スタイリストの井伊百合子さんに、 「ながく着られるもの」「だいじにしたくなるもの」 について、語っていただく後編です。 今回は、「はいてないときでも、うれしい靴」が登場。 「SUOMIの森」のカシミアシリーズについては、 マフラーがなんだかとっても高評価でしたよ。 |
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── | これはどういうものですか? |
井伊 | この靴はデッドストックで、 「オールデン(ALDEN)」のレディースなんです。 ここの靴は、もともとすごく好きで。 |
※ALDEN: 1884年、チャールズ・H・オールデン氏によって 設立された、アメリカのシューズ・ブランド。 オーソドックスなデザインにくわえ、 はきやすさと品質の高さで、日本にも愛好家が多い。 |
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── | 自分ではくものとして、お好きなんですか? |
井伊 | いえ、「オールデン」には、 基本的にレディースがないんです。 |
── | あ、そうなんですか。 |
井伊 | これも正規のものではなくて、 たぶん、むかし「オールデン」が、 どこかといっしょにつくったものだと思います。 出会った瞬間に、これはもう買うしかないって。 ていねいに、ていねいに、はいたら磨いて。 |
── | たいせつにしてるんですね。 |
井伊 | これに関しては、はいてるときもそうだけど、 なんかもう、家においてるのをふっと見ると、 幸せになれるところがあって(笑) |
── | そうなんですか(笑) |
井伊 | そうなんですよ。 はいてないときでも、これが目に入ると、 「ふふっ」って思う(笑) |
井伊 | カシミアとかもそうなんですけど、 革もやっぱり、手をちゃんとかけてあげないと いけないものだと思うんです。 で、わたし自身も、ひと手間かけるのが、 意外と嫌いじゃないみたいで。 |
── | やっぱり、だいぶ男の子が入ってる気が(笑) |
井伊 | そうかもしれないですね(笑) 私の知り合いも、「オールデン」がすごく好きで、 いつも天気予報を気にしてて。 |
── | あっ、それ、よくわかります。 |
井伊 | 雨の、降水確率がちょっとでもあると、 今日は‥‥。 |
── | ダメダメ。 |
井伊 | っていう感じで。 そうそう、ほんとにそんな感じで。 |
── | 雨とわかったら、どうでもいい靴をはく。 |
井伊 | そうそうそう。 いちど雨がふったんですって、はいてるときに。 そしたらね、タクシーで帰って来たって(笑) ぜったい濡れたくないから。 |
── | もう、気持ちすごいわかる、それ。 男のほうがそのへん、病気の度合いが高い(笑) |
井伊 | そうかも、そうかも。 わたしは、中間かもしれないです。 もうちょっとちゃんとはいて、 自分でたのしんでっていう。 |
── | その意味では、スタイリストっていうお仕事は、 いいのかもしれないですね。 |
井伊 | はい、たのしいですね。 |
── | 井伊さんには、今回のカシミアとボーダーシャツの スタイリングをお願いしたわけですが、 せっかくなので、印象を教えていただけますか? |
井伊 | 一番最初に見たときに、 「きっと、みんなが着てくれるものだな」って、 思いました。 |
── | ああ、それはうれしい評価ですね。 |
井伊 | すごく取り入れやすい。 とくに「カシミアのパーカ」とかは、 ほんとに人を選ばないんじゃないかなと思います。 どんな格好にプラスしても、 ぜんぜん違和感なく着られそうな気がします。 |
── | ああ、そうですか。 ぼくらのほうでは、カーディガン代わりに なればいいなっていうのはあったんです。 |
井伊 | ちょっと、はおれる感じ。 |
── | そうそう。 |
井伊 | そういうとき、スウェット素材のパーカだと、 ほんとにカジュアルになりすぎちゃう。 これだったら、そうならない気がします。 カシミア素材っていうのもあるんですけど、 すごく自然に、おしゃれな感じが出せそう。 |
── | 「カシミアのボーダーシャツ」のほうは、 いかがですか? |
井伊 | これはなんか、もっと大人な感じがします。 |
── | 大人な感じ。 |
井伊 | 「上質な大人の時間」っていうのかな。 そういうイメージです。 |
── | あー、なるほど、つまり、 わざわざカシミアでつくったボーダーシャツを、 着るっていうのは、やっぱり気持ちに余裕がある‥‥。 |
井伊 | はい、そんな気がします。 ボーダー自体は、わりとカジュアルなものだけど、 これは「きちんと感」がちゃんとある、 そういう気がしますね。 |
── | 色は、個人的にはどれがお好きですか? |
井伊 | うーん、迷いますね、 どの色でも、自分のワードローブに 加えていいなって思えます。 |
── | おお、ほんとうですか。 |
井伊 | パーカなら‥‥グレー? でも、着る服にもよりますね。 ほんとうにこれ、3色とも、どれも好きです。 すごく使いやすい。 |
── | あえて選ぶとしたら? |
井伊 | 一番素材と合ってるという意味では、 ナチュラルブラウンなのかな。 なんか、カシミアっぽい感じが一番する。 |
── | ああ、カシミア感。 |
井伊 | カシミア感が出てる。ほっこりした、やさしい感じが。 |
── | ボーダーだったら? |
井伊 | ボーダーは、ネイビーかなあ。 すごく品がいい。 |
── | スタイリングも上品でしたよね。 |
井伊 | ネイビーと白って、もともとすごく好きな組み合わせで。 トラッドで素敵ですよね。 |
井伊 | (マフラーをさして) あと、これがすごくかわいい。 |
── | それは、かたちとか? |
井伊 | かたちもかわいいし、デザインもかわいい。 白いリブがついてて、うらは無地なんですよね? |
── | そうです。 |
井伊 | うらを見せて巻いたときも、完全に無地じゃなくて、 ロゴがちょっと見えるとか、 そういうのもかわいいなと思います。 巻いたときに、そのバランスがかわいい。 これは‥‥いいなあ。 |
── | なんだか評価が高いですね。 |
井伊 | かわいいです。これはちょっと、好きだな。 |
── | そんなにほめられるとは思わなかった(笑) |
井伊 | でも、マフラーでもパーカでもボーダーでも、 カシミア1枚、持っとくっていうのは、 いいですよね、やっぱり。 |
── | 「ちょっとぜいたくで、だいじにできるもの」として。 |
井伊 | そうそう、「とっておきの1枚」みたいな感じで。 ガンガン、気にしないで着れる服っていうのも もちろんいいんですけど、 なんか、そうやって手をかけて、だいじに着てあげる、 そういうよろこびって、あると思うんです。 |
── | きょうはありがとうございました! (おわりです) |
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