特集
睡眠不足の怖さ。
前回まで4回にわたり、
私たちの顧問である、
快眠セラピスト・三橋美穂さんに
春の快眠のコツを教えていただきました。
ですが、ここまで
よく眠るための方法を聞いてきたけれど、
そもそも、
なぜよく眠らなくてはいけないのでしょうか。
眠らないとどうなるの?
自分の睡眠時間は、たりている?
そんな疑問に、たっぷりとお答えいただきました。
睡眠不足になると、
どうなるの?
──
前回まで、
春によく眠るためのコツを
たっぷりと教えていただきました。
ありがとうございます。
三橋
いえいえ。
──
あの‥‥。
また、そもそもの話になってしまうのですが。
三橋
はい。
──
睡眠不足になると、
どうなってしまうのでしょうか。
三橋
睡眠不足になるとですね、
ありとあらゆるリスクが、高まります。
──
ありとあらゆる、リスク。
三橋
ええ。
睡眠不足って、怖いんですよ。
──
怖い?
三橋
ええ。
まずは、病気になるリスクですね。
そもそも、
人間の身体は睡眠中に修復されているんです。
三橋
寝ている間に、
細胞を修復する成長ホルモンが分泌されることで、
身体が回復します。
──
なるほど。
三橋
ですから、睡眠がたりないと
身体の細胞が壊れたままになったり、
細胞一つひとつの働きがわるくなるんです。
──
えっ、なんだか怖い。
三橋
怖いですよー。
そのせいで
免疫力が低下してしまうので、
睡眠不足は
ありとあらゆる病気のもとになります。
──
それは危険ですね。
三橋
高血圧、脳卒中、うつ、認知症などなど。
ほどんどの病気は、
睡眠と関係していると考えられています。
──
なんと‥‥。
睡眠不足の影響って、
日中ぼーっとしてしまうこと
くらいしか、考えていませんでした。
三橋
もちろん、それもあります。
睡眠がたりないことによって
脳機能が低下している状態ですね。
──
そうだったんですか。
三橋
集中力や記憶力がさがってしまいますから、
お仕事の生産性が落ちてしまうのはもちろん、
ミスや事故が起こるリスクが
ぐんっと高まります。
──
た、たいへんだ。
三橋
オーストラリア研究によると、
睡眠不足の人の注意力は、
お酒を飲んで酩酊状態になった人と同じだ、
といわれているんです。
──
酩酊状態!?
三橋
ええ。
では、こちらをご覧ください。
三橋
このように、
人は起き続けるほど、注意力が下がっていきます。
朝6時に起きた人は、
夜の9時くらいには酒気帯び状態と
ほとんど同じ状態になってしまいます。
──
そんなことになっていたとは。
もし徹夜をしてしまったら、
とんでもないことになりますね。
三橋
ええ。
ですから、
寝不足状態での運転はほんとうに危険です。
──
たしかに。
飲酒運転をしているようなものです。
三橋
飲酒運転は法律で取り締まれますが、
寝不足運転は取り締まれません。
疲れていたり、最近眠れていないなというときは、
無理せず休んでくださいね。
──
私も気をつけます。
睡眠不足で経済損失!?
三橋
大変なのは、運転だけではありません。
睡眠不足のままお仕事に行かれると、
酔っ払ったのと同じ状態で
はたらいていることになります。
──
あ、そうか。
それはまずいですね。
三橋
はい。
そんな状態で仕事をすることによって、
日本で、深刻な経済損失が起きているんです。
だいたい、年間でいくらくらいだと思いますか?
──
うーん。
集中力がなくなって、
仕事の効率が落ちてしまうので
100億円くらいですか‥‥?
三橋
いえ、もっとです。
──
もっと?
三橋
なんと、
年間約15兆円の損失だと言われています。
──
えっ!!
15兆円?!
三橋
日本だけで、です。
──
なんだか想像がつかないくらい
おおきな金額です。
三橋
GDPにすると、約3%です。
──
GDP‥‥。
なんだか話が壮大になってきました。
ですが、
なぜ睡眠不足のせいで、
そんなことがおきてしまうのでしょうか。
三橋
睡眠不足により注意力が下がると、
ミスや事故が増え、
生産性がどんどん下がってしまいます。
それにともない、残業代もかさみます。
──
よくないことばかりですね。
三橋
その他にも、
病気になりやすくなり人手が減ってしまうなど、
ありとあらゆる損失がおこります。
それらを合計すると、
日本で年間約15兆円にもなる、ということです。
──
そんなことが起きていたとは‥‥。
いままで、想像もしませんでした。
三橋
いろいろな国で集計されていますが、
日本が飛び抜けて、
睡眠不足による損失が大きいんです。
──
つまり、
日本はとくに、睡眠が足りていないんですね。
三橋
はい、そのとおりです。
──
大きな経済損失があったり、
病気の原因になってしまったり。
睡眠不足って
おもっていたよりも、ずっと大変なことなんですね。
自分の睡眠時間、
たりている‥‥?
──
睡眠不足って、ほんとうに怖いです。
自分の睡眠がたりているのか、
不安になってきました。
三橋
いつも、何時間くらい寝ていますか?
──
8時間くらいです。
三橋
それならばたりていそうですね。
一般的に必要とされている睡眠時間が
7時間から9時間ですから。
──
ああ、よかったです。
三橋
ですが、
必要な時間は人それぞれ違うので、
ご自身の睡眠時間が気になるときは、
ご自宅で調べる方法もありますよ。
──
ぜひ、知りたいです。
三橋
睡眠時間を、1週間ごとに30分長くしてみて、
どの週が日中の体調がよいかを
観察してみてください。
このとき、1週間ごとに就寝・起床時刻を
だいたい揃えることを意識してくださいね。
──
ほう。
三橋
いつも6時間睡眠ならば、
1週目は6時間半、その次の週は7時間、その次は7時間半‥‥、
というふうに伸ばしていくんです。
そうして、日中の体調と照らしあわせることで
自分にあった睡眠時間を探ることができます。
──
なるほど。
それは手軽にできそうです。
三橋
もし、まとまった時間がとれるならば、
こういう方法もあります。
三橋
寝たいだけ寝てみる、です。
──
寝たいだけ寝る?
三橋
ええ。
目覚ましをかけずに、
眠れるだけ眠ってみてください。
睡眠不足の人は最初は長く寝ますが、
それを、4,5日続けていただくと、
だんだんと睡眠時間がおちついてきて、
ある時「もうこれ以上ねむれない」
という日がやってくるんです。
それが、ちょうどいい睡眠時間です。
──
なるほど。
長めのお休みがとれたときに、
試してみたいです。
三橋
ゴールデンウィークなど、おすすめです。
──
あ、いいですね。
なんだかたのしそうです。
今年のゴールデンウィークに、やってみます!
三橋
ええ、
ぜひ、ためしてみてください。
──
今まで寝不足だな、と感じても
ふつうに生活できてしまっていたので、
あまり気にしていませんでした。
今日は、睡眠不足の怖さを
詳しく知ることができて、よかったです。
三橋
睡眠不足は、
ありとあらゆる不調のもとですので、
ぜひ、気をつけてくださいね。
──
はい!
眠りはとても身近なことなのに、
まだまだ知らないことばかりでした。
睡眠のきほんから、快眠のコツまで、
たっぷりと教えてくださり
ありがとうございました。
三橋
こちらこそ、
ありがとうございました。
(おわります)
眠りのなやみ、
おしえてください。
日ごろ、眠りについて気になっていること、
疑問に思っていること、困っていることはありませんか?
ささいなことでもかまいませんので、ぜひ教えてください。
「ねむくま」編輯部と、顧問の三橋美穂さんが、
いっしょに調べて回答します。
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