ITOI
スナック芸大全


33カレーライス・クイズ


だいたいクイズというのは悪い心が考えるものです。
こ−ゆ−問題を出せは相手が困るだろう、とか、
おまえなんかこ−ゆ−ことを知らないだろう、とか
イジワルな心がクイズにはあるわけですね。
「ねぇ、クイズ出そうか」と言えば、たいていの人は
「お、来たな、このヤロー」と身がまえるものです。
こんなに信頼関係をプッこわしてしまって、何が楽しい。
相手と自分、両方を互いに高め合い、ホメ合う、
そーゆークイズをやりましょう。
相手のひと(大勢いたほうが面白い)に、
「カレーライス・クイズをやろう」と言います。
相手はクイズという単語を耳にしただけで
「なんか怪しいな」と思いますから、すかさず
「スッゴク簡単なやつだからサー」
と勇気づけてあげます。
「私がこれから次々にいくつかのヒントを出します。
 ある食物の名前が答えですから、
 わかったら途中でもケッコーですから
 堂々と答えてください」
とクイズの説明をして・・・。
「第一のヒント、それは黄色いものです。
 第二のヒント、インド料理として有名てす。
 第三のヒント、福神漬けをつけたりもします。
 第四のヒント、たった3分あたためるだけ、
 なんてのも、ありますね−」
このへんまてやると、相手の頭のなかは「カレー」
でいっぱいになります。「カレー!」と元気よく
答えたくてしかたがない。
そのくせ言わないで我慢をしているのです。
これは永年にわたってつちかわれてきた悪しき習慣が、
彼の自由にはばたく良い心を邪魔しているからです。
怖いですねぇ、いけないですねぇ。
でも、あなたは、めげません。相手の素直な気持を
信じ続けてあげなければいけないのです。
ハッキリと澄んだ元気な声で、彼が「カレーライスだ!」
と叫ぶまでは、ヒントを出し続けます。
「第五のヒント、らっきょうも、合いますねぇ。
 第六のヒント、関西では上に生タマゴを乗せる
 場合もあります」
第七、第八と想像力をはたらかせて無数にヒントを
出します。
すると、そろそろ相手も
「まさかカレーじやないだろ?」
などと言い出します。これが、素直な良い心の
「芽」なのです。大切に育ててあげましょう。
その名をハッキリ言うように促します。
相手の人は、クイズの呪縛から逃れ、虚脱状態になり、
(たぶん小声で)「カレーライス」と答えるでしょう。
あなたは快心の笑みをたたえて「そーでした!」
と言ってあげます。
めでたしめでたし。

2001-01-03-WED

BACK
戻る