特集
年齡と睡眠の関係
前回に引き続き、
私たちの顧問である、
快眠セラピスト・三橋美穂さんにうかがった
眠るためのコツをお届けします。
今回は「年齢と睡眠の関係」についてです。
以前にくらべたら、眠りが浅くなったな、
と感じることはありませんか?
寝ても寝ても寝たりないくらいだったのに、
最近はそうでもなくなった‥‥。
もしかしたら、それは
年齡が関係しているかもしれません。
年をかさねると睡眠はどう変わるのか、
たっぷりと教えていただきました。
年をとると、
睡眠はどうなる?
──
前回、お昼寝について教えていただいたときに、
「年齡によって、適切なお昼寝時間が異なる」
とお聞きしました。
年齢をかさねた人の場合、
どれくらいのお昼寝がよいのでしょうか。
三橋
基本のお昼寝は15~20分ですが、
そうですね、55歳をすぎたら、
30分くらい寝ても大丈夫です。
──
長くなるんですか。
三橋
ええ。
お昼寝は、深い眠りに入る前に
起きることが重要です。
歳を重ねると、
深い眠りに入るまでの時間が長くなりますので、
30分くらいお昼寝しても、いいんです。
──
なるほど。
前回教えていただいた睡眠の波が、
ゆっくりになるような感じでしょうか。
三橋
ええ。
「昔に比べて寝付きがわるくなったな」と
気にされている方も多いのですが、
それは、あまり気にしすぎなくていいんです。
──
気にしなくていい?
三橋
はい。
それが、ふつうなんです。
──
ふつう。
三橋
年をかさねると
睡眠の波はゆっくりになり、
自然と、睡眠時間が短くなってゆきます。
──
なるほど。
学生の頃に比べると、
睡眠時間が短くなってしまったな、と
少し不安に思っていたんです。
三橋
日中、眠くてたまらないとか、
頭がぼーっとする、
ということがなければ、問題ありません。
安心なさってください。
──
よかった、
安心しました。
三橋
極端な話、子どものころのように、
走り回ったりとかしなくなったでしょう?
──
はい、もうしばらく走っていません。
三橋
そうやって、
年をかさねるごとに
日中の活動量が減っていくので、
どうしても眠るまでが
ゆっくりになってしまうんです。
──
そういうわけだったんですね。
三橋
ええ。
ですから、あまり寝付けなくても
「こういうものなんだな」と
思っていただいて、
心配しすぎないようにしてくださいね。
布団に入るのは、
眠くなってから。
三橋
あとは、
生活リズムが変わることによって、
睡眠時間も変わる方が多いですね。
──
生活リズムが?
三橋
ええ。
たとえば、
子育てが一段落ついたり、
お仕事をリタイアされたりすると
生活リズムが変わって、
いままでよりも早い時間に
布団に入るようになる方が多いんです。
──
ほう。
三橋
そうすると、
自分に必要な睡眠時間以上に
寝室にいるようになってしまいます。
そのせいで、
すぐに眠りに入れずに
「なかなか眠れなくなったな」
と感じることがあります。
──
ああ、なるほど。
まだ眠くないのに、
布団にはいっちゃうんだ。
三橋
ええ、そのとおりです。
しかも、
布団の中で眠らずダラダラ過ごしてしまうと
悪い状態が習慣づいてしまって、
「布団=寝れない場所」と
身体が認識してしまうんです。
──
なんと‥‥。
三橋
ですから布団には、
眠くなってから入るようにしてください。
──
身体に
「布団=寝る場所」と
覚えてもらう、というわけですね。
三橋
はい、そのとおりです。
あと、
生活リズムが変わることで、
体内時計にも影響がでます。
──
体内時計にも?
三橋
ええ、
生活リズムが早まることで、
体内時計がどんどん進むようになります。
──
お、なんだか
早寝早起きができそうで、いいですね。
三橋
いえいえ、要注意です。
──
えっ。
三橋
あまりに、
体内時計が早まりすぎてしまうと、
夜7時に寝て、早朝の2時に起きる、
なんてことがおこります。
──
は、はやっ!
三橋
そうなってしまう方、
案外いらっしゃるんです。
──
そうなんですか。
三橋
ええ。
すっきりと目覚めるためには、
おひさまの光を浴びることが、とても大切です。
ですが、朝の2時ですと
当然、まだ日がのぼっていません。
これだと、早すぎです。
──
あまりにも早起きすぎると、
かえって身体によくないんですね。
でも、
体内時計が早まりすぎてしまったら、
いったいどうしたらいいのでしょうか。
三橋
その場合は、
しばらくのあいだ、朝の光を避けて
夜に光を浴びるようにするといいです。
──
夜に、光?
三橋
はい。
お部屋の明かりでかまいません。
夜はオレンジ色のほのかな灯りがいいのですが、
睡眠リズムを遅らせたいときは
青白い照明を明るくつけておいてください。
デスクライトで横顔を照らすと
さらにいいですね。
──
ほう。
三橋
さらに、しばらくは
朝日を浴びないようにして
午前中は薄暗いところで過ごしてください。
出かけるときは、サングラスをかけます。
そうすると、
夜の眠気が起こるタイミングが
遅くなっていき、体内時計を調節できます。
──
なるほど。
光で、体内時計をずらせるんですね。
三橋
ええ。
そうやって調節していって、
ふつうの時間帯に朝日を浴びて
目覚められるようになるといいですね。
三橋
最近は時間になると、
自動でカーテンをあけてくれる機械もありますから。
──
おっ。
うわさには聞いたことがあります。
三橋先生、お使いになっているんですか?
三橋
ええ、最近はずっと使っています。
スマートフォンで時間設定ができるので、
朝、目覚めたい時間に
カーテンが開くようにセットしています。
──
よさそうですね。
三橋
ですが眠る前に、
カーテンをすこーし開けておくだけでも、十分です。
これならば、
遮光カーテンをお使いの方でも、
部屋に朝日が入ってきて、
すっきりと目覚めやすくなります。
──
それは手軽でいいですね。
三橋
ええ。
年齡を重ねると、
自然と眠りが浅くなりますから
より意識的に、
睡眠にいいことを取り入れてくださいね。
(三橋さんへの質問は続きます)
眠りのなやみ、
おしえてください。
日ごろ、眠りについて気になっていること、
疑問に思っていること、困っていることはありませんか?
ささいなことでもかまいませんので、ぜひ教えてください。
「ねむくま」編輯部と、顧問の三橋美穂さんが、
いっしょに調べて回答します。
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