読みなおす土曜。
2003/09/13
今週の一言

今週は、ふたつの特集を、
ちょっと長めにおとどけしますね!
とくに「翻訳前のアメリカ」は、
ここに紹介した部分のみならず、ぜひ、
全文を読んでもらいたいほどなんです。


【アメリカ人の等身大の戸惑い】

「観客が歌えや踊れと
 盛り上がりきったところで、
 戸惑いソング"メアリーズ・プレイス"。
 この曲自体はEストリートバンド調と
 いうこともあり、うまく盛り上がりが
 つながり、観客も大合唱でした。
 ボス(ブルース・スプリングスティーン)
 の戸惑いは
 ついに観客に共有されたのです。

 この瞬間はじめて、すずきちは
 この曲を理解できた気がしました。
 ボスは戸惑いを肯定しているのです。

 9-11以来アメリカ人は自分たちの感覚が
 あたかも絶対音感であるかのように
 振舞ってきました。
 絶対音感を持った人たちは、
 音程がほんの数ヘルツでも
 ずれた音楽を聴かされると
 気分がわるくなったりするらしいですが、
 過去二年間のマジョリティのアメリカ人は
 まさにそんな感じでした。
 アフガニスタンでの戦争から
 イラクでの戦争に続く、
 アメリカの"テロとの戦い"に関して
 わずかでも異論をとなえる
 国内外の声はすべて、不快で
 誤った意見として退けてきたのです。

 それがここへきて
 アメリカ人は戸惑っています。
 先が見えないままに
 米兵の犠牲者が増え続けるイラク、
 景気回復の兆しはみえるものの
 空前の規模で減り続けている雇用、
 納税者は減税を享受したものの
 教育をはじめとして財政難で
 ガタガタになりつつある
 公共サービス...

 「どうやってこれを
  始めたらいいのか教えてくれ」と
 あえて戸惑ってみせるボスは、
 車椅子の観客の
 目線を確保するような誠実さで、
 そんなアメリカ人の
 マジョリティにとっての
 正しい目線の高さで歌っているのです。

 なんてことを考えているうちに
 コンサートはすすみ、
 アンコールでボスの代表曲中の代表曲
 "明日なき暴走"(1975)が
 はじまりました。
 スタジアムの観客は、
 がちゃがちゃの音程・
 ばらばらのテンポで、
 一言一句もらさず、
 人生をかけて全部歌います。
 そんな観客をEストリートバンドとともに
 正しい音階へむけて
 リードし続けるボスの姿は
 最後までタフでした。

 ボスはアメリカを
 リードし続けているのです。

 そりゃあ、一緒に歌いましたとも」

(※「翻訳前のアメリカ」で、すずきちさんが
  ブルース・スプリングスティーンを論じた所。
  9月11日前後の2日に渡って特集しましたよ)



【ゲイに生まれた悩みについて】

「ゲイであることの
 後ろめたさはあった。だけどね、
 人間どんどんどんどん
 年取ってくと、
 自分がゲイである後ろめたさ以上の
 後ろめたさが
 いっぱいたまってくるの(笑)。
 あんなときについた嘘とか、
 あんなときにした不正とか、
 あんなときにした、
 人をおとしめるような行為とか。
 そんなことに比べて、
 ゲイってどういうことなんだろう?
 って思い始めるんだよ。
 人に言えない後ろめたさって、
 僕のおやじも持ってて、
 おふくろも持ってるはずなのね。
 で、その数多くある
 後ろめたさのただひとつ、
 まあ、彼らと分かち合えない部分が
 せいぜいゲイであること
 ぐらいなのかな?
 っていうふうに思うとね、
 けっこう安心はするようになったよ。
 でも、未だにやっぱりどっかにある。
 強迫観念っていうか。
 だけど、だけどそれは
 みんな持ってることだなって、
 思えるようにはなった」

(※「新宿二丁目のほがらかな人々」より、
  ゲイであるという悩みは、オトナになると
  どういうふうに感じられるかという意見…)



今週のこぼれ話

担当編集者からのこぼれ話や
裏話をお伝えいたしまーす。


【陽気な若き博物館員たち】

9/12に始まったコンテンツ
『江戸が知りたい。東京ってなんだ?!』。
以前からぼくらの間で
「江戸って、おもしろそうだね」
「ここ(港区三田です)も
 江戸だったんだよね」
「昔の東京もおもしろそうだよね」
「でもなんにも知らないよね」
「そうだよね、
 “東京”糸井重里事務所なのに
 ぜんぜん東京のこと知らないね」
などという話は、出ておりました。
でもなかなか
「企画」にまでいたらなかった、
ちょうどそんな時です!
江戸東京博物館の学芸員であり、
広報担当である川上香さんから
メールをいただいたのは。
「なにか、
 一緒にできたらうれしいです」
というお言葉に甘えて、
今回の企画が実現しました。

最初は
「学芸員の人たちって、堅物なんじゃ?」
という
心配をしていたのですが(すみません)、
お会いしてみて驚いたのは、
今回の「東京流行生活展」を
企画したメンバーは
20代30代の若手ばかり!
知的で明るくて楽しい人ばかり!
ぼくらがお会いしたのは、
展覧会開催を数週間後に控えた
忙しい時期だったんですが、
「ほぼ日」より少ないメンバーで
企画から、展示物集め、協賛先集め、
カタログ執筆、広報、設営まで、
膨大な仕事量を厭わず
がんがんこなしていました。
そんな間に時間をいただき、
この取材をしているんですが、
取材するぼくらも
すっかり楽しくなっちゃってます。
たっぷり取材して、
ばしばし更新していきますから
どうぞお楽しみに〜!
(担当者 シェフ武井)


●【「センセイ・上役」スタート!

「ほぼ日」には、
じっくり読みごたえのあるコンテンツが
たくさんありますが、
2〜3分でサラリと読める
「なごみとホロリ」や
「あきんどゴコロ」のような
“小窓コンテンツ”も大人気なんですよ。

今週の火曜日から静かに始まった
新コンテンツは、
同じく小窓コンテンツである
「今日の女房・今日のダンナ」の
姉妹版のような
「今日のセンセイ・今日の上役」!
開始から1週間もたたないうちに、
たちまち人気コンテンツの
仲間入りをしました。
今週紹介させていただいた投稿には
こんなおちゃめな上役の姿がありましたよ。

 二次会カラオケで、
 上司(男)に
 一緒に歌おうと誘われました。
 曲目がモー娘。なのはいいとして。
 なぜ、あなたは、踊り狂っているのか。
 なぜ、私だけが、歌っているのか。

 でも、ええ上司。


うーん、何度読んでも味わい深い!
踊り狂う上司(男)が
目に浮かんできますね。
この他にも「しょ」が言えなくて
「ひょうぼうひょ(消防署)」って
なっちゃうセンセイ
も登場して、
このコンテンツも
どんどんおもしろくなっています。

「今日のセンセイ・今日の上役」は
毎日更新をしていく予定ですから、
みなさんからの投稿、
ほんっとにたくさんお待ちしています!
sj@1101.comまで
お気楽〜にお送りくださいね!!
(担当者 小川由加)


【ポケットに『MOTHER』】

長らく書き連ねておりました
『MOTHER1+2』のプレイ日記が
今週月曜日をもちまして完結しました。
発売日前日よりなんとなく書き始め、
気がつけば、3ヶ月近く
連載していたということになります。

連載中、たくさんのメールをいただき、
ほんとうに励みになりました。
どうもありがとうございます。
『MOTHER1+2』の持つ魅力の
何分の一かでも伝わればうれしいです。

ゲームという娯楽は、
たかだか30年くらいしか歴史がなく、
技術の進化とともに
その形態や様式も
どんどん変わっていきます。
おそらく、もう十年もすれば、
いまあるゲーム機は
すっかり古びたものに
なってしまうでしょう。
そのころに『MOTHER』が
プレイできるのかどうかを
僕はあやしく思います。

『MOTHER』ができる現在に
居合わせることができてよかったと
僕は思っています。
もしも興味がおありでしたら、
このゲームが店頭に並んでいる
いまのうちに、ぜひ、どうぞ。

そのときに、この日記を
つらつら眺めていただければ
とてもうれしいです。
81日間、
どうもありがとうございました。

(あ、最終回の日記には
 ちょっとしたおまけが
 隠されているんですけど、
 気がつきました?)
(担当者 永田泰大こと永田ソフト)

2003-09-13-SAT


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