読みなおす土曜。
2003/09/06
今週の一言

今週は、ちょっと重めの言葉だけど、
それぞれの実感がにじみでた発言を、
まとめて、おとどけしたいと思います。
気になったら、もとのページも見てね!


【わたしには
 不可避の一本道しかない】


「個々人の生涯は、
 偶然の出来事と、
 意志して選択した出来事に
 ぶつかりながら決定されてゆきます。
 しかし、偶然の出来事と、
 意志によって選択できた出来事とは、
 いずれも、大したものではありません。
 ほんとうの契機は、
 ただそうするよりほか
 すべがなかったという
 不可避的なものからしか、やってこない。
 一見、受け身な考えに見えるでしょうが、
 人が勝手に選択できるようにみえるのは、
 観念的に行動しているときだけだ。
 ほんとうに観念と生身とをあげて
 行為するところでは、世界はただ、
 不可避の一本道しか、
 わたしたちにあかしはしない。

 ちいさな善、
 ちいさな脱出を選ぼうとした瞬間に、
 世界がみえなくなることもあります。
 あいまいで小規模な救済の視野から
 いまの世界を
 いくらかユートピア化しようと試みたり、
 どこかにユートピアがあるように
 考えるのは、かならず
 間違うのではないでしょうか。

 小さな善と小さな悪とが葛藤したり、
 悩んだり、
 道連れになったりしている世界で、
 じぶんもおなじように
 そのなかに生きて、
 死ぬべきときがきたら
 死ねばいいのでしょう」

(※「コンビニ哲学特別篇」より、
  吉本隆明さんの言葉を紹介した部分)



【住職は途中提出のかたまり】

「少し前に、僕が、
 とても好きなミュージシャンが、
 以前に発表した
 アルバムを聴いていました。
 最新作ではありません。
 そのアルバムは、
 現在の彼の作品よりも、
 ヘビーで、いくぶん荒っぽくて、
 時に激しい怒りが、見え隠れします。

 現在の彼の作品は、
 もっとフレンドリーで、
 あったかくて、ハッピーです。

 でも、僕は、以前の作品の中で、
 彼が“途中提出”した感情が、
 「商品」として「作品」として、
 「物体」として、
 提出されたことを、うれしく思うし、

 それを今、受け取って、
 心の底から興奮しました。
 とても、切実に。
 「途中提出することの大切さ」
 を、思いました。
 「そんなの、あたりまえじゃん」
 「いっつも、途中提出ばっかりよ」
 そうかもしれない。

 坊さんが関わる“宗教”は、
 時に途中提出を好まない。
 そこには、明確な“答え”“結論”
 めいたものが、求められる。
 ように、見える。
 でも、多分そうじゃないみたい。
 最近、わかった気がしてる。

 宗教は、そもそも、ハッピーを、
 自分の脳味噌と身体と、
 積み重なった「時間」でもって、
 考えた人の、“途中提出のかたまり”
 なんだと思うんだ」

(※「坊さん」で、26歳の住職が書いた
  「途中提出だからたのしい」という実感)


【固唾を呑んで
 玉音放送を聴いたとき】


「話はずーっと近代になるが
 今日は大東亜戦争の終戦記念日なのだ。
 昭和20年8月15日ラジオで
 「天皇陛下の重大発表が有る」と言われ、
 其の時刻になり私は姑と並んで
 紀子を膝に抱き締め
 息を呑んでラジオから
 「天皇陛下の玉音(ぎょくおん)」の
 流れてくるのを待って居た。
 生まれて始めて厳そかに聞こえてくる
 天皇陛下の涙ながらと思われるお声を
 じーっと聞いた。
 あれからの世の中の混乱等
 語り尽くせ無いでしょう。
 話は又変わるが後ろからテレビでは
 「高校野球の甲子園」から
 群馬県の「桐生第一」が
 先取点を取ったと聞こえている」

(※「ミーちゃんの縁側」で丁寧に語られた、
  8月15日を迎えると思い出す風景のこと)



今週のこぼれ話

担当編集者からのこぼれ話や
裏話をお伝えいたしまーす。


【『300歳で300分』いよいよ来週!】

1400枚のチケットが完売!
本番まであと1週間となりましたが
さらに、イベント製作に集中できそうです。
チケットは完売しましたが、
当日、会場に来れない方もご安心ください。
本講演は開場する12時から
インターネットで完全生中継をします!
当日の実況は「はなまるアナウンサー」の
今泉清保氏、解説には
感心力がビジネスを変える!」で
おなじみの田中宏和氏の
2名でお送りします。
さらにスペシャルゲストとして
日本テレビの「T部長」こと
土屋敏男さんも
出演することが決定しました。
当日のロビーの様子も
「生茶パンダカメラ」(かわいい!)
でお伝えしますし。
本番に先駆けて本日6日より
三省堂書店大丸東京駅店、有楽町店でも
「智慧の実・ブックフェア」も開催されます!
こちらもお楽しみに!
(担当者 AOR西本)


●【近日登場予定の新コンテンツです】

シドニーオリンピック出場に、
限りなく近いところにいながら、
最後の最後で落馬をして、
涙を飲んだ障害馬術の騎手、
加藤麻理子さんとdarlingが、
先日対談しました。

来年のアテネオリンピックへ
挑戦するため、過酷な条件の中で、
今も闘っていらっしゃいます。
でも、ご本人は、
そういう苦しさをみじんも感じさせない
透明感があって、
とても澄んだ瞳を持った女性でした。
darlingも、対談終了後、
「あのきれいさは、
 きっと、いつも
 馬とつきあっているからだろうなあ。
 俺たち、汚れちまったなあ」
としみじみ。

お話も、おもしろいように転がって、
生き方を考えるヒントになるような話が
ちりばめられています。
近いうちに、そんな連載を始めますので、
どうぞおたのしみに!
(担当者 通天閣あかり)


【経理コンテンツに熱い視線が】

郵送での応募ということもありますし、
また、もちろんまじめな募集でもあるので、
今回の「糸井事務所の経理募集」には、
いつものようなお祭りメールが殺到している
わけではありません。

ただ、とてもたくさんの人が
静かに読んでくださっているようですね。
ページへのアクセス数が多いのに、
メールの数が10通ほどという、
異色のコンテンツになっているんです。

今日は、参考までに、
実際にいま経理をしている方で、
応募ではなく感想をくださったメールから、
1通だけ、ご紹介しましょう。

「今回 「経理」募集について
 とても悔しく残念に感じてしまったので
 思わずメールさせていただきます。

 私は高校卒業してから
 10年間会計事務所に勤務していました。
 数年前より同系列の
 業務ソフトサポート部門へ転属になり
 今はそちらの仕事に従事しています。
 会計事務所といっても
 いろいろな仕事をさせられていましたので
 会社の基本的な帳簿作成や資金繰り、
 決算や申告書の作成(税金計算等)も
 すべて、できるようになりました。

 今回 ほぼ日を読んでいて
 東京に住んでいれば絶対応募してるのに!
 ってくやしくてくやしくて・・・・・・。
 別に今の仕事がイヤとかじゃないんです。
 自分の力を発揮できる
 チャンスだったんじゃないかなと考えると
 なんだか胸が熱くなります。
 もし自分が単身ならば
 引越しをしてでも応募していました。
 夫(この会社で出会った。事務所職員)
 もほぼ日を読んでいたようで、
 地方に住んでいることを
 とっても悔やんでいました。
 夫婦して同じことを考えていたみたい。
 あぁ〜すっごい残念!!
 せめて、ほぼ日の事務所にあった
 良い経理さんが見つかるよう
 お祈りさせていただきます。
 (匿名希望)」

プロの方からのおたより、
たくさんいただきました。
「経理は、創造的な仕事なんだなぁ」
「やりはじめるとキリがないほど
 スキルを追求できるものなんだな」
などということを、
みなさんのメールを読んでいて、
強く感じました。

今日も、経理募集担当の
元木さんが、ひとつひとつ、
だいじに封筒を開いているところ――。

募集しめきりまでの
あと1週間弱、あくまでまじめに
みなさんからの応募をお待ちしています。
封書でいただいた履歴書などは、
乗組員たちで丁寧に読みこみますので、
じっくり書いてくださるとうれしいです。
どうぞよろしくおねがいいたします。
(木村俊介)

2003-09-06-SAT


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