悩めるネムレンジャー3人衆への
顧問・三橋美穂さんのカウンセリングをとおして、
わたしたちは眠りについて、
すこし「知る」ことができました。
ここからは、いよいよ実践、つまり「はじめる」です。
いい眠りのための3つの必須アイテム、
名づけて「三種の寝器」のうち、
まずは「まくら」からスタートしましょう。
──
今回も、ひきつづきネムレンジャーの3人に
ご参加いただきます。
眠りをサポートするアイテムはいろいろあると思いますが、
いちばんだいじなのは、なんでしょうか?
三橋
やっぱり、まくらかな。
だいじなわりにみなさん、自分に合ったまくらに
なかなか出会えていない感じがします。
ネムレンジャーの3人はいかがですか?
山下
うーん‥‥よくわからない。
まくらについて、これまでちゃんと考えてこなかったです。
稲村
えらびかたが、ぜんぜんわからなくて。
やわらかいのと硬いのとを両方買って、交互に使ってみて、
結局どちらもしっくりきてません(笑)。
むしろ、まくらなしで寝たりしています。
清水
なにも考えずに、ちいさいころからずっと使っている、
ぺしゃんこのまくらで寝ています。
三橋
わりとそんな感じの人が多いです。
わたしの印象では、自分に合ったまくらを使えている人は、
全体の2割くらいだと思います。
山下
そんなにすくないんだ。
まくらのえらびかた、知りたいです。
三橋
いちばんのポイントは、高さです。
高すぎるまくらを使っている人が、実はすごく多いです。
高すぎると、首と頭が持ち上がってしまうので、
気道がせまくなって、呼吸がしにくいんです。
山下
ああ、呼吸に影響が。
三橋
まっすぐ座った状態で、ちょっと下を向いてみてください。
首と肩が突っぱって、息をしにくくないですか?
稲村
たしかに、苦しい‥‥。
三橋
次は、すこしだけ上を向いてみてください。
まくらをしないときは、この状態です。
頭が下がり、すこし違和感がありますよね。
首や肩がこるし、口呼吸の原因にもなります。
山下
高すぎるまくらと、まくらなしの間に、
ちょうどいい高さがあるということですね。
三橋
まくらの高さが合っていると、
首が自然にのびて、スムーズに呼吸できます。
圧迫感がなくて、まくらをしていることを忘れるくらい、
首や頭との自然な一体感が得られますよ。
清水
まくらって、厚みがあって、ふかふかで、
やわらかいものが高級というイメージでした。
稲村
お店でも低いまくらはあまり見かけないし、
「どうせなら、ふかふかでリッチな感じがするほうを」
って思っちゃいます。
山下
そうそう、ホテルのベッドに分厚くてやわらかいまくらが
2つ3つ置いてあったりするよね。
あれがいいんだと思ってた。
三橋
「ふかふかなほどいい」という神話があるのかも。
実際は、ちょうどいいまくらの高さは、
自分が思っているより低いケースがほとんどです。
山下
なんと、そうなんですか。
三橋
ですから、まくらを買うときは、高さがちがうものを、
いくつか試着することをおすすめします。
首や頭との自然な一体感があること、
呼吸がらくにできること、チェックするのはこの2つです。
自分に合うものは、かなり低いのでおどろくと思います。
三橋
まくらえらびの2つめのポイントは、
首と後頭部がつくる凹凸に、
まくらのかたちが合っていることです。
模型を使って説明しましょう。
山下
うわ、なんですかそれ?
影絵の人形みたい(笑)。
三橋
製図用の人型定規なんですけど、
見たことないですか(笑)?
これが人がまっすぐ立っているときの姿勢で、
あお向けに寝ているときも、
この姿勢をそのまま保てるのがベストです。
稲村
へえ、立っているときの姿勢で寝るのがいいんですか。
三橋
そう、いちばん無理のない、自然な姿勢なんです。
この姿勢を寝ているときにも保てるように、
首から頭にかけてのラインとマットレスの間にできる
空間をうめることが、まくらの役割です。
山下
あっ、頭をのせる台ではなくて、空間をうめるもの?
それ以上の高さやボリュームはなくていいんですか?
三橋
なくていいです。
清水
まくらって、そういうものだったんですね。
ぜんぜんわかってませんでした。
山下
あの、時代劇に、ものすごく高くて、
硬そうなまくらが出てきますよね。
あれはダメってことですね(笑)?
三橋
ダメですね(笑)。
あれに頭をのせると、かなり苦しいと思います。
三橋
さいご、3つめのポイントは、
寝返りをして横向きで寝たときに、肩が圧迫されずに、
頭、首、背骨がだいたい真っすぐになることです。
肩が圧迫される場合は、まくらが低すぎです。
清水
あ、でも、あお向けに寝るのにちょうどいい高さだと、
横向きに寝ると、どうしても肩が圧迫されませんか?
肩から頭(側頭部)まで距離があるので。
三橋
そうです、いいところにお気づきです。
横向きに寝ることも考えてデザインされたまくらは、
左右両サイドが中央より高くなるように、
立体的なかたちをしています。
稲村
両サイドが高めなんですね?
三橋
人は自然に寝返りをするとき、
腰を中心にしてゴロンと動いて横向きになるので、
あお向けのとき頭をのせる中央より、
横向きのとき頭をのせる両サイドが高くなっていれば、
あお向けでも、寝返りしたまま横向きで寝ても、
自然な姿勢をキープできます。
山下
横向きで寝やすいということは、逆に言えば、
寝返りしやすいということにもなりますね。
そもそも寝返りって、したほうがいいんですか?
三橋
したほうがいいです。
おなじ姿勢のままだと身体がこわばってしまうので。
健康な睡眠では、あお向けと横向きの時間が半々くらいで、
ひと晩で20~30回、寝返りしていると言われています。
山下
なるほど、そのへんもあんがい、わかってなかったです。
山下
まくらの中身は、なにがいいんでしょう?
昔はそばがらが入ってましたが。
稲村
え、そうなんですか。
清水
え、そうなんですか。
三橋
だいぶ昔の話ですね(笑)。
素材は、お好みでえらんでいいと思います。
気持ちいいと感じる素材でかまいません。
清水
低反発とか高反発とか、そういうのもありますが。
三橋
ええ、それもどちらがいいというわけではなく、
感触が好みのほうをえらんで、だいじょうぶです。
山下
いまって、いろいろなタイプのまくらがあるので、
つい「どれがいちばんいいんだ?」と思っちゃう。
三橋
わかります。
でも、中身の素材だけでなく、
まくらのデザインとの相性も人それぞれなので、
やっぱり実際に使ってみたほうがいい気がします。
稲村
教えていただいた3つのポイント、
ちょうどいい高さ、首から頭のラインとのフィット感、
それから‥‥なんだっけ?
清水
寝返りして横向きで寝やすいこと。
山下
それらをおさえつつ、あとはレッツトライ! だと。
「みくびらず、期待しすぎず」くらいに思っておくのが、
まくらとのつき合いかたとしては、ちょうどいいのかもね。
三橋
ああ、そうかもしれないです。
三橋
ところで、そこに座っているくまさんを見てて、
ふと思ったんですけど、
この子の顔を逆さにひっくりかえしたら、
まくらにぴったりかも。
山下
えっ、どういうことですか!?
三橋
くまさんを上下逆にすると、頭のてっぺんと耳のあいだに、
寝ている人の首と肩がちょうどおさまる気がするんです。
稲村
ああ、なるほど。
三橋
それから、寝返りをしたときに、
ちょうど耳のところに頭をのせられるのも、よさそう。
清水
たしかに!
三橋
どうでしょう、このくまさんで、
「ねむれないくまのために」オリジナルの
まくらをつくってみませんか?
一同
わあ、それはいいですね!
眠りのなやみ、
おしえてください。
日ごろ、眠りについて気になっていること、
疑問に思っていること、困っていることはありませんか?
ささいなことでもかまいませんので、ぜひ教えてください。
「ねむくま」編輯部と、顧問の三橋美穂さんが、
いっしょに調べて回答します。
寝グルメじまん、
募集中!
「これをはじめてから調子よく眠れます」
「これを使うと目ざめが快適です」
そんなノウハウやグッズがあったら、ぜひ教えてください。
当マガジンで紹介したり、うまく取り扱いできたら
販売もしたいと思っています。
メーカーなどの企業のかたからの情報も大歓迎!