乗組員やえの疑問

東京スカイツリーと街との関係は?

スカイツリーおじさんの解説

「ここから見えるよMAP」の写真にあるとおり、
本当にいろいろなところからタワーが見えますね。

単純に最高高さ634mと目立つこと以外に
実は、立地による街との関係も、
東京スカイツリーがよく見えている一因なんです。
つまり、タワーの足元に建物がほとんどなくて、
足元から上まですっと見通せる「都市軸」が
何本も通っているのです。
例えば、敷地南側を走る北十間川沿いは、
「逆さツリー」と呼ばれる、
タワーが川面に映りこんだ写真の撮影ポイント
としておなじみですが、
川という都市軸上だから全体が見えるのです。


▲ 2010年11月撮影
逆さツリー/撮影:新 良太

また、JR錦糸町駅の南北周辺は碁盤の目のように、
江戸時代から「町割り」ができていますが、
その中の1本の辻からも、
通り真正面の焦点にタワー見えます。
こうした町割りの軸は、
低層部など、建物全体の構成にも反映しています。
ちなみに、墨田区のエリアでは、
この道路沿いの電信柱を地中化して
タワーを見えやすくするとか、
「景観づくり」を墨田区で取り組んでいます。

同じような軸は、隅田川の対岸にもありますし、
荒川からタワーへ向かう道、
向島エリアからタワーへ向かう道など、
タワーが焦点として見える道路や河川は
タワーから5キロ圏内だけでも20本近くあります。
遠くは、以前も紹介したJR中央線もありますし、
東京ゲートブリッジ中央とも直線上に見えます。


▲2011年1月撮影
隅田川からの軸沿いの写真/撮影:新 良太

立地ですから偶然な話でもあるのでしょうが、
逆に、634mのタワーが建つことで、
こうした都市の軸が浮き上がってきた
とも言えそうです。

ところで、タワーの南に流れる北十間川。
細い川ですが、
かなりなポテンシャルを秘めているんですよ。
墨田区は北十間川沿いの護岸修景等に取り組んでいて、
こちらの整備もかなり進んでいます。
水質浄化設備も計画されていますし、
船着き場をつくり、水上バスを運行させる計画も
検討されているそうです。
ただ、現段階では、洪水防止用の樋門によって
隅田川とは水位差があり遮断されています。
これを水上で行き来できるようにするには、
パナマ運河のように、
閘門(水門)をつくって水位を調節(上下)させる
必要があり、簡単には解決できない状況です。

でも、こうした水上ネットワークが形成されれば、
隅田川沿いの浅草、お台場、東京ディズニーランド
とも結ぶことができるかもしれません。
海外からの観光客が、空港から水運を使って、
東京スカイツリーを訪れる、なんてこともできるかも。

江戸時代の東京は、
水を基盤として豊かな舟運や生活用水路で結ばれた、
ヴェネチアにも負けないような
「水の都」だったのですから、
東京スカイツリーをきっかけに水辺再生への動きが
活発になると面白いですね。
きっとそれは、世界中の目を日本に向け、
都市としての競争力を高めるものになりますし、
単純に、もっと元気が出て、
楽しい街につながるんじゃないかな、と考えています。

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2011-05-31-TUE