第76芸
早朝賭博 |
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徹夜は、若いうちは楽しいものです。
適度の疲労とケンタイ感が、
青春の小部屋をやさしく包みます。
「ああ、私たち、生きててよかった」
としみじみ感じられるのは、こんなひと時です。
中年の声を聞いてからする徹夜は、
たとえ「良書」を作るため
という大義名分があろうと、
楽しくないものです。
担当の編集者が、どんなにヨイヒトであっても、
その気持は変えられません。
ところで、徹夜をしていて、最も困るのは何か。
することが、つきてしまう。これです。
話題もない、体力もない、お金もない、
明日への希望もない。
(だって、もう明日なんだから)
こんな時には、ギャンブルでシビれるのが一番です。
スリルがあって、寝呆けた頭で憶えられて、
しかも、ある程度(朝のラジオ体繰ぐらい)の運動
もできるようなバクチ。
これこそ、全日本徹夜振興会承認の
「大早朝賭博」なのです。
1.部屋中探して、マッチ箱を6個集めます。
2.それぞれの箱に、各々、6本、5本、4本、
3本、2本、1本という具合にマッチ棒を
入れておきます。
3.親は、この箱をよくかきまぜて、
遠くへ放り投げます。
4.最も遠くへ飛んだ箱と、その次に遠くまで飛んだ箱を、
開いてみます。
5.このふたつの箱の中にあったマッチ棒の本数の合計が
偶数ならば「チョウ」、
奇数であれば「ハン」です。
6.「チョウ」か「ハン」かを当てっこして
遊ぶわけです。
7.そーこーしてるうちに、みんな眠くなりますから、
陽が高くなったら寝ます。
これは、あくまでも「早朝賭博」なので、
あんまり明るくなってからやっても、
ゲームのダイゴ味がないのです。
「他にすることのある人」は、それをしなさい。
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