糸作りの現場を見学しました。 〜スーピマコットンから 「やさしいタオル」の糸ができるまで〜 |
「やさしいタオル」のパイル面には、
LA加工という特別な加工をほどこした
スーピマコットンの糸を使っています。
この特別な糸を作る技術を持ち、
日本で唯一、製品化しているのが、日清紡さん。
「やさしいタオル」はこの日清紡さんから糸を仕入れ、
四国・今治の花椿テリーさんで織り上げているんです。
いままでお伝えしたことのなかった
日清紡さんの糸作りの現場を、
今回はたっぷりレポートしますね!
コットンから、糸へ 〜静岡県島田工場〜 | |||
最初に、おうかがいしたのは、
静岡県島田市にある日清紡島田工場。
まず、ここでピマコットンの綿花を糸にします。
上の写真をごらんください。
右の花瓶にはいったものが綿花。
手前のふわふわしたものが
糸になる前のコットンが整えられたもの。
左が完成した糸です。
島田工場では、
コットンから糸が完成するまでを見学しました。
▲糸の作り方を教えてくださった日清紡の佐藤さん。 | |
島田工場は50年近く前にできた歴史のある、
とても規模の大きな工場です。
大竹しのぶさん主演の
製糸工場に働く女性をテーマにした
映画「ああ野麦峠」のロケ地にも
使われたことがあるそうです。
▲設立当初からある2階建ての事務所の 廊下や階段は桜の木で作られていました。 昔の小学校の校舎のような懐かしさが漂っています。 |
スーピマコットンはアメリカから届きます。
世界のコットンの生産量の0.5%にも満たない、
超長繊維綿のスーピマコットンは、
アメリカの南西部で作られています。
今から200年前、ノースカロライナの
ウイリアム・エリオットという人が
バハマ諸島から種子を一袋持ち帰ったことがきっかけで、
アメリカで作られるようになったそうです。
▲アメリカから届いたコットン。ぎゅっと圧縮されています。 1袋の重さは250キロもあるそうです。 |
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綿花の品質は、まず、繊維の長さで決まります。
スーピマコットンのような
最高級の超長繊維綿は
繊維の長さが35ミリ以上あります。
スーピマコットンは、
・繊維が長くて強い
・しなやかでやわらかい
・吸水性が高い
・上品な光沢がある
というところが特長です。
スーピマコットンは産出量が少なく、
糸にしていく加工に時間がかかるため、
「やさしいタオル」を作るときは、
半年前から糸の確保をお願いしています。
さて、では、これから
コットンが糸になる工程を見ていきましょう。
圧縮されたコットンを、自然のかたちに戻します。
梱包されていたコットンを広げて、ときほぐし、
枝葉など、大きめのくずを落とします。
コットンから太いひもをつくります。
次に、細かい無数の針の間を通して、
短い繊維や細かいくずを落としつつ、
ざっくりとした太いひも状のものを作ります。
太いひもから、また別のひもを作ります。
太いひも状のものを数本合わせて束ねたものを
引き伸ばしながら細くして、
太さを一定に揃えていきます。
ここで、1本1本の繊維の方向を
まっすぐに整えていきます。
▲太いひも状のコットンは、ひっぱると、すーっと長い繊維が! ふわふわです!スーピマコットンは、繊維そのものが長くてしなやかで 強いため、きつくよらなくても極細の糸になります。 よりが少ない分、糸になっても、ふわふわ感が保たれます。 |
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さらに、細く引き伸ばします。
太いひも状のコットンから、
「粗糸」とよばれるちょっと太めの糸を作った後、
糸作りの最後の工程の「精紡」に進みます。
「粗糸」をさらに数十倍(!)引きのばして
極細の糸にするんです。
「やさしいタオル」のパイル面は
極細のよりのあまい糸を、
2本あわせて使っています。
極細でよりのあまい糸は
糸をつむぐときのスピードをあげると、
切れてしまうので、とても難しいとのこと。
スーピマコットンを糸にする作業は
どの工程もゆっくり時間をかけてすすめられます。
▲「精紡」された糸。 | ||
糸を巻きます。
この後、高温のスチームをあて、
よりを加えた糸が元に戻ろうとして縮んだり
曲がったりしないように、安定させます。
スーピマコットンの糸は、この時点で、
最高級品質の糸として完成しており、
衣類などに使われるのですが、
「やさしいタオル」は、
これからさらにぜいたくに手をかけます。
完成した糸は、LA加工をほどこすために、
静岡県の島田工場から、
愛知県の美合工場に運ばれます。
糸にLA加工をほどこします〜愛知県美合工場〜 | |||
▲静岡県から新幹線と在来線を乗り継いで、 愛知県の岡崎市にやってまいりました。ここに美合工場があります。 |
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愛知県の日清紡・美合工場は、研究所が併設された
紡織加工では日本最大の工場です。
▲10万坪以上あるとても広い敷地で、 東京ドームの面積の7.5個分になるそうです。 |
LA加工でふっくら・やわらか・はりが出る理由。
糸をLA加工する技術を持っているのは、
日本で唯一、日清紡さんだけだそうです。
(ちなみに、タオルでこの糸を使っているのは
「やさしいタオル」だけです)。
特別な技術や機械のため、
詳細を写真で見ていただくことはできないのですが、
あらためて、LA加工について教えていただいたので、
ここでお伝えしますね。
▲LA加工を教えてくださった日清紡の 井之脇さん(左)と、日内地(ひないじ)さん(右)です。 |
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LA加工をほどこすと、
糸にふっくらとしたはりと、
エレガントな光沢が出ます。
繰り返し洗濯してもやわらかく、
へたれにくいという「やさしいタオル」の特長は、
このLA加工のおかげでもあります。
LA加工すると繊維の組織そのものから、
体質改善されます。
水を吸っても乾いても、
繊維の組織の形状がほとんど変わりません。
そのため、繊維はしわになることなく、
はりとやわらかさが長く保たれます。
▲LA加工ありの繊維の組織 | ||
逆に、LA加工をしていないものは、
繊維が水を吸うとふくらみ、乾くと縮みます。
これを繰り返していくうちに、
しわが増えたり、固くなったり、
形が変わっていきます。
▲LA加工なしの繊維の組織 | ||
パイルのループを見ると
違いがはっきりわかるのですが、
LA加工ありのパイルのループは、
洗濯後もぴんっと立っていて、ふんわりしています。
▲LA加工ありのパイル | ||
逆に、LA加工をしてないときのパイルのループは、
使ううちに、よれやへたりがでてきます。
▲LA加工なしのパイル | ||
スーピマコットンから作られる糸は、
それだけでも最高級の糸ですが、
「やさしいタオル」の場合、
さらにぜいたくに、LA加工をほどこし、
しなやかで、やわらかく、強く、
はりと光沢があるスーピマコットンの特長を
さらに引き出しているのでした。
表面だけの加工ではなく、
繊維の組織から体質改善しているので、
長くお使いになっても性質はほとんど変わりません。
最後に、企業秘密の特殊技術ではありますが、
特別に、LA加工をほどこす機械の
最初(入り口)と最後(出口)を、
ちらっとお見せしますね。
手間と時間をたっぷりかけるLA加工の工程。
島田工場から届いた巻き糸を、
1回につき、288個並べます。
島田工場できれいに巻かれた糸は、
ここでいったんほどかれ、
LA加工する機械にセットされます。
LA加工する機械はとても長〜くて、
電車1両分くらいの長さがあり、密閉されています。
糸はその機械の中を進み‥‥
マイナス34度のLA溶液に浸ける。
↓
蒸気でLA溶液を完全に飛ばす。
↓
乾燥させる。
↓
水で洗う。
↓
乾燥させる。
という長い工程を経て、出口から出てきます。
出てきた糸は、いったん巻かれますが、
出荷前に、織機に合わせて
もう一度、巻き直しされます。
▲こちらは、LA加工が終わり、出てきたときの写真です。 すごく光沢が増しています。 |
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「やさしいタオル」の糸は、
ふつうの糸を作る2倍、3倍の
時間と手間がかかるぜいたくな糸です。
「やさしいタオル」をお使いになるときは、
ぜひ、糸のやわらかさや、はりに注目してくださいね。
日清紡のみなさん、ありがとうございました!
さて、「やさしいタオル2007」の追加販売は
8月2日(木)午前11時まで。
終了日前でも、完売次第終了いたします。
ご購入を考えてくださっている方は、お早めに。
お手元に届いた「やさしいタオル」の感想や、
「やさしいタオル」にまつわるエピソードを
ぜひ、postman@1101.comまでお送りくださいね。
2007-07-30-MON |