稲村
わたしは幼稚園のころから眠りかたがわからなくて、
「みんなどうやって眠ってるの?」と思ってました。
自転車の乗りかたは教えてくれるのに、
眠りかたは、だれも教えてくれませんよね。
「目つむっていれば眠れるよ」と言われても、
眠れないものは眠れない。
清水
‥‥‥。(絶句している)
山下
おどろいた。
眠りかたを教わるなんて、考えたこともなかった(笑)。
稲村
眠りかたを教わらずに、眠れない小学生になって、
朝起きられなくて学校に行くのがたいへんでした。
いまもずっと、その状態がつづいています。
山下
眠りの不良歴が長い(笑)。
じゃあ、毎晩どうやって寝てるの?
稲村
夜中まで活動して、そのうち体力の限界が来て、
ふとんに入って即落ちする感じです。
限界ぎりぎりまで起きてるので、寝つきはいいんですが、
睡眠不足で朝起きるのがつらいです。
三橋
気持ちはわかります。
そういう人はとても多いです。
ふだん、睡眠時間はどれくらいですか?
稲村
平日は深夜2時とか3時に寝て、
朝は7時すぎに起きるので、4~5時間です。
休日は10時くらいに起きるので、7時間くらい。
休日で寝だめしたつもりでも、
起きたときにしんどいのは変わりなくて、
寝てすっきりする感覚がわからないんです。
三橋
平日と休日で差があると前回おっしゃっていましたね。
夜はその時間まで、忙しくて寝床に入れないんですか?
稲村
いえ、そうじゃなくて、眠くならないんです。
夜遅い時間になるほど、元気になります。
三橋
まず言えるのは、稲村さんは体内時計の周期が長い、
夜型の人ですね。
平均は24.2時間くらいなんですけど、
長いと25時間とか、それ以上の人もいます。
体内時計の周期が長めの人は、
寝る時間が後ろにずれていきやすいので夜型になり、
夜のほうが調子がいいという人が多いんです。
稲村
わたし夜型です。完全に。
コウモリ野郎なんです。
山下
それは意味がちがうから(笑)。
三橋
いま、昼間の体調はどうですか?
稲村
ねむいです。だるい。やる気もない(笑)。
三橋
日中に、うたた寝とか昼寝はしていますか?
稲村
さすがに仕事中はしないです。
仕事がなかったら寝ちゃうと思うんですけど。
三橋
家に帰るのは何時くらい?
稲村
夕方6時くらいです。
6時半から7時くらいに夕ごはんを食べます。
そのあとだらだらと家事をやって、テレビを観たりして、
9時にこどもとお風呂に入ります。
こどもを10時くらいに寝かしつけたら、
そのあとすごいうれしくなっちゃって。
山下
どうなるの?
清水
どうなるんでしょう?
稲村
録りためたテレビ番組を観たり、漫画を読んだり、
スマホを見たりして、どんどんたのしくなります。
せっかくの自由な時間なので、
寝るのがもったいないと思っちゃうんです。
それで、気づいたら深夜2時くらいに(笑)。
三橋
お子さまを寝かしつけるときに、すこし寝たりしますか?
稲村
いえ、寝ないです。
三橋
それはよかった。
こどもを寝かしつけながら30分くらい寝て、
そのあと元気になってしまって、
寝られなくなる人がけっこういるんですけど、
そのパターンではないんですね。
稲村
わたしの場合、その時間はぜんぜん眠くないし、
むしろそこから元気になるので(笑)。
1日のうちで、いちばん充実した時間です。
三橋
なるほど、でもそれって、
「リベンジ夜ふかし」かもしれませんよ。
稲村・山下・清水
リベンジ夜ふかし!?
三橋
日中の生活に満足感がない人が、
夜になって自由になる時間ができると、
つい夜ふかしして睡眠不足になってしまうことを、
「リベンジ夜ふかし」というんです。
山下
日中の不充足な生活に、夜になって復讐してるわけだ!
三橋
中国発祥のことばらしいんですけど、
日本でも、そういう人がいま多いんです。
稲村
やばい、わたし完全にそれだ(笑)。
こどもが5歳なので、
ほんとに自分の時間がないんですよ‥‥。
三橋
夜遅くにようやく解放されて自分の時間ができると、
いろいろやりたくなるし、たのしいですよね。
でも、それで夜ふかししすぎちゃうと、
朝は睡眠不足の状態で起きるから、
日中はだるいし、眠いし、仕事がはかどらなくなります。
清水
リベンジしてるつもりが、リベンジされちゃってる?
山下
結局、リベンジしてる相手は自分だったという。
三橋
そう、自分に返ってきちゃうんです。
そうするとまた夜リベンジしたくなるから、
負のループに陥ってしまいます。
稲村
毎日4時間くらい、がっつりリベンジしちゃってました。
どうしたらいいでしょう?
三橋
朝はお子さまのことや、会社に行く時間があるので、
起きる時間は変えられませんよね?
稲村
はい、平日は7時すぎに起きる必要があります。
三橋
まずは、夜ふかしを1時間だけ短くしてみませんか?
ふとんに入る時間を1時間早めて、
6時間睡眠にしてみるのはどうでしょう?
稲村
深夜1時ごろには寝るわけですね。
うわー、できるかな?
山下
でもさ、自由でたのしいと思っている時間も、
実際はリベンジでしかないわけだから。
清水
リベンジすればするほど、
日中の自分にダメージを与えるわけだから。
稲村
そうですよね、そう思えば、
充実したつもりの時間も虚しいですもんね。
わかりました、やってみます!
三橋
「ねむくま」をご覧いただいている人のなかにも、
稲村さんと同じような理由で寝不足のママたち、
けっこういらっしゃると思うんです。
実は、睡眠不足になると
カップルはケンカしやすくなるという
アメリカでの研究報告がありまして、
ようするに、つい身近な人に当たっちゃうんです。
稲村
パートナーやこどもに、ってことですね。
ほんとにそうかも。反省しないと。
三橋
それは自分の性格じゃなくて、
しっかり眠れていないことが根底にあります。
睡眠不足だと人はやさしくなれないんです。
山下
「睡眠不足だと人はやさしくなれない」。
重要なご指摘です。
三橋
いまより1~2時間早めに寝て、
平日の睡眠時間をのばしていけば、
日中のコンディションがよくなると思います。
稲村
そうなったらうれしいです。
三橋
睡眠のいちばんの目的は、日中に元気にすごすことで、
それがバロメーターでもあるんです。
稲村さんは、平日の睡眠時間が4~5時間で、
休日に7時間寝てしまうということは、
4~5時間では足りないという身体からのサインです。
平日はあいだをとって、まず6時間にしてみませんか。
稲村
はい、がんばります!
その人に合った睡眠時間には個人差があって、
働きざかりの20~50代は7~8時間にあてはまる人が多く、
60歳をすぎたら6~7時間がひとつの目安です。
(ここでいう睡眠時間とは、
ふとんの中にいる時間=床上時間のことです)
ここでは、わたし自身が試してうまくいった、
ベストな睡眠時間をみつける方法を紹介しましょう。
やりかたはごくシンプルで、
1週間単位で、睡眠時間を30分ずつ変えてみるのです。
朝起きる時間はなるべく一定にして、
ふとんに入る時間を30分ずつ変えていきます。
1週目は8時間、2週目は7時間半というように変えて、
日中の体調や気分がいちばんいい睡眠時間を探ります。
わたしの場合は、8時間睡眠の週は寝つきがわるく、
睡眠が浅く感じて、日中の体調はいまひとつでした。
7時間半にした週はしっかり眠れている感覚があり、
日中の体調もよくて、
夕方になっても疲れと眠気がありませんでした。
7時間にした週も体調はよかったですけど、
夕方になると疲れが出てきました。
それで、わたしは7時間半がベストだと判断しました。
かんたんな方法なので、みなさんもお試しいただけたら。
(ねむくま顧問・三橋美穂)
眠りのなやみ、
おしえてください。
日ごろ、眠りについて気になっていること、
疑問に思っていること、困っていることはありませんか?
ささいなことでもかまいませんので、ぜひ教えてください。
「ねむくま」編輯部と、顧問の三橋美穂さんが、
いっしょに調べて回答します。
寝グルメじまん、
募集中!
「これをはじめてから調子よく眠れます」
「これを使うと目ざめが快適です」
そんなノウハウやグッズがあったら、ぜひ教えてください。
当マガジンで紹介したり、うまく取り扱いできたら
販売もしたいと思っています。
メーカーなどの企業のかたからの情報も大歓迎!