乗組員やえの疑問

いま、世界一高いタワーは?

スカイツリーおじさんの解説

すでにオープンしているタワーとしては、
カナダのトロントに建っている
CNタワー」が現在世界一高いタワーで、
その高さは553.3m。
このタワーは、1976年の開業です。
胴体部分の平面はY字型で、
最上部447mの高さに展望台があります。
また、フロア全体が回転するレストランや
ガラス張りの床の部屋など、
アミューズメント施設としての
仕掛けも施されています。

第2位は、ロシアの「オスタンキノタワー」で、
高さ540.1mの、モスクワのテレビ塔です。
1968年に(電波放送開始は1967年、完成が1968年)、
世界で初めて500mを超えた自立式電波塔なんです。
2000年に火災に遭いましたが、
その後、無事に復旧しています。

第3位は、中国は上海にある「東方明珠電視塔」。
オリエンタルパールタワーと呼ばれる
上海テレビ塔で、高さ467.9m。
1995年に開業しており、
高度経済成長の上海を紹介するテレビや雑誌などで
その未来的な(?)特徴あるデザインを
目にしたことがあるのではないでしょうか? 
上海が急速な成長を遂げた
1990年代の建設ですから、
日本の東京タワーと同じく、上海市民にとっては
「自分たちの希望の塔」として
象徴的にとらえられているようです。

これら上位3つのタワーは、
いずれも水辺に近い地域に建っており、
鉄筋コンクリート造であることが共通しています。
その理由はそれぞれ固有のものがあるのでしょうが、
水辺に近い地域=平野部の方が、
山側よりも都市化しやすく、
そこで電波塔を建てるには、
「高さ」が必要となること、
また、それぞれの彼の地においては、
鉄筋コンクリート造とする方が
構造的にも経済的にも工期的にも
メリットがあったのではないかと推察されます。

なお、今年2010年のアジア競技大会に合わせて
中国で開業予定なのが、
高さ610mといわれる「広州タワー」です。
開業すると、このタワーが世界一の高さになります。
内部にはホテルや映画館、
屋上には水平回転の観覧車がつくそうです。
ちなみにその姿は、
この連載第6回で紹介した
「神戸ポートタワー(設計:日建設計)」とそっくり。
広州タワーの構造設計は、ARUP(アラップ)という
ロンドン本社のエンジニアリング会社が行っていますが、
構造的な合理性を求めると、
洋の東西、時代を問わず、
近接することがあるということを
示す例で面白いですね。

東京スカイツリーは高さ634m、
2012年春の開業予定で、
開業時には世界一の高さの電波塔になります。
でも、ここで紹介したタワーのように、
いずれは世界一の座を誰かに明け渡すことに
なるかもしれません。
世界一の高さという「記録」の話は分かりやすくて、
いろいろなメディアでも取沙汰されますが、
一方で、
世界一の高さのタワーがつくられているのと
同じ時代にいることで得られる「記憶」を、
みんなで共有できることって、
自分たち自身にとって大きいなと感じています。

「ここから見えるよMAP」も記憶を共有する一手です。
ぜひ今の時代を一緒に楽しんじゃいましょう♪

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2010-05-18-TUE