MITTANといえば、これ。
綿入れ半纏のかたちがベースの
ロングコート。
今年のほぼ日には、
まるで毛皮のようなルックスで登場します。
実は、これ、毛皮ではなくて、シルク。
ぶあついシルク生地がふさふさに起毛されているんです。
絹毛布半纏コート(漆黒)の
シルク生地をつくる、
大阪、泉大津にある瀧芳(株)の藤浪さんに
お話をうかがいました。
瀧芳株式会社
国内産毛布のシェア90%の泉大津で、1966年創業。
世界が認める起毛技術を持ち、
シルク毛布、シルク製品の製造を行う。
瀧芳のシルク生地は、
海外のハイブランドにも使われている。
瀧芳
http://takiyoshi.jp/
もうシルクでしたら、よそに負けません。
泉大津っちゅうのは、
毛布の生産地なんですけどね、
作る工程っていうのは、
けっこう細かく分かれた分業だったんですよ。
布を織るのは織り屋さん、起毛は起毛屋さん、
シャーリングはシャーリング屋さん、
それから縫製屋さん。
起毛屋さんが、けっこうな軒数がありまして、
そこはもう、起毛、毛を掻くのみ。
もともと瀧芳は、毛布の最後の仕上げ、
シャーリングをやってたんですわ。
それから、分業だったのをちょっとずつ、
ちょっとずつ集約していって、
起毛機を何台か入れて、
起毛とシャーリングをセットにして。
今は、洗い、染め、仕上げまでできるようになってます。
織りも、うちからお願いしてる国内の織り屋さんなので、
目の届く範囲でできる。
30年近く前は、シルクとはまったく縁のない、
綿とか、アクリルばっかり掻いてました。
今、シルクに特化してやってます、はい。
もうシルクでしたら、よそに負けません。
生地は、経糸はポリエステルなんですよ。強度のために。
経は緯糸に潜れてほぼ出て来ないんですよ。
掻くのは、緯糸(よこいと)です。
今回、三谷さん(MITTANデザイナー)の生地は、
組織が違うんですよ。
普通は平織りなんですけど、これは綾織り。
裏表、両方から毛が出やすい織り方なんですよ。
ものさえよければ、時間がかかってもいい。
ゆっくりでも、いいものを作る。
作業、見てもらいましょうか。
まず、起毛機ですね。
このローラーについてるのが、起毛針と言います。
これが回転するんですね。
回転しながら、毛を掻いていく。
生地の状態からある程度毛を出す作業です。
横のベルトで、生地と針の当たり具合をね、
強弱を調整するんですよ。
季節や天気によっても変わってきますから、
そこはもう、職人さんが見て。
これを何回か往復させて、繰り返す。
その回数も職人さんが状態を見てね。
その次がシャーリングです。
起毛した布は、
毛の長さが当然まだらになってるんで、
そこで、最低1ミリ、2ミリカットします。
で、この中にブラシがあるんで、
それでいったん毛を立たせて、
余分な毛を、その上でカットする。
で、これをだいたい、表裏2回ずつぐらい。
合計4回ですね。
ここで1回通したのを、余分な毛をはたいて、
タンブラーへ入れる。
なぜタンブラー入れるのって言うと、
だいたい60度ぐらいですけど、
熱さで、熱風によって繊維を蘇らせてあげる。
ふんわりとした状態で上がってくるんです。
これをしてあげると、長持ちします。
へたりにくいっていうことなんですね。
そんで、そのままもう1回シャーリング。
タンブラーにかけると、ちょっと毛が乱れるんで、
この乱れだけをもう1回、
シャーリングでカットしてあげる。
このへんが、他社がやらない工程です。
で、その後、ポリッシャーですね。
まあアイロンです。アイロンで光沢がつく。
その後、もう1回シャーリングでカットします。
他社だと、ポリッシャーで終了が多いでしょうね。
うちは社長が、ちょっとでも伸びた毛があったら、
きちんとシャーリングで整えたい、と。
だから、他社ではうちらと同じような
風合いっちゅうのはなかなか難しい。
シルクはね、ある程度のランクにするには、
この加工工程が違うんですね。
それとやっぱり、設備が違うんです。
他社にはない機械がある、っていうのもそうですけど、
うちは、機械の整備も全部、社長が自分でやるんですわ。
ネジも作りますよ。
会社の考え方が違うんですよね。
ものさえよければ、時間がかかってもいい。
ゆっくりでも、いいものを作ると。
そういう気持ちで、やってるんです。
(おわり)
MITTANの服、販売は
2019年12月6日(金)午前11:00からです。
くわしくはこちらからどうぞ。
2019-12-03 TUE