土楽のある伊賀は「伊賀牛」でも有名。
お肉といえば牛肉、という文化圏ですけれど、
食いしん坊の揃った福森家では
わりとまんべんなく、豚、牛、鶏を使っています。
肉豆腐も、基本は牛肉のところを、あえて豚肉で。
そして豆腐は、厚揚げを使いました。
灰釉のお皿に、刻んだ長ねぎの白と
一味唐辛子の赤がきれいに映えています。
白ごまを和えたアツアツのごはんに、
ちぎった海苔を散らして、
釜揚げしらすをたっぷり。
大葉をまんなかに、そして新鮮な卵黄をのせ、
少しごま油を落としてから
醤油をかけていただきます。
最初から混ぜてしまってもいいですよ、
とのことですが、せっかくのうつくしい器に
こんなふうにきれいに盛ったのですから、
少しずつ混ぜながら食べたくなりますよね。
土楽の当主、福森雅武さんが台所に立ち、
手際よく調理をしてくださいました。
まずは、そうめん。
なんと土鍋に蓮の葉をしき、
「うつわ」として使います。
そして、ホタテのひものてんぷらと、
茄子の焼き浸し、刻んだねぎを、
ボリュームたっぷりの「薬味」として
あえて、ひとくちカレー皿に盛りました。
なるほど、こういう使い方もいいですね。
こまかく砕いたそうめんを「衣」として使い、
帆立貝の貝柱を揚げました。
ゆでた海老をそえたのち、
帆立貝の肝をゆでて裏ごしし、
出汁でのばしたスープをかけています。
そうめんを衣に、というのは
はじめていただきましたが、
カリカリッとしていてすばらしかった。
使っているのはいちばん大きなサイズの
「ほんとにだいじなカレー皿」ですが、
余白をいかして、上品に盛りつけています。
ちょうどこの日、気仙沼から
水揚げされたばかりの新鮮なかつおが届きました。
「たたきにしましょうか」と雅武さん。
ご自身で3枚におろし、さっそく焼き始めます。
ちゃんとこういう道具がある、
というのが土楽のすごいところです。
裏庭で藁に火をつけられるのもすごい。
皮をぱりっと焼き上げたかつおを
厚めに切って、
土鍋「ベア1号」に盛りました。
そして、食べるときは、銘々皿として
ひとくちカレー皿をつかいます。
ちなみに、かつおにかかっているのは、
雅武さん特製の「蓼(たで)のタレ」。
ほろ苦くて、鮮烈な青さがあって、
これがかつおによく合いました。
ひさしぶりに訪れた伊賀。
日々作陶をしながら、
しっかりとおいしいものをつくって、いただく。
そんな暮らしを続けている
道歩さんたちのところから届く、
「ほんとにだいじなカレー皿」。
どうぞたいせつに、でも「しまっておく」のではなく、
毎日、たのしくお使いいただけたらと思います。
そうこうしているうちに、
「土鍋」の季節もやってきますね。
次回はきっと、そのようすが、
お届けできることと思います。