ほぼ日 |
(みうらさんの引いた県のくじを見て)
あ、富山県です。富山県がきました。
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みうら |
富山県。 |
ほぼ日 |
ホタルイカですね。 |
みうら |
そう、ホタルイカがね、光るんですよ。
とてもきれいで、
ロマンチックなんです。
ぼくは富山県ではじめて
ホタルイカがあんなに光るのを見ました。
それは、ホタルイカの記念館で、
なんですけれども、
そこに行けば、
ホタルイカが光ってるところが
いつでも見られるんですよ。 |
ほぼ日 |
ええっと、滑川市の
ほたるいかミュージアムですね。 |
みうら |
ホタルイカってそんなに
常時光ってるわけじゃありませんし、
しかも、夜じゃないと
光っているのはわかりません。
でも、そこのホールでは
ホタルイカが発光するショーをやってくれます。
電気を全部消して、ミュージアムのお姉さんが
ホタルイカが入っている水槽を揺するんです。 |
ほぼ日 |
揺する。 |
みうら |
すると、ホタルイカが発光して、
見に来ているカップルが
「いいねー」「きれいねー」
とか言います。
でも、よくよく聞いてみると
奴らは威嚇してるっていうじゃないですか。
平和に泳いでいたところ、
いきなり揺らされたもんで、
「おい! 何やってるんだよ」
と、言ってるっていうじゃないですか。
水の中だから、
ホタルイカの言葉は聞こえません。
だけど、それを見て、水の上の人間は
「ロマンチックね」とか言ってますけど、
「何やってんだよ」
「しかも、何回も」
‥‥何回もやってるんですよ、そこ。
1時間に1回どころじゃなかったと思います。 |
ほぼ日 |
ははは。 |
みうら |
平和に暮らしていたホタルイカが
部屋の電気を消されて何回も揺らされて
発光させられてるんですよ。
人間が「いいな」と思っていることは
相手にしてみれば、
とても迷惑なことなのかもしれません。
以前、力説しましたが、
「カニの季節だ」とかいう言い方も、
大きなお世話だと思うんです。
カニに季節なんかないわけで、
オールシーズンいるのに、
人間の都合に合わせて
「そろそろおいしいだろう」「カニの季節だ」
なんて、ほんとうに迷惑だと思います。
ホタルイカだって、
人間の都合で何度も光らされて、迷惑ですよ。
最終的には、酢味噌につけられてるんですよ。
うまい。
しょうがない。
ぼくは、酢味噌につけたら
なんでもうまいと思ってしまいます。 |
ほぼ日 |
‥‥‥‥。 |
みうら |
どんなものでも、酢味噌につければ
たいがいうまい、
それを立証してもいいぐらい、
ぼくは酢味噌が好きです。
さすがにうまいものには、
酢味噌がついたもんですよ、
ホタルイカに酢味噌をつけた人なんて
抜群のセンスだと思います。 |
ほぼ日 |
はあ。 |
みうら |
さすがに、ホタルイカだって
酢味噌につけられたら、
発光している場合じゃありませんね?
もう死んでますから、
しょうがないですけど、
おいしかった。
おいしかった。
ミュージアムの横のレストランでは
ホタルイカづくしのメニューがありました。
見てきたばっかりじゃないですか、いま。
「かわいい」とか言ったばっかりなのに
おいしいんです、これがまた。
人間って何なんでしょうね。
いままで「ロマンチックだ」とか
「かわいい」「きれい」と言ってきたものが、
酢味噌あえにしてあったら
ばくばく食うわけですよ。
しかもうまいときてるじゃないですか。
すべての料理に、
ホタルイカがあしらってある、
そんな料理を見たことがありますか?
「づくし」って、どうなんでしょう。
「づくしていこう」、なんていうのは、
何なんですか、これ。
これも人間が考えたことですよ。 |
ほぼ日 |
さきほどから、人間批判が‥‥ |
みうら |
カニづくしとか、エビづくしとか、
いろいろあるでしょう。
しかし、づくすと、
中には苦手な人だっていますよ。
「カニ以外のものをお願いします」と言って、
店の人に怒られた人だって、
見たことありますよ。
「かに道楽」でね?
その人がよくないと思いましたけど、
その人はカニアレルギーでした。
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ほぼ日 |
それは、しょうがないですね。 |
みうら |
しかし、ホタルイカづくしの料理は
とてもづくしてあるので
「このご飯に、けっこう合うじゃないか」とか、
びっくりするくらいのことは起こりますので、
ぜひとも召し上がってください。
あとはね、富山県というと、
ロマンチック街道という道があります。
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ほぼ日 |
ドイツじゃなくて、富山県ですか。 |
みうら |
あのね、それは
タクシーの運転手さんから
うかがったことなんですが、
前の市長さんが「そうしたんだ」って
おっしゃってました。
地方には、そういうおもしろいことが
あるんですよ。
前の市長さんが決めたこと、
それは、いいか悪いかじゃないですよ。
「ゆかい」「ゆるい」「おもしろい」
というのは、
いいか悪いかじゃないですからね。 |
ほぼ日 |
はい、はい、肝に銘じております。 |
みうら |
ロマンチック街道は、ゆるかったぁ。
「ロマンチック街道」って書いてあるんだけど、
ロマンチックに、まず
こっちからなっていかなきゃ
なんないんです。
それは大変ですよ。
あとは、富山県といえば‥‥
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ほぼ日 |
薬売り。 |
みうら |
ああ、そうです、
富山の駅前に、富山の薬売りの銅像が
立っています。
ぼくはこれまでいろんな銅像を
見てきましたが、
「いちばん重い物を持っている」という
印象を受けました。
米だわら一俵を担いでいる銅像も見ましたし、
いろんな大きなものを銅像は持っています。
けれども、薬売りの銅像は
そうとう重そうでした。
やっぱりいろいろあるんでしょう。
行商に行っても、
思いのほか売れなかった状態の
銅像だと、ぼくは思います。
待ち合わせの広場で、
こうべを垂れて立っていらっしゃいました。
「明日があるよ」
「明日、バカ売れだよ」
そう言ってあげたくなるような
いい銅像でした。 |
ほぼ日 |
いい話です。 |
みうら |
富山県のおみやげには、
木彫りの雷鳥がありますよ。
みやげもののハードルの高さで言うと
木彫りって、そうとう高いと思うんです。 |
ほぼ日 |
かさもありますからね。 |
みうら |
いやげもの(いやなみやげもの)度
ナンバーワンですよ。
もらったほうも、ドキドキすると思うんです。
「オレがあげた木彫り、どこやったの?」
と、訊かれることを想像してみてくださいよ。
だから、ほんとうに好きになってくれる人を
探したいなら、雷鳥の木彫りを買って、
その人にあげればいいと思います。
その人の家に行ったときに、
いちばん目の届くところに置いてあった
彼または彼女とは、
結婚してもいいと思います。 |
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今回のお話をノーカットでごらんになりたい方は
下の動画でおたのしみください。 |