海大臣二〇〇九	ことしの海苔は、三種類。
   
2009年の「海大臣」は、すべて完売しました。 ご注文、ありがとうございました。

飯島奈美さんのレシピブックできました。
2008年、2009年の
「海大臣」レシピをまとめた
飯島奈美さんのレシピブック
できました。
おいしく食べました、のメール紹介

「海大臣」そもそものお話
海大臣のふるさとと、育ち
3種類の「海大臣、味のちがい」
つくりたてで、お届けします

 

「海大臣」そもそものお話築地の「林屋海苔店」と「ほぼ日」の コラボ商品。市場には、出回りません。

「海苔には値段の高いのと安いのはあるけれど、
 それぞれの個性なんかない」と、
思っている人もいるかもしれませんが、
そんなことは、ありません。
このごろは、お米でも品種や産地が気にされますが、
海苔も、海という自然が育む植物ですから、
ほんとは、みんなずいぶん個性がちがうんです。
「こないだの海苔、とてもおいしかったら、
 また同じのをください」と言われても、
同じ個性のものを買うことは、かなり難しい。

ですから、真剣に仕事をしているお寿司屋さんは、
海苔の仕入れでも、確かな目利きのできる問屋さんと、
いっしょによく話し合って、
年間に使う海苔の計画を考えます。
「今年は、これを、確保しといてね」なんて感じです。
いくらお金を持っていても、高い海苔は買えても、
好みの個性の、よい海苔は買えないのですね。

築地には、創業60年になる「林屋海苔店」の三代目、
相沢裕一さんという海苔の目利きがいます。

お客さんの好みをよく知っている相沢さんは、
産地に直接出かける仕入れをしています。
現地のセリに参加して、おなじみの顧客の好みに合わせ、
「あのお客さんは、この味が好みにちがいない」とか、
「あの店で使うのに最高の海苔があった」などと、
いろんなタイプの海苔を買い付けてきます。

その相沢さんの仕入れる「ある個性の海苔」に、
糸井重里は、すっかり魅了されていました。
十年前くらい前、親しいお寿司屋さんに頂戴したのが
きっかけで、「それからはずっとこれ」だそうです。

そして‥‥とうとう2008年、築地の相沢さんと、
会って話して会って話して相談して、
シーズン中に収穫された最高ランクの海苔を、
「ほぼ日」とのコラボ商品として、
特別に分けていただくことになりました。

有明海で採れた、店先には並ばないこの海苔。
デメリットだけ先に言っておきますね。
“うっすら曇り”があって“小穴”もある、
そして一般的な価格よりは、かなり高い。
そんなことでしょうか。
でも! 自信はあります。

それが、ごちそう海苔「海大臣」。
ことしは、3つの個性を、お届けします。

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海大臣のふるさとと、育ち栄養分が豊富で、太陽がたっぷり当たる 有明海で生まれた海苔「海大臣」。 福岡全体でも最高級ランクに入る海苔のひとつです。


「海大臣」のふるさとと、育ち 栄養分が豊富で、
太陽がたっぷり当たる 有明海で生まれた海苔。
福岡全体の海苔のなかでも 最高級ランクに入る海苔のひとつです。

北は松島から、太平洋側の湾内に点在し、
九州までひろがる日本の海苔の生産地。
なかでも福岡と佐賀・熊本にまたがる有明海は、
上質な海苔が採れる名産地として知られています。
有明海は海水中に栄養分が豊富で、
干満の差が大きいことから、
干潮時に太陽がたっぷり当たり、
おいしい海苔が育つのです。
「海大臣」は、そんな有明海に面した
「皿垣」(さらかき)漁業協同組合から、
福岡県の入札会に出品された海苔です。

市販されるときには明記されないのですが、
海苔には「等級」があり、
皿垣漁協だけでも、
100近い等級づけがされています。
ふつう、海苔の等級づけは、
色のよしあしや、艶など、
見た目優先で決められるのですが、
皿垣漁協は、専門家が食べてみて、
味をみて等級を決める「食味審査」を
全国で初めて行なった漁協です。
そうして選ばれた「海大臣」は、
福岡全体の海苔のなかでも
最高級ランクに入る海苔のひとつです。

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海大臣のふるさとと、育ち栄養分が豊富で、太陽がたっぷり当たる 有明海で生まれた海苔「海大臣」。 福岡全体でも最高級ランクに入る海苔のひとつです。

みっつの海苔の、ことなる個性。
それぞれに「おいしさ」がちがいます。

海苔は、4月から育成が始まります。
牡蛎の殻をつかって培養を始め、
夏の終り頃に、海苔のタネを網に定着させる
「採苗」(さいびょう)を行ないます。
その後、海に支柱を立てるか、
浮き流しで網を海中に広げて、
25枚から30枚かさねて「タネ網」を育てます。
この時期を「育苗」(いくびょう)といいます。

その後、重ねて張られていた網を減らし、1枚にして、
「単張り」と呼ばれる本格的な育成に入ります。
減らした網は冷凍され、
順番に育成されるのを待ちます。

同じ生産組合で、ほとんど同じような海で育っていても、
採苗、育苗、単張り、そして収穫の時期が
ほんのすこし異なることで、海苔の味は、変化します。
また、網がすぐ隣同士であっても、
水温、塩分、海流、栄養分の分布などの「海況」は、
場所によってほんのすこしずつ異なるため、
それも、味に変化をもたらします。
また、全体的に言えるのは、ことしの皿垣の海苔には、
(昨年にくらべて)穴が多いということ。
しかしそれは味には影響がありません。

ちなみに昨年は「秋芽の一番摘み」という、
いちばん最初に育て、収穫した海苔を
「海大臣」として販売いたしましたが、
ことしの「海大臣」は、5回目に入札が行われた、
「冷凍網の一番摘み」です。

海況がいちばん整ったなかで育ったその時期の海苔が、
ほかの時期に出品された海苔にくらべて、
いちばん、香りと味がよかったからです。

しかし、最後に「ひとつ」を選ぶのに迷いました。
最終的に絞り込んだ3種類の「海大臣」候補が、
いずれも、個性的で、それぞれに引けを取らない
「おいしさ」を持っていたからです。


「海大臣(みぎ)」は、
光沢のある見た目や、ぱりっとした厚み、
サクサクとした歯ごたえが、
昨年販売した「海大臣」にいちばん近いもの。
ほんのり、生のりのような香りがあって、
後味には、あまみが残ります。
なにより歯ごたえ重視で選ぶとしたら、これでした。


「海大臣(まんなか)」は、
全体的にしなりがあり、やわらかな印象。
磯の香りが、「海大臣(みぎ)」に比べて強めで、
そのまま食べたときに舌に感じる塩味も、
ほんのすこし、強くなっています。
一般的には、もっとも高い
値がつく海苔だということです。
厚さと味のバランスのよさで選ぶならば、これでしょう。


「海大臣(ひだり)」は、
穴が多く、すこし透けた、色の浅い印象があります。
3つのなかでもっともやわらかいのですが、
口に入れたときにふわっととろけるという個性で、
きわだっていました。
また、最初にあまみを感じることが特徴的で、
海苔らしい後味もしっかり残ります。
見た目より味を重視したい「海大臣」です、
味の濃さ、後味のよさで、
この海苔も最後まで候補に残りました。

林屋海苔店の相沢さんと、「ほぼ日」とで、
この3種類の海苔を、それだけでつまみ、
なんどもなんども味をみて検討した結果、
私たちは、ことしの「海大臣」として
3種類とも販売することに決めました。
それぞれ、昨年の「海大臣」とは、
すこし違う個性をもっていますが、
香りと味には自信があります。
別のページで、飯島奈美さんによる
それぞれの個性を活かした
海苔のレシピを紹介していますので
どうぞ、参考になさってくださいね。

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つくりたてで、お届けします ご注文から3〜7営業日後にお届けします。

相沢さんが海苔商社に同行して
入札会で仕入れた海苔は、
「火入れ乾燥」をし、
4%程度まで湿度を下げた状態で保存されています。
これを、最後に「焼加工」をして、
すぐに食べられる焼海苔の状態にして
専用のアルミパックに袋づめします。
今回用意した3種類・4680パックは、
ご注文いただいてから、3〜7営業日以内にお届けします。
できたての味と香りをおたのしみください。

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2009-07-09-THU

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撮影:大江弘之