第15芸
ウンチクぶちこわしの術 |
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知ったかぶりというのが、います。
何に関しても一言のたまわないと気がすまないやつです。
だいたい、こ−ゆ−やつは、
「世の中の動きに否定的」であったりするものです。
「あの店?ああ、あそこは息子が手伝うようになって、
ダメになったね−。
ありや、ある種の観光食堂ですヨ」
なんてことばかり言ってます。
自分だけが本物で、あとは遅れた大衆ども、
だと思ってるのです。
自分があんまりみんなに人気がないのは、
「やつらが遅れているから」だと思っています。
こ−ゆ−やつの言うことは、ほとんどが、
常識の「単なる裏返し」か「奥さまクイズ番組」的な
知識のひけらかしです。
「飛行梯ってのは、金属のカタマリだろ。
あんなモンが空飛ぶわきゃないよ」
なんてバカを言って一人でヨロコンでいるものです。
要するに、世間の皆さんがどれくらいススンでいるかを
計れない人間なのです。
こ−ゆ−やつにかぎって、「ツマヨージ」を語ります。
(あの、ツマヨージを語る人を
憎んでるわけじゃありませんよ。ヤなやつもいる、と)
「ツマヨージの、ホレ、この頭のミゾね。
これ、何故あるか知ってる?」
で、2本目のミゾのところでポキッと折って、
箸置きのようなものをつくりますですね。
そいで、ヨージの先を、置くのですよ。
セコイね。ヤだね。
ツマヨージなんてものは、使い捨てるものですよ。
何度も置いたりホジったりをくり返すものじやないよ。
貸し借りも、あんまりするもんじゃないしね。
こーゆー現場に居あわせたら、
あなたも、おやんなさいまし。
(ただし、善良な人かどうか、よく見定めて、
ヤなやつにだけやるのヨ)
「あ、そう。なるほどね。ポク、割り箸のことは
知ってたんだけど……」と言って箸を手にします。
切り込みが、どのあたりまで入っているかを確かめて
バキッと、横に折ります。
「これ、2木の箸と、箸置きができるでしょ」
音響的に、こっちのほうがスゴイから、
さっきのツマヨージなんかブッ飛んでしまいます。
(実は、ヨージもハシも、嘘らしいけどね)
イラストレーション:夏目房之介 |