ITOI
スナック芸大全


73世界一コワイ怪談


どんなに心臓の強い人でも、
必ず「わっ」と絶叫し、しはらくは動悸が止まらない。
そ−ゆー、怪談を教えてあげましょう。
ただし、身体の弱い人や、幼児、老人などにしないと
約束してくださいね。

話をはじめる前に、聞いてる人が後ろに倒れても
危険のない場所であるか否かを確認します。
もちろん、あかりは暗くします。

これは、本当にあった話なんだ。
千葉県の、ある大きな病院なんだけどね。
ぼくのともだちの親戚の人が、入院してたんだ。

毎晩夜中の2時頃になると、なんか不気味な音がして、
眠れないんだってサ。
ギーギーって、のこぎりをひくような音がして、
女の悲鳴みたいな声が聞こえるわけよ。

で、その人、手術室で重傷の患者の手術かなんか
してるんだろうと思ったんだね。
軽い気持で、院長先生に話したんだって。

すると、院長、いつもは温和な人なのに、
急に怖い顔になって
『そんな音はしない。しない』
って怒るんだ。

でも、あんまり気持が悪いから、
ある夜、音のするほうに、そっと行ってみたんだって。

廊下、長いわけよ。

省エネかなんかで、電気も消してあって、
暗いのね。
コツ、コツ、コツ、コツ…。

声の聞こえる部屋が、ついに見つかった。
部屋中、まっ赤に血がついてるの。
部屋の中に、おそるおそる入ると、
もうひとつドアがあってね。

ギーッと開いたら、後ろに人影がある。

院長が、血で染まった白衣を着て、
見たな!

この「見たな」は隣近所の迷惑も忘れて、
思いっきり大声で。
そして同時に、両手で「相手の胸をドーンと突く」のです。

そう、力いっぱいに
ドーン

これがコツであります。
話はどんなんでもイイ。

2001-02-25-SUN

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