続・はじめての落語。 立川志の輔ひとり会
志の輔×糸井重里対談! イベントについてはこちら!
第5回 落語家がいちばんの落語好きなんだよ。
糸井 志の輔さんとやる、つぎのイベントでは、
落語について、いろんな話が
できたらいいなと思っているんです。
来てくださった人に、
いろんな噺家さんがいて
いろんな落語があることを
知ってもらいたいと思って。
ぼく自身も、落語を聴きながら
「いままでどうして
 聴いてなかったんだろう!」
って思うことが何度もありますし。
たとえば、昇太さんの師匠の
(春風亭)柳昇さんなんて、
亡くなってから聴くようになった。
志の輔 ああ、柳昇師匠はすごいですねえ。
亡くなったあとで、
あらためて柳昇師匠の作品を
ひととおり聴いてみたんですけど、
「あぁーー、こんな噺、絶対、
 誰にも思い浮かばないよな!」
っていうものばっかりなんですよ。
糸井 ああ、そうですか。
志の輔 最後まで、新作をつくられてたんですよね。
これは昇ちゃんから
聞いた話なんですけど、
柳昇師匠に、昇ちゃんが、
「師匠はどうして古典をやらないんですか?」
って訊いたことがあったそうなんです。
そしたら、柳昇師匠は、
「ぼくはね、新作がつくれなくなったら
 ぼくの価値はないと思うのでね、
 新作をつくり続けるんだよ。死ぬまで」
って、おっしゃったそうです。
それを、まえに聞いたときには、
「いまさら古典なんてやれるかい」
というぐらいのことかなと思ってたんですが、
最晩年の「カラオケ病院」なんかを
あらためて聴くと、いやぁ、もう、
たしかにこんなことは誰にもできないぞ
っていうふうに思うんです。
ところが、それだけすごくても、
やっぱり世の中には
「落語の中には圓生の流れがないとダメだ」
「文楽の流れがないとダメだ」っていう、
表現のセオリーにこだわる人たちがいて、
そういう人たちには
なかなか認められなかったりするんですよね。


糸井 うん、うん。なるほど。
あの、そういう話を、
イベントの当日にしていただきたいんです。
それが、「こたつ寄席」の部分ですよね。
そういう話がね、たぶん、
ふつうの人にも、わかると思うんです。
志の輔 ほんとですか。
糸井 具体的にその人のことを知らなくても
通じる話はできると思うんですよ。
あいだあいだで、
ぼくもどんどん質問させてもらいますし。
で、「はじめてのJAZZ。」のときに、
山下洋輔さんたちに
実際に演奏してもらったように、
その話が出たら、落語のレコードを
どんどんかけていきたいんですよ。
だから、こたつでこう、話していて、
柳昇師匠の「カラオケ病院」の話になったら
「ちょっと聴いてみましょうか」
っていう感じで。
志の輔 ああ、ああ、なるほど。
糸井 もちろん、事前に、
どのあたりの話をするのかを
ある程度、
絞っておかなきゃいけませんけど。
志の輔 しかし、やっぱり、
糸井さんのお客さん‥‥
というより、
「ほぼ日」のお客さんというのは、
やっぱり、そういうような話がわかる、
というか、
わかるとかわからないというより‥‥。
糸井 「わかりたい」というお客さんですよね。
志の輔 うん。そういうことが
「たのしめる人たち」なんですかねぇ。
糸井 だと思います。
これは、絶対、自信ありますね。
さっきのような話が、
きてくださったお客さんに
ウケることは自信があります。
志の輔 ほぉー。
糸井 たとえばそれが
「いつごろにつくられたどういう噺か」
みたいなことは、必要ないんですよ。
用語解説もあらすじも、
どうだっていいんですよ。
「いいなぁ〜」って思う
ギターフレーズがいいのと同じで。
「ここ、しびれるよね!」
っていう話がしたいんですよねぇ!
志の輔 あああ、なるほどね。
糸井 もちろん、落語の部分は
ちゃんと高座でやっていただいて、
まあ、ご無理をお願いすることに
なるんですけど、
こっちの「こたつ」の部分では、
落語についての話を
思う存分、していただきたいなと。
だから、「こたつ」では、
「落語家がいちばんの落語好きなんだよ」
っていうのがテーマになるんじゃないかと
思うんですけども(笑)。
志の輔 「落語家がいちばんの落語好き」、
それはたしかにそのとおりなんですよ。



(続きます!)

2005-11-30-WED
 
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