石川直樹さんとKIKIさんの対談、後編です。 今回は、「SUOMIの森だより」のテーマでもある、 「ながく、愛着をもって使いつづけられるもの」 について、語っていただきました。 お二人とも魅かれるという「ストーリーのあるもの」とは? さっそくごらんください。 |
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── | 撮影のときのお二人のカップ、 ずっと大事に使っていらっしゃるものを、 持ってきていただいたんですよね? |
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石川 | ぼくのは、高一くらいから使ってます。 アメリカのシアトルのアウトドアショップで買って、 そのままずっと使ってるんだけど、 魔法瓶みたいに、側面に空洞があるから、 あったかいものが冷めにくいんです。 でも、ぼくのより、KIKIちゃんのコップのほうが、 いいものですよ。 |
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KIKI | いえいえ(笑) これは、もとになったものがあって、 それこそラップランドに、「ククサ」っていう、 白樺のこぶから削り出した、木のカップがあるんです。 |
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石川 | へえ、かわいい名前。 |
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KIKI | たまたま、いただいたものだったんですけど、 すごく丈夫だし、口をつけたときに 木の香りがして、とても気に入ってたんです。 それをもとに、知り合いが作ってくれたのがこれで、 「キキサ」っていうんですけど(笑) |
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石川 | なるほど(笑) |
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KIKI | 外に行くときにいつも使っています。 |
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石川 | これ、取っ手がかわいいよね。 持ちやすい。 |
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KIKI | そう、持ちやすい。 |
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石川 | 使い込んで、いい感じになってる。 |
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KIKI | やっぱりこういうものって、ずっと使いたいから。 わたしは職業柄、あたらしいものも いっぱい着たり身につけたりするんですけど、 でもふりかえってみると、 親とか、おばあちゃんから受け継いだ、 洋服とか靴とか時計とか、そういうのをけっこう持ってて、 それって、飽きずにずっと使えるんですよね。 |
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石川 | さっきのマグカップもそうだけど、 ぼくもわりと、ながくものを使う派なんです。 以前、北欧で出会ったおばあさんや、 アラスカで、カヌーで川下ってたときに出会った猟師も、 セーターを着てるんだけど、ぼろぼろで穴があいてて、 それでも使ってて、愛着があるのがよくわかる。 そういうの、いいなあって思う。 |
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KIKI | うん、うん。 |
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石川 | ぼくの登山靴は中3のときから使っていて、 3回くらいソールはりかえて、 とうとう、つま先がパカッてわれちゃって、 おんなじのを、また買い替えたりとか。 けっこう、ひとつのものをながく使いますね。 |
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KIKI | へえ! おなじのを買い替えたんだ。 わたしは、自分で買ったものって、 わりとないがしろにしてしまうことが多くて。 でも親からもらったものっていうのは、 いずれ自分も、子どもができたら、 使ってもらいたいたいなっていう 気持ちがあるので、すごく大事に使ってます。 |
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石川 | たとえば、どんなのがあるんだろう? |
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KIKI | 気に入って着てるセーターがあって、 それは、うちの母が大学生のときに、 ヨーロッパアルプスのスキー場で買ったんですけど、 「こういうことがあって買ったセーターなのよ」 っていうストーリーがあるんです。 ひとつひとつにそういうストーリーがあるので、 自分のなかで、より親しみがわいて、 自然に大事にしますね。 |
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石川 | モノに染み込んだストーリーって大切だと思う。 長く使っていけば、そのモノにたくさんの ストーリーがくっついていくよね。 |
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KIKI | ああ、自然に。 |
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石川 | さっきのお母さんの話もそうだけど、 そこにストーリーが刻まれていくと、 やっぱり長く使っていたくなる。 |
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KIKI | 大事にするよねー。 |
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石川 | うん、思い出っていうか、 自分の物語の一部になっちゃってて。 |
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KIKI | わたしは、受け継いだものはあるけど、 自分が何かのきっかけで手に入れて、 それにストーリーをつけていくっていうことは、 まだあんんまりできてないと思います。 そういう意味で、(着ているカシミアのパーカをさして) こういう、これから大事にできそうなものに めぐりあうっていうのは‥‥。 |
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── | いいことを言ってくださって、 ありがとうございます(笑) |
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石川 | アウトドアメーカーのブランディングって、 ストーリーを強調することが多い。 たとえばマグライトっていう懐中電灯がありますよね。 アメリカの警察とかも使ってる。 例えば、地下室でコンクリートに埋もれた マグライトが発見されて それは6年前、家の改築をしたときに なくしたものだったんだけど、 スイッチを入れたら、ちゃんと点いた、とか。 |
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KIKI | ああ、伝説っぽい。 |
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石川 | どこそこのダウンジャケットを持って、 高峰のなんとか壁をのぼった、とか、 天候が悪化した山に 20日間とじこめられたけど生還したとか、 そういうので、アウトドアメーカーって 商品に信頼性や付加価値をつけていったり。 |
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KIKI | そうそうそう。 |
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石川 | だから、「ほぼ日」のカシミアも、 ストーリーがあるといいですよ。 |
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── | ああ、伝説をつくればいいんですね。 |
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KIKI | 「たき火で穴があいちゃって、 そこに刺しゅうしたんだよ」 とか。 |
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石川 | 超ハードな登山家に、これを渡して、 遠征しに連れていってもらうとか。 |
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── | 「ほぼ日」としては、それはやっぱり、 石川直樹にお願いしたいですね。 |
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石川 | いやいや、ぼくには無理です(笑) |
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── | 「あの石川直樹も愛用している」 って言いたいです(笑) |
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石川 | でもそうやってストーリーができていくと、 いいですよね。 すてられないし。 |
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KIKI | たしかに。 |
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── | じゃ、今回はお礼に、 お好きなデザインをさしあげますので、 ぜひお二人とも、ここからストーリーを 重ねっていっていただければ。 |
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石川 | やったぁ。 |
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KIKI | うれしいです。 | |||||||||||||||||||
(おわりです) | ||||||||||||||||||||
撮影:神ノ川智早 スタイリング:井伊百合子 ヘアメイク:益田貴子 ぬいぐるみ:金森美也子 |