特集
眠りのファーストクラス、
「テクノジェルピロー」の
フィット感。
わたしたち「ねむくま編集部」は、
快眠セラピスト・三橋美穂さんの監修による
「くまのさかだちまくら」を
2022年2月からご提供しています。
「ねむくま編集部」が、ひとつの理想と考えた
ちょっとふしぎなかたちのこのまくらは、
おかげさまで多くの方々からご好評の声を
いただいています。
一方で、個人の好みが様々なだけに、
「まくら選びはむずかしい」という思いは、
いまも変わらずわたしたちは持ち続けています。
「くまのさかだちまくら」も、もしかしたら、
合わない人がいらしたのかもしれません。
人とまくらの相性は、ほんとうに繊細でむずかしい‥‥。
そんなある日、見たことのないまくらに出合いました。
まくらの表面に、やわらかな、プニプニがびっしり。
このプニプニが、
人それぞれの頭に合わせてフィットするのだとか。
‥‥どんな頭のかたちにも合うということ?
もしかしたらほとんどの人に合うのかも??
「ねむくま編集部」が出合ってしまったふしぎなまくら、
その名も「テクノジェル」。
それはいったいどんなまくらなのでしょう?
寝具メーカー・ディーブレスの
濱田徹さんにお話をうかがいました。
「底付き」しない
クッション素材って?
──
「くまのさかだちまくら」や
「くまもとろけるふとん」など
ほぼ日オリジナル寝具のいくつかは、
製造を寝具メーカーのディーブレスさんに
お願いしてきたのですが‥‥
濱田
ありがとうございます。
──
打ち合わせでディーブレスさんの
ショールームにお邪魔していて、
ずっと気になっていたんです。
なんだか、ジェルを使った
プニプニしたまくらがあるぞ、と。
で、試しに寝かせてもらったら、
「これはすごいかも」、と。
濱田
出合ってしまった(笑)。
──
そうなんです、出合ってしまいました。
「くまのさかだちまくら」をおすすめしている
わたしたちですが、
「こっちもすごい」に出合ってしまった。
出合ったからには、
みなさんに知ってもらいたくて、
販売させていただくことになりました。
「テクノジェルピロー」、2つのモデルです。
濱田
はい。
──
どんなまくらなのか、
ご説明いただけますでしょうか。
濱田
一般的に、まくらやマットレスの素材として
いちばん普及してる素材はウレタンです。
(サンプルを出して)
これは発泡ウレタンのサンプルなんですが、
こぶしでギューッと押して体重をかけると、
下の板の硬さを感じませんか?
──
‥‥はい、感じます。
濱田
発泡ウレタンの中には空気の層があって、
体重がかかると空気の層がつぶれることで、
クッションになるわけですね。
実際の寝具は充分な厚みがあるし、
寝た姿勢で使うので、
この「底付き」は感じないようにできています。
とはいえ、一点を強く押していくと、
ウレタンはやがて底付きします。
(別のサンプルを出して)
次に、このテクノジェルを
こぶしでギューっと押してみてください。
──
本気で押します。
‥‥あ、これは押しきれない。
濱田
ジェルは空気の層がないので、
底付きしないんです。
で、このジェルの原材料は
ウレタンなんです。
──
え、ウレタン?
ウレタンなのに空気の層がない?
濱田
ウレタン原料の液体を釜に入れて、
圧力と熱をくわえるとボフっと発泡します。
これが発泡ウレタンで、空気の層があります。
テクノジェルはウレタンを発泡させずに、
特許の技術で作られるゼリー状の素材です。
──
はあ~、ゼリー状のウレタン‥‥。
友だちのためにうまれた
製品
濱田
もともとは医療用として開発されたんです。
──
医療用。
医療のどこに使われているのですか?
濱田
テクノジェル社の創業者はイタリア人で、
友だちが交通事故で下半身が動かなくなって、
車いす生活になってしまったんですね。
姿勢が変えられないことがつらいという友だちを
なんとか楽にできるものはないかと考えているときに、
ドイツの大手化学メーカーがもっている
ジェルの基礎技術のことを知ったんです。
その化学メーカーに行って、
ジェルの製品化の交渉をしたそうです。
そして、最初に作ったのが車いすの座面シートです。
──
このジェルで作ったシートで、
友だちの生活を楽にしたかった。
濱田
はい。
車いすのシートって長時間体重がかかりますよね。
ジェルのシートは底付きしないので、
お尻の骨が痛くなりにくいんですよ。
手術台のベッドも、麻酔をした患者さんが、
8時間かかる手術だとその間動けないので、
褥瘡(じょくそう=床ずれ)ができちゃうんですよ。
そこで手術台のベッドにテクノジェルを使う。
体に負担をかけないものを作ることが、
テクノジェルのスタートなんです。
──
すてきです、
友だちのためにうまれた製品なんですね。
医療用ジェルが、
なぜ寝具に?
濱田
その後テクノジェルは、靴の中敷きや、
ドイツの高級車のシートなど
産業用に用途が広がっていきました。
──
その流れで、寝具が作られた。
濱田
あるときお医者さんが
「このジェルでまくらや寝具を作ったら、
退院後も患者さんが楽でいいのに」と言ったそうです。
そこからテクノジェルの寝具が生まれました。
──
もともと医療用ですから、
体をいたわる機能に実績があったわけですね。
濱田
そうです。
底付きしない今までにない寝心地が特長です。
もうひとつの特長は、
頭と首の形にフィットすることです。
まくらをオーダーメイドする方もいますが、
テクノジェルピローはジェルが
使う人の身体に合わせてくれます。
これ見てください(青いシートに指を押し付ける)。
指紋の形が見えるくらい細かくフィットします。
──
わわわ、すごーい。
濱田
あと、テクノジェルピローは、頭を乗せると、
3~4分で体温から2℃くらい
低い温度になじんできます。
寝床内の温度は33℃くらいがいいとされていて、
テクノジェルはその温度になじむんですよ。
──
フィットするだけではなく、
温度の面でも、まくらに適しているんですね。
まくら探しの旅が終わる人も
濱田
百貨店の寝具イベントで、
テクノジェルピローを出品したときによくある話です。
長年ずーっとまくら探しの旅をしてきて、
多くのまくらを買ってきた方が
テクノジェルピローをお試しになると、
「まくら探しの旅が終わった~」
とおっしゃってくれるんですよ。
──
旅が終わる!
安住の地にたどり着いた?
濱田
その方にとっては(笑)。
──
「くまのさかだちまくら」を使った方からも、
まくら探しが終わりました
という声をいただきましたが、
テクノジェルピローも‥‥。
ひとつの理想形なのでしょうか。
濱田
そうですね、
わたしたちディーブレスが、
ヨーロッパの展示会で、
テクノジェルに出合ったのが15年くらい前です。
「この素材を超えるものはない!」と感動して
販売することになり15年経ちましたが、
いまでもこれを超える素材はないと私は思っています。
たぶんこれが最先端。
──
最先端。
濱田
ただ、お値段が‥‥。
──
ああ、はい、そうですね。
濱田
お高いんです。
気軽に購入してみる
という価格ではないですよね。
ただ、まくら探しの旅が終わらず、
それなりに高価なまくらを
何度も買い替えているような方は‥‥。
──
テクノジェルで
まくら探しの旅が終わる、かもしれない。
濱田
終わりにしていただきたいと願っています(笑)。
「ぜったい終わります」
とはもちろん言い切れないのですが、
わたしの経験上、
かなりの方々に合うまくらだと思っています。
──
15年の実績がありますから、
説得力を感じます。
濱田
テクノジェルピローってずっしり重いでしょ。
お値段が高いというのは、つまり、
材料をめちゃたっぷり使ってるからです。
──
青いジェルの下にある土台の白い部分は、
どんな素材なんですか?
濱田
下層の白い部分は、ビオフォルマという
テクノジェル社独自の特殊ウレタンです。
発泡率を抑えた、
もっちりずっしりとしたウレタンで、
反発力が強めなので、
手で押して離したらすぐ戻ります。
これもフィット感と寝返りのしやすさの秘訣です。
耐久テストと復元率
濱田
テクノジェルピローは、耐久性が高いんですよ。
耐久性のテストでは圧縮試験にかけます。
機械でガッチャン、ガッチャンと、
押して離すことを繰り返し10万回やります。
たとえば最初に厚さ10cmだった素材が、
耐久試験のあと9cmになったとしたら、
それは90%の復元率です。
──
テクノジェルはどうなんですか?
濱田
テクノジェルは10万回押したあと、
10cmが9.9cmになります。
復元率は99%です。
ちなみに、人は1日に20から30回寝返りをします。
1日30回だとして、365日×10年で、
10万9500回になります。
つまり、10年間使ったあとで、復元率99%なんです。
──
10年で、ほぼ最初のまま。
濱田
さらに圧縮テストを
20万回やっても30万回やっても、
復元率は98%とか99%。
とても耐久性が高い。
──
もう、100%と言っていい気がします(笑)。
濱田
テストの数字なので、
実際に30年使った場合は違ってくると思いますが、
目安として10年は初期性能をほぼ保って使えます。
──
すごいなぁ。
濱田
ただ、復元率が95%や97%のまくらは
ほかにもあります。
テクノジェルピローは、
復元率だけを耐久性の指標にしてないんですよ。
弾力性の維持率
──
耐久性の、ほかの指標とは?
濱田
弾力性の維持率です。
──
弾力性。
濱田
もし、弾力性が弱くなったら、
頭が沈み過ぎて、寝返りがしにくくなります。
テクノジェルは、押したときに、
すぐに押し戻す反発力が強いので
寝返りがしやすい。
その反発力を生む弾力性が、
ガッチャンのテストを
10万回したあとも100%なんです。
──
100%ですか?
濱田
はい。
20万回、30万回押したらどうなると思います?
──
さすがに弾力性は落ちてきますよね。
濱田
100%なんです。
──
おおーー!(拍手)
100%と言い切れる結果ってすごいですね。
濱田
これにはぼくらもびっくりしました。
もともと医療用が起源だし、
たっぷり原材料を使って
身がつまってるからへたらないんですね。
──
たとえば長年使ったソファーって、
人がよく座る部分って、
見た目はそんなにヘタってなくても
座るとズボッと凹みますよね。
そういうへたった状態にならない?
濱田
なりません。
ですからたしかにお値段は高いですが、
10年新品の状態で使えるのなら、
コスパはめちゃいい。
──
そういう考え方はできますね。
濱田
ちなみに、テクノジェルピローの前のモデルは
6年前に生産と販売が終了しています。
でも、いまもそのまくらを愛用して、
カバーだけ買い換える人が
けっこうお店にいらっしゃるんですよ。
「新型(現行品)が出てますよ」と提案しても、
調子がいいからまだまだ使うと言われます。
──
ほんとうに、一生モノですね。
「テクノジェルピロー」の
お手入れ方法
──
このやわらかいジェル部分は、
破けたりしないのでしょうか?
濱田
強引にジェルの表面を引っ張ると破れます。
破れても、中身がグミみたいなものなので、
流れ出すことはありません。
ペタペタはします。
──
なるほど。
濱田
ただ、いまはこうしてわかりやすいように
並んでいるジェルをお見せしてますが、
実際に使うときは
インナーカバーで包まれているので
この状態を目にすることはまずありません。
──
あ、そうなんですね。
濱田
インナーカバーは
はずせないようにしています。
その理由は、はずしてこのジェルを見てると、
ついついどこまで伸びるか
実験したくなるからです(笑)。
引っ張って破いちゃう。
──
わかります、引っ張りたくなる(笑)。
濱田
インナーカバーがあるので
引っ張って破けることはあまりないですが‥‥
実は、ネコが、
テクノジェルピローが大好きなんですよ(笑)。
ツメでひっかこうとする。
これは気をつけてください。
──
わかりました、ネコに注意(笑)。
ほかにも気をつけることはありますか。
濱田
テクノジェルに限らず、ウレタン製品はすべて、
水と紫外線に弱いんです。
直射日光(紫外線)に長時間当てると劣化して、
破れてしまうこともあります。
ぼくがテクノジェルを担当した10年間で、
外干ししてしまい劣化したものを2、3個見ました。
──
洗うときはどうしたらいいんですか?
濱田
お手入れは、まくらカバーを洗濯するだけです。
本体はインナーカバーで包まれているので
その状態で陰干しをしてください。
「アナトミックカーブ」の
秘密
──
ほぼ日で販売させていただくのは、
「テクノジェルピロー オリジナルコレクション」
と
「テクノジェルピロー VIVEコレクション」
の2タイプですね。
濱田
VIVE(ヴィヴェ)はイタリア語で、
活力、生きる、美しさといったポジティブな言葉です。
ハイエンドモデルですね。
2タイプとも、
「アナトミックカーブ」といって、
真ん中が低く、両サイドが高く、
仰向けで寝ると、
後頭部が収まるようにしたデザインです。
──
そのカーブにも秘密がありそうです。
濱田
説明用のサンプルを見てください。
黄色いシールを貼った部分はすこし低く、
ピンクのシールの部分はすこし高くしています。
横向きに寝たときには、ピンクのところに
顔の側面が触れるんですけど、
肩が窮屈にならないように高くしてあります。
まくらの両サイドが高いと、寝返りしにくそうですが、
テクノジェルの弾力によって
スムーズに寝返りができます。
──
ひと晩に20回から30回寝返りすることを考えたら、
だいじな機能だと思います。
濱田
仰向けに寝たときに、
首が触れる部分は高めで、
後頭部が触れる部分は低めなので、
後頭部の出っ張りが凹みにほどよく収まります。
──
まさにフィットする形状です。
濱田
首の後ろに触れる部分は、
まくらの向きで高さが違います。
おすすめは高いほうを首の後ろにあてる使い方。
後頭部が下がって、
まっすぐな寝姿勢になります。
アゴが引けずに気道も開くので呼吸が楽です。
アゴがひけると女性は
首のシワも気になりますよね。
仰向けで首が当たる黄色い部分は、
とくにジェルの量が多めなんですよ。
──
お話をうかがっていると、
形状については「くまのさかだちまくら」に
共通の部分が多いと思いました。
高さはどうでしょう?
「くまのさかだちまくら」は低めなんですが。
濱田
今回は7cmモデルにしました。
──
7cmは、どこが7cmなのですか?
濱田
具体的にどこかが7cmなのではなくて、
テクノジェル社のサイズ表記が7cmということです。
9cmモデルと7cmモデルがあって、
低めの7cmモデルは日本人の体格に合ってます。
──
なるほど、「低め」というのも共通です。
濱田
低めのまくらは、下にタオルなどをしいて
高くすることができますが、
高いものを低くはできないんですよ。
だから7cmモデルが大正解。
VIVEとオリジナルの違い
──
今回ほぼ日で販売する
2タイプはどちらも、
まくら本体(インカーカバーで包んだ状態)に
専用のまくらカバーが付属します。
濱田
はい。
いつもわたしたちが提供しているのと
同じ状態です。
本体とカバーのセット。
──
せっかくですので、別売りにはなりますが、
まくらカバーも用意しました。
「ホワイト」と
ほぼ日オリジナル色の「ブラウン」の2種類です。
濱田
いいですね。
お値段が高いまくらは、
本体セットといっしょに、
別売りカバーを買う方が多いです。
カバーが2つあることでローテーションできますし、
インテリアに合わせたりもできます。
ほぼ日さんのオリジナルカバーは綿100%で
吸湿性がよく、伸びるように作ってあるので、
ジェルのよさを感じやすくなっています。
──
まくらカバーって
できるだけ頻繁に洗いたいですものね。
濱田
そうですね、
あわせてお求めいただくといいと思います。
──
最後に気になる質問をひとつ。
濱田
なんでしょう。
──
ハイエンドモデルのVIVEコレクションと、
オリジナルコレクションには、
どんな違いがあるんですか?
濱田
VIVEコレクションは、ジェルの量が多いんです。
ジェルは、人それぞれの頭の形に
合わせてフィットします。
もちろんオリジナルコレクションでも、
充分なジェルの量があるので
気持ちよく頭に合わせてくれますよ。
──
VIVEコレクションは、
頭に合わせるちからがより強い、と。
濱田
そうですね。
立体ジェルが贅沢にたっぷりと、
細分化して配置されているので、
ジェルがより自在に動いて頭にフィットしてくれます。
あと、VIVEコレクションは、
インナーカバーの生地にすこしカシミアが入ってます。
──
そういう部分もすこし高級に。
濱田
高級、そうですね‥‥。
何度も恐縮ですが、価格はお高めで。
──
高価でも、このまくらに救われた人が
きっとたくさんいらっしゃるのでしょうね。
濱田
テクノジェルピローは、56ヵ国くらいで
シリーズ累計で220万個売れています。
──
220万個‥‥。
濱田
買い替えた数字も含まれますが、
長い方で10年お使いですので、
かなり延べ人数に近い数字だと思います。
世界中で220万人近い人が、
愛用しているまくらではないかと。
──
すごい数です。
濱田
テクノジェルピローは、
口コミでゆっくりと知られてきました。
──
ほんとにいいと思った人が、
本気で周囲に勧めたんでしょうね。
濱田
日本ではまだテクノジェルを
知らない方がたくさんいらっしゃいいます。
これを機会に知っていただいて、
良さを体験したら
お知り合いに教えてあげてほしいです。
──
まくら探しを続けているお友だちとかに。
濱田
ああ、そうですね、いいですね。
──
テクノジェルは、
友だちのためにうまれた製品ですものね。
眠りのなやみ、
おしえてください。
日ごろ、眠りについて気になっていること、
疑問に思っていること、困っていることはありませんか?
ささいなことでもかまいませんので、ぜひ教えてください。
「ねむくま」編輯部と、顧問の三橋美穂さんが、
いっしょに調べて回答します。
寝グルメじまん、
募集中!
「これをはじめてから調子よく眠れます」
「これを使うと目ざめが快適です」
そんなノウハウやグッズがあったら、ぜひ教えてください。
当マガジンで紹介したり、うまく取り扱いできたら
販売もしたいと思っています。
メーカーなどの企業のかたからの情報も大歓迎!