糸井 |
落語家さんどうしっていうのは、
ふだん、会うんですか? |
昇太 |
ええ、会いますよ。
仕事場で会ったり、寄席以外でも、
ただほんとに飲みに行ったりとか。 |
糸井 |
はぁ〜。意外と横のつながりが。 |
昇太 |
ありますね。 |
糸井 |
落語の人どうしは、会うと
やっぱり落語の話をするんですか? |
昇太 |
組み合わせとして両方ありますね。
まったくしない人もいますし、
この人とだったら、必ず最終的には
落語の話になるって人もいるんです。
志の輔さんなんかと話すときはもう、
最後は落語の話ですよ。 |
糸井 |
なるに決まってる(笑)? |
昇太 |
はい(笑)。
最後には、まず落語の話になってる。
いっしょによく旅行に行くんですけどね、
行くときは「落語の話ナシな」って、
志の輔さんは言うんだけど、けっきょく、
ホテルでふたりで飲んでると、
最後は落語の話で終わると(笑)。 |
糸井 |
一般的にいえば、
それは仕事の話ってことだよね。
だから、すごい堅物どうしみたいなもんだね。
旅行に行っても仕事の話をしてるっていう。 |
昇太 |
そうですね(笑)。 |
糸井 |
じゃあ、さっき言ったような、
何回も同じ演目を同じ場所でやれば、
お客さんが入れ替わるんじゃないか
みたいな話は、
もうとっくに出てるってことですよね。 |
昇太 |
ええ。あと、ま、その、
「いまの落語界の悪いところはここだ」
みたいな話は、
毎回おんなじことしゃべってますね。
だからもう、確認作業みたいな感じですよ。
今日の確認をそろそろ始めます、
みたいな感じで(笑)。 |
糸井 |
指さして(笑)。 |
昇太 |
そうそうそう。
「ここが問題ですよね」って。
指さし確認なのに、
2時間ぐらいやりますからね(笑)。 |
糸井 |
で、楽しいんでしょ? |
昇太 |
もうそれはそれで楽しいですね(笑)。
やっぱ好きなんですね、落語が。 |
糸井 |
好きなんですねぇ〜。
|
昇太 |
で、そういう話がまったくできない
落語家の人もいるわけですよ。 |
糸井 |
落語をやってる人なのに。
それは、なんなんですか?
年齢に関係ありますか? |
昇太 |
いや、年齢に関係なく、
意見を確認し合えない人は
やっぱりいるんですよ。 |
糸井 |
わかんないもんですねぇ。
だって、落語っていう変な道に、
わざわざ入った人でしょう?
だけど、落語の話ができないって場合はあると。 |
昇太 |
ええ。ん〜、ま、いろんな人がいるんですけど、
たとえば、落語家になった時点で、
もう夢が成立しちゃってる人もいるわけですよ。 |
糸井 |
ああ、そっか、そっか、そっか。
落語家になったっていうことで、
自分の名刺ができてしまうと、
もう、満足しちゃうわけだ。 |
昇太 |
ええ。もう、しあわせです、っていう。
「私、なんとかなんとかでございます」って、
言ってるだけでしあわせ、みたいな。
家に帰って箪笥を開けると着物が入っていて。
明日の着物はこれにしようって言って、
もう、うれしい人もいるようなんですよ。
で、そっから先へはあまり進まないという。 |
糸井 |
そういう人の数が、じつは多いんですか。 |
昇太 |
多いのかもしれないですねぇ。
|
(続きます!)