縁の下の暖力もち。 待ってました、mioasse 初のレギンス!
近年暖冬とはいえ、外に出るときは どんなに上にダウンやコートを着たとしても、 ボトムスやスカート1枚では脚がスースーして 足首まで冷えてしまいがち。 そこで脚全体をおおうレギンスが重宝するわけですが、 これまでに〈O2〉のソックスを手がけてくださってきた 靴下づくりのスペシャリスト 「mioasse(ミオアッセ)」さんなら、 きっとすばらしいレギンスができるにちがいないと 折り入ってお願いしたわけです。 できあがりを穿いてみて、おどろきました。 おなかからくるぶしまであたたかくて、 なんてストレスのない穿き心地なんだろうって。 冷え性の多い〈O2〉チームのメンバーもニンマリ。 その心地よさのひみつを mioasseの田中さんと中川さんにお聞きしました。 どうやら、mioasseのおふたりも ウールレギンスを待ちのぞんでいたそうですよ。
田中 わたしたちは奈良でものづくりをしているんですが、 奈良は盆地で冬は底冷えするから あたたかいレギンスがほしいね、って話していたところに、 ちょうど〈O2〉からのオファーがあったんです。
―― そうだったんですね。 タイミングよく!
田中 靴下をつくる編み機でレギンスをつくれないかと、 あたらしい素材をためしたり、 サイズ感を変えたりと試作していたんです。
中川 〈O2〉チームからの意見がヒントになったり、 作り方も根本から見直したりして、 ようやく日の目を見ることができました。
―― それがこちらのウールレギンス。 穿いてみると、ストレスがなくてあたたかいし、 ずり落ちてきたりもしません。 へんなあまりがないというか、きつくなく、 ちょうどよくフィットしてくれる感じがします。
田中 靴下づくりでもそうなんですが、 サイズ感には心を砕きました。 だぼつきがなく、ピタピタでもない、 やさしいフィット感をめざしました。 フリーサイズですが、 どんな体型の方でもきゅうくつにならないと思います。 それこそ男性がボトムスの下に履いても。
中川 前提として考えたのは、 ファッション性重視のレギンスではなく、 重ね履きしてもじゃまにならないこと。 タイツを履いて、その上にウールの靴下を履く っていう方がいらっしゃいますが、 それだとウールの靴下のよさがなくなってしまうんですね。 なので、足底までおおうものではなく、 ふとももやふくらはぎをあたためるレギンスをつくりました。
―― たしかに、化繊のタイツの上にウールソックスを履くと、 靴を履いているときなんかとくに 足底が蒸れるなって思ったことがあります。
田中 するするとすべりますしね。
中川 さらに、冬は腹巻きをされる方も多いと思うのですが、 レギンスと腹巻きをつけて、 さらにボトムスを履いたりすると 何枚も重ねることになってしまうので、 それをひとつにできたらいいなと思って、 股上深めのかたちに。
―― 履いてみると、 ちょうどおへその上あたりにきますね。
中川 腹巻きほど上までこない長さにしたので、 おおわれるような圧迫感はなく おなかまわりをあたためてくれますよ。
―― 腹巻きもかねてくれるなんて。 一人二役ならぬ、一“足”二役ですね!
中川 フィット感にも気をくばりました。 おしりの立体的な形に添うように、 後ろ側を立体編みにしています。 股上が深すぎると後ろが上がりすぎてしまうし、 逆に浅いと座ったときにずり落ちてしまいます。 なので、その中間というか、 深すぎず浅すぎないバランスをさぐりました。
田中 その立体的なかたちをつくるために、 いつも使っている機械も変えたんです。 2本の筒を合わせる靴下用の機械だと、 股の部分の強度にすこし不安があったので、 縫い目ができないホールガーメント機でつくりました。
―― ホールガーメント。 聞いたことがあります。 どんな製法ですか?
田中 ホールガーメントは 糸とデザインプログラムをセットすれば、 編み機からデザインどおりのレギンスが丸ごと1本、 ほぼ完成品に近い状態で出てきます。
―― すごい! そのままの形で編み上がるというわけなんですね。
田中 そうです。 ただ、手の込んだ編み方をしているので 1本が編み上がるまでの時間もかかりますし、 端っこのしまつは、すべてニッターさんの手作業で 1本1本おこなっています。 大量につくることができないのはそういうわけなんです。
中川 素材は、ウールと綿のハーフ&ハーフ。 同量入った糸で編んでいます。 そのほうが耐久性が上がるのと、 ピリング(毛玉)が起きにくいメリットがあるんです。 ウール100%も考えたのですが、 一度履くと毛玉ができやすいし、 なにかに引っかかったときに破れてしまうことも。 さらに、綿が入ることで 静電気をおさえられることもわかったんです。 ウール100%だとボトムスの裏地と反応して、 ピタッとくっついてしまうんですよね。
―― あります、あります。 アクリルやポリエステル素材のボトムスだと、 パチパチっと静電気が起きやすいです。
中川 ウール独特のチクチクするような肌あたりも軽減されます。 綿が入ってもじゅうぶんあたたかいですからね。
田中 ポリウレタンがちょっと入っているのは、 ウエストリブの下から裾リブの上までの本体の部分。 体にフィットするためというのと、 履いて生地がのびた後に元に戻る力、 いわゆるキックバックが必要なので少しだけ入れています。
中川 ぐいんとのびるウエストにも入っていそうですが、 糸の編み方がリブ編みになっているので、 ここはナチュラルな伸縮性のみ。 いちばん上の部分だけゴム糸が入っています。
―― ひとつ気づいたことがあって、 通常ならついているタグがありませんよね。
田中 履き心地を考えると 洗濯表示タグを中につけるのを避けたかったので、 いっそタグはレギンス本体につけずに、 パッケージの帯の裏側にプリントしました。 よく、タグの位置を見て前後を見分けたりしますが、 前側がやや下がっていることと 後ろの丸みでわかりますからご安心ください。
―― せっかく気持ちいいタッチなのに、 ピロピロするタグがチクっと肌を刺激したりしますよね。
田中 そうそう。
中川 いっそのことハサミで切りたくなったり。 なので、いさぎよくなくしました。
―― さりげないけれど、うれしいポイントです。 それもふくめて、レギンスという役割からか、 全体的に控えめな印象ですよね。
中川 あくまで“下支えする”役なので、 杢グレーと黒を選んだように、 デザインも前に出ないよう注意しました。 mioasseのリブ編みのウールソックスと 合わせていただくことも考えて、 天竺編みですっきりした見た目に。
―― 靴下との合わせのことまでイメージして、 編み方まで考えてくださったのですね。
田中 レギンスの裾のリブを靴下の中に入れて、 くしゅくしゅっとするとかわいいと思います。 ぜひいっしょにコーディネートしてみてくださいね。