売されますので
「買いのがしちゃったけど、
 一般販売ってしないんですか?」
という方も、どうぞご心配なく・・・。

「ほぼ日」での保坂さんの対談は、
いったん終了しましたが、来週からは、
会社員が小説家になるということについて
静かな追加インタビューを、連載しますよ。
短期集中連載ですが、ものを書くことに
すこしでも興味のあるかたなら、
きっと、おもしろがってもらえるはず!

来週掲載ぶんの内容から、
保坂さんの発言の一部を、今日は
予告編的に、おとどけしちゃいますね。

「もともと、小説家に限らず、
 なりにくい職業っていうのは、
 なりたいと思ってる人はなれないと思う。
 何年か後に、自分はなっていると
 思いこめるような人しか、なれない。
 『どうしたら、作家になれますか?』
 『どうしたら、●●になれますか?』
 そういう謙虚な気持ちは
 要らないんです、きっと。
 『謙虚な気持ち』って、
 悪く言うと迎合的とも言えますよね。
 ノウハウがあるとか、
 マニュアル化されてるとか、
 何かになれる確固たる道筋があると考えて
 『自分もその道筋を歩けばいい』
 と思う人は、小説家にはたぶんなれない。
 そうじゃなくて、
 何年後かには当然なっているというか。
 もともと、ものを教わることが
 嫌いなタイプの人間も、多いんだよね。
 高橋源一郎も自動車免許持ってないし、
 島田雅彦も免許持ってないし、
 ぼくも免許持ってない。
 教習所へ行ってもの習うとか、
 そういうことが、
 もう、できない人なんですよ・・・」

「ふーん」と思った人も、
「なんで?違うじゃん」と感じた人も、
この発言の先に、
いくつか言葉が続いていきますので、
来週の短期新連載を、
たのしみに、待っていてくださいね!
(担当者 メリー木村)


【坂本美雨のシベリア日記】

坂本美雨さんが
「ほぼ日」にはじめて登場したのは、
創刊の年・1998年の秋でした。
当時NYのハイスクールの12年生、
つまり「女子高生」ということで
タイトルは
「音楽やってる女子高生通信。」でした。
(99年夏の卒業までこの連載は続きました)
「ほぼ日」には当時もうひとり
「ぼーっとした女子高生通信。」の
ゆーないとさんがいましたから
なんと、女子高生が二人も
連載していたということになります。
卒業後、ゆーないとさんは
美大の女子大生になり
美雨さんは音楽家への道をすすみました。

最近では
ご母堂・矢野顕子さんとのデュエット
『くまんばちがとんできた』の
発売記念コンテンツ
「お母さんって、ヘン?」にも
登場してくださった美雨さんですが、
「また書きたい!」という気持ちは、
この何年、ずっと、
持ち続けていてくださったのだそうです。
それが結実したのが、今回の
「坂本美雨のシベリア日記。」です。

テレビの取材とはいえ、
零下数十度の世界に3週間。
自ら撮影した
膨大な写真と書き溜めたノートをもとに、
極寒の地で経験した、ひとつひとつの思いを、
ていねいに、すくいとって、
言葉にしてくださっています。
いまは夏ですけれど、美雨さんの文章からは
氷原をわたる風の音や、
静かに進むシベリア鉄道の響きを
感じとっていただけると思いますよ!
(毎週木曜日更新の予定です)

余談ですがdarlingは、幼少時の美雨さんに
よく泣かれていたそうです。
当時、坂本さんや矢野さんといっしょに
しゃぶしゃぶを食べる恒例の会が
あったそうなのですが、
おさない美雨さんはdarlingの顔を見ると
「うえ〜〜ん」と
必ず泣き出したのだそうです。
美雨さん本人も
理由はわからないそうなんですが
darlingは
「たぶんおれのことが、好きだったんだよ。
 でも怖がってたんだよなあ」
と言っています。
ふうむ(笑)。
(担当者 シェフ武井)


【老人が流行りはじめている?!】

「ほぼ日」創刊5周年記念、超時間講演会
智慧の実を食べよう 「300歳で300分」で
講演いただく方々のお話しを「ほぼ日」では
少しずつお伝えしておりますが、
水面下では、講演の9月13日に向けて
猛ダッシュで大勢の人が動いています。

まず、講演していただく方、
5名が決定しました!
5名???はい。そうなのです。
吉本さん、小野田さん、
藤田さん、谷川さんの4名には
すでに「ほぼ日」に
ご登場いただいていますが、
もう一人登場します。
合計377歳、
ダーリンも含めると431歳の講演会です!

今回のイベントについてはdarlingが
「景気がいい時は若い人が動く、
 景気が悪いときは長老に話を聴け!」
って、ずっと言っているんです。

だからこそ、なるべく多くの方に
「智慧の実」を
食べることができるように
インターネットや
国際フォーラムという枠から
飛び出して
いろいろなことを動かそうとしています。

内容が決まり次第、随時「ほぼ日」で
お伝えしていきますが、先行して、
「これからは老人が流行るらしいよ」
ってまわりに広めていただけると
うれしいです!
(担当者 アロハ・トミタ)

2003-07-19-SAT


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