第18芸
エゴ・ウォッチ |
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「のぞき族」という種族がおります。
一般に知られているのは、夜行性で、
公園や広場に出没するタイプのものです。
これは、彼らのテリトリーに接近しなければ
危害を加えられたりすることもないので、
比較的「あつかいやすい」と言えましェう。
しかし、日中友好白昼堂々、唐突に現れる
「のぞき族」については、こちらが油断している時だけに、
非常に対処のしかたが難しい。
危害を加えるわけじやないけど不快を加えますですね。
満員電車などにも、よくいるでしょう。
あなたが少ないこずかいをはたいて、
やっと買った大切な「東京スポーツ」なんかを読んでる時、
江川8回なんてミダシが、ヒラヒラと他の男の顔を
くすぐったりする。
ここで、地位も名誉もないけれど、
ちやんと妻も子もありローンもある平凡な中年男が、
「唐突のぞき男」に変身してしまうのですね。
グイと首をのばして、「江川が8回」にKOされたのか、
「江川が8回」まで完封におさえたのかを、
のぞくわけです。朝食にあたためなおした
「我が家の自慢・ニンニクたっぶりスタミナ餃子」
を食べたことなんか忘れてるわけ。
まるで、「ここに居あわせたのも神のオポシメシ」
とでもいうように、あなたの新聞なのに、
ぼくたちふたりの新開みたいに熟読しはじめる。
あ−ゆーのは、血だね。先祖代々流れている血ですよ。
カラダが自然に動いちゃうわけですね。
ま、これは白昼の「唐突のぞき男=新聞版」だけれど、
他にも「週刊誌版」や「時計版」がある。
ここでは「時計版」の「のぞき」をやっつける
方法をお教えします。
電車にかぎらず、喫茶店でもバーでも、
「いま何時?とたずねずに、当然のように
あなたの時計をのぞくやつがいるでしょう(エゴ・凝視)。
この無礼に対してあなたは(エゴ・時計)
で闘いを挑むわけです。
イラストレーション:夏目房之介 |