糸井 |
「こたつ寄席」の件はだいたいOKだとして、
今日は、もうひとつ、相談ごとがあるんですよ。
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志の輔 |
はい。
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糸井 |
春風亭昇太さんと
「はじめての落語。」を
やったときには、
イベントの様子をCDブックというかたちで
本屋さんを通して販売したんです。
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志の輔 |
はい、はい。
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糸井 |
それは、落語というものを
一般の人に伝えるための
新しいかたちだったんですけど、
今回も、志の輔さんの落語を
ふだん寄席に行かないような人に届けるために、
いろいろと考えていまして。
それは、冨田のほうから説明します。
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冨田 |
はい。
あの、ひとことで言いますと、
落語とiPodをつなげていきたいと思ってます。
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志の輔 |
‥‥はあ。
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冨田 |
このパソコンを見ていただきたいんですけど、
これは、「iTunes Music Store」というもので、
ようするに、パソコンのなかで、
音声データが購入できるっていう
ものなんですね。
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志の輔 |
‥‥はあ。
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冨田 |
で、ここから、志の輔さんの落語を
販売できないかと考えているんです。
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志の輔 |
‥‥‥‥ほお。
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一同 |
‥‥‥‥。
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志の輔 |
よくわかっていないんですがね(笑)。
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糸井 |
あははははは。
志の輔さんは、iPodについては、
どのへんまでおわかりなんでしょうか?
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志の輔 |
ええと、まえに、糸井さんから、
iPodのいちばんちいさいやつを
いただきましたよね。
なんていいましたっけ?
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糸井 |
シャッフルですね。
「iPod shuffle」。
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志の輔 |
シャッフル。
あれをね、私のラジオのリスナーに、
こないだプレゼントしたんですよ。
私のCDとセットにして。
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糸井 |
ほお。
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志の輔 |
ま、届いたら、
「このCDをシャッフルに入れて
聴いてください」ってことで。
で、そんな仕組みを知ってる人が
この番組を聴いてんのかな、
みたいなことを思ったんですけど、
ちゃんと応募がありまして。
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糸井 |
ほおほお。
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志の輔 |
ま、とりあえず、
糸井さんにプレゼントしてもらったおかげで、
そういうものが世の中にあって、
それがリスナーにプレゼントできるくらいの
値段だってことがわかったわけです。
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糸井 |
そうですねえ。
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志の輔 |
で、まあ、そんなにたいした数が
入るわけでもないんだろって思ってたら、
あのちいさいやつでも1000曲は入ると。
ま、ふつうのCD1枚に
10曲入ってるとすると100枚分ですよね。
ああ、落語のCDが100枚入ってるってのは
たいへんなことだなあと。
そんなふうに思ってるような状態ですね、
いまは。
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冨田 |
で、そのiPodに、志の輔さんの落語を入れて
聴いてもらいたいなと思うんです。
この「iTunes Music Store」から
音声データを販売すると、
家のパソコンから買うことができて、
すぐにiPodで聴くことができるんです。
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糸井 |
まだ、落語はあんまり売ってないんですよ。
いまのところ、志ん生さんのとかが
ちょっとあるだけっていう状態なんだよね。
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冨田 |
はい。
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志の輔 |
ふつうのCDが売ってるのと
同じように売ってるんですか?
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糸井 |
そうです。
いまは一席、だいたいいくら?
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冨田 |
700円ですね。
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志の輔 |
うーん‥‥ごめんなさい、
ちょっと、よく‥‥。
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冨田 |
ええとですね、まず、ここで
試し聞きができるんですよ。
こんなふうにして‥‥。
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志の輔 |
え? 意味がわからない。
試し聞きができるってことは、
それを保存すれば、
ずっと聴けちゃうんじゃ‥‥。
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冨田 |
あ、聴けるのは30秒くらいなんです。
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糸井 |
ものすごく短いんです。
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志の輔 |
ああ、ああ、そうか。
でも、落語を30秒くらい聴いただけじゃ
なんにもわかんないでしょう(笑)。
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糸井 |
ははははは、そうですね(笑)。
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志の輔 |
「えぇ〜、お栄という女がいましてな」って、
それだけで買おうと思うわけがない(笑)。
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冨田 |
あ、これの視聴は1分30秒ですね。
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糸井 |
でもね、志の輔さん、
ほんとにこれ、落語には向いてるんですよ。
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冨田 |
めちゃめちゃ向いてるんですよ。
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志の輔 |
そうなんですか。
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西本 |
たとえば、実際の公演をCDにすると、
やっぱりつくるのに時間がかかりますよね。
でも、音声のデータ販売というかたちだと
それよりもずっと早くリリースできるんです。
だから、公演を観た人がすぐ買えるし、
公演を観られなかった人も、聴くことができる。
だから、広がる速度がすごく速くなるんですよ。
たとえば今度やるイベントにしても、
会場に来たお客さんの口コミだけで
それが広まっていくってことだけじゃなくて、
「iTunes Music Store」で
売っている商品として別の広がり方をしていく。
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志の輔 |
うーん、うーん、うーん‥‥。
‥‥ついて行ってない。
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一同 |
(笑)
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志の輔 |
すいませんね(笑)。
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冨田 |
ちょっと、実際にやってみますね。
(パソコンを操作しながら)
いまここに、
志ん生さんの落語が売ってるわけです。
私、ちょうど昨日、
買おうと思ってたんですけど
どれを買ったらいいかよくわからなくて‥‥。
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糸井 |
「らくだ」「塩原多助一代記」「わら人形」
「唐茄子屋」「稽古屋」
「塩原多助一代記」‥‥。
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冨田 |
どれがお勧めですか?
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志の輔 |
ああ、このなかでですか?
いちばんわかりやすいのは
「唐茄子屋」じゃないですかね。
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冨田 |
「唐茄子屋」。
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糸井 |
そうね、はじめから
「塩原多助」を買うことはないな。
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冨田 |
ああ、そういうことが
ぜんぜんわかないんですよ。
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糸井 |
「唐茄子屋」はいいよ。お買得よ。
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冨田 |
じゃ、ちょっと買ってみますね。
私はもう、前に1回買ったことがあるんで、
こうやってパスワードを入れると
すぐに買えるんですけど‥‥「購入」。
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糸井 |
‥‥え? いま買ってみせたわけ?
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冨田 |
はい。いまアクセス中です。
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志の輔 |
いま、この、パソコンの、
ハードディスクのなかに、
「唐茄子屋」が入ってると。
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冨田 |
はい。
あ、いまダウンロード中ですね。
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志の輔 |
へえー。
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冨田 |
あ、来てる来てる。
ちょっとかかりますが‥‥
あ、終わりました。
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志の輔 |
え、いま、これ1個700円ですか?
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冨田 |
700円です。
これでもう、私のこのパソコンに
全部入ってる状態です。
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糸井 |
一席買うのに、いまの速度なんですよ。
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冨田 |
で、iPodをつないだら、
「唐茄子屋」がiPodで聴けるわけです。
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志の輔 |
はぁーーー、ふーーーん、へえーーー。
いやぁ‥‥これ、
やっぱりレコード屋は怒るわ。
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糸井 |
ははははは!
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一同 |
(笑)
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志の輔 |
これはレコード屋は怒るよねえ(笑)。
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