ほぼ日 |
では、次の県、
さっそくいきましょうか。
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みうら |
いきましょうか。
さみしいけど。 |
ほぼ日 |
はい。 |
みうら |
(県のくじを引く)
またここからひとつ、減るんだね‥‥
あ、丸い県だ。 |
ほぼ日 |
はい、山梨県です。
山梨県といえば、やっぱり
ブドウ、富士山、ですね。 |
みうら |
そうですよね。当然、そうなりますよね。
ぼくは富士山には
5回くらいは行っているような気がしますが、
富士山の5合目に売っている
とうもろこしの話をさせてください。 |
ほぼ日 |
とうもろこしの。 |
みうら |
ぼくは、とうもろこしが好きなことで
家では有名です。
じゅんはとうもろこしが好きだ、
とうもろこしが入っていれば苦手なものも食う、
と、評判でした。
例えば、ぼくはサラダは好きじゃないですけど、
とうもろこしをプラスしてもらえれば
とうもろこしだと思って
サラダも食べるぐらい
とうもろこしが好きです。
ですから、とうもろこしを
焼いて売っているところでは、
当然、買います。
前回、富士山の5合目に車で近づいたときも
そこでもろこしを焼いてることは、
すぐに発見しておりました。 |
ほぼ日 |
敏感なんですね。 |
みうら |
ところでぼくは、
「1もろこし、ひとり」という考えで、
これまでやってきました。
1本のもろこしをふたつに割って
人に与えるほどの余裕はないです。
もろこしは、1本まるまる自分が食う、
という考えです。
でも、必ず「ちょっと食べさせて」という人が
いるでしょ?
ぼくは「ちょっと食べさせて」が
いちばん嫌いです。
だったら1本買えばいいじゃないか、と
思うんです。
しかしどうやら、特に東京の人は、
「ちょっと味見」が好きなようで、
ちょっと食べる人、多いです。 |
ほぼ日 |
そういえば、そうかもしれません。 |
みうら |
ぼくは、とうもろこしの芯の付近と、
先の尖った部分の、食べていいのかわからない
粒みたいなやつがくっついている、
あそこが好きなんです。
ですから、全部いかないと、
食った気がしません。
富士山の5合目に近づいたとき、
「あっ(売ってる)!」と思ったけど、
車に同乗者もいたので、
気づかれないように降りて
スッと食べてしまおうと考えました。
ほかの人たちはみんなトイレに向かったので
ぼくは車を降りてすぐに
とうもろこし屋さんに駆け寄り、
トイレの横の壁近く、人から見えないところで、
ひとりでもろこしを食べました。 |
ほぼ日 |
すごい執念ですね。 |
みうら |
ところが、そのとうもろこしをひと噛みしたら
とても‥‥とてもこの世のものとは思えない
質感でした。
チンを4回以上したような
感じだったんです。
「うなぎのチン」の話は山口県の回で
しましたが、そこのとうもろこしは、
すごかったです。
おそらく、登山者が訪れるたび、
焼いている雰囲気を出すために
毎回同じもろこしを網に乗せていたんでしょう、
たぶんサンプルもろこしですね。
カスカスになっていたんですよ。
カスカスの場合、とうもろこしは、
表面と中身が外れてしまうこともありますから、
表面の皮の部分が、前歯に刺さりました。 |
ほぼ日 |
やばいですね。 |
みうら |
ぼくはそのとうもろこしを
2噛みくらいして
捨てたんですけれども、
その後、とうもろこしが歯に刺さってるのを
友だちに見つけられ、
「とうもろこし食ったんだ」
ということになって、
大人としてけっこうきつい思いをしたことを
ここに報告させていただいきます。
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ほぼ日 |
ずいぶん大人になってから
そういうことがあると、落ち込みますね。 |
みうら |
大人になる前に富士山に行ったのは、
おそらく修学旅行だったと思います。
そのときから、いまもおみやげとして
変わらず富士山に存在しているものがあります。
それは、空気の缶詰めです。
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ほぼ日 |
ああ、見たことがあります。
昔、話題になりましたね。 |
みうら |
1970年にアポロ飛行船が月に着陸し、
宇宙食に似たものが流行しました。
その流行に乗って、空気の缶詰めも
みやげもの屋をにぎわすことになったのに
違いありません。
中学生だったぼくは、それを
買わなければいけないものだと思いましたので、
まずはふたつ、手に取って悩みました。
緊急事態になったときに
ふたつで足りるのか、
という話です。 |
ほぼ日 |
はあ。 |
みうら |
緊急事態って、どういうときでしょうか?
ぼくと友だちは、
みやげもの屋で話し合いました。
緊急事態とは、地球が危なくなり、
酸素がなくなった状態であると、
ぼくの友だちは主張しました。
そのときに、空気の缶詰めをパカッと開けて
スーッと吸えば何分かは持つ、
そういう結論に至ったのです。
しかし、空気の缶詰め1缶は
そんなに大きくはありません。
救助隊が来るまでに
何個開けたらいいのでしょうか。
結局、ぼくたちは2缶ずつ買うことにしました。
緊急事態に使うものなので、
京都の実家の自分の部屋の押入れに
ずっと入ったままになりました。
缶の縁も、ものすごく
錆びたようになってましたけど、
ぼくはいまでも、その中に、
フレッシュな酸素が入っているんだと
信じてやまないんです。
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ほぼ日 |
あれは、使うものじゃなくて
おみやげじゃ‥‥ |
みうら |
この前、富士山に行ったときも、
空気の缶詰めは売っていました。
いま、地球が危機だと言われています。
何個用意すればいいのか、
そのときもまた、迷いました。
中学生は2缶で済むけど、
大人は10缶は
いるんじゃないかという話になりました。
しかし、10缶買うのはきついので、
5缶買って帰りました。
その缶詰めは、いまも家のどこかに
置いてあると思います。
ですから、いつか緊急事態になったとき、
ぼくの近くに住んでいる人には、
空気の缶詰めを2缶、お分けしてもいいです。
「やばい、酸素がない」
というときに、申し出てください。
2缶では、きっと数分しか
耐えられないと思うけども、
最期に何か言いたいとき、
空気がないと言い残すのはつらいと思うので、
どうしても愛の告白をしたい人などは、
利用していただければと思います。
2缶吸えば、たぶん「好きだった」くらいは
言えると思いますので。 |
ほぼ日 |
ところで、みうらさんは
富士山の頂上まで登られましたか? |
みうら |
5合目以上は、
もちろん登ったことはありません。
いつも、雲が出たり、
霧が出たりしていましてね。
空気の缶詰めを扱うみやげもの屋の横の
わき道を入って行くと、
大きい天狗が祀られている神社があって、
そこには行ったことがありますよ。
その神社の朱印帳は、
天狗の面が刺繍してあります。
富士山5合目に行かれたら、ぜひとも
この天狗神社の朱印帳と
空気の缶詰めを、
自分にあった本数分、
買って帰ればいいと思います。 |
ほぼ日 |
空気の缶詰は、缶詰の外側だけで、
中はからっぽですよね。 |
みうら |
中にフレッシュな空気が
入ってるんですよ。 |
ほぼ日 |
でも、正直、
外側だけの重さですよね。 |
みうら |
測ったことはないですけど、
フレッシュな空気の分、
重いんだと思います。 |
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今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は
下の動画でおたのしみください。 |