つきのみせ。2024 ナイトシリーズ - ほぼ日刊イトイ新聞

気持ちのいいものに包まれる心地よさと、身体のラインをきれいに保ちたいという思い。つきのみせは、下着に求めるさまざまな「こうだったらいいな」をかたちにしてきました。この冬、あたらしく登場するのは“ナイトブラ”です。着心地やつけ心地がよくて、大人っぽくて‥‥ チームの理想をつめこんだものを、下着デザイナーの惠谷太香子さんとつくりました。敏感な肌の方にも安心の「スマイルコットン」を使用し、一日中気持ちよさに包まれるインナーもご用意しました。また、秋冬に手ばなせない、「JOHA」のインナーが今年も登場。スタイリストの轟木節子さんが、心ときめくアイテムをセレクトしてくれました。

理想のモノに出会うのはむずかしい

惠谷太香子さんとナイトブラ座談会（後編）

あたらしく登場した“ナイト”シリーズ。もともと、チームのなかで、「ナイトブラで理想にピタッとくるものがない」という話から開発が進みました。着心地やつけ心地がよくて、大人っぽくて‥‥ 理想のナイトブラの話から、下着デザイナーの惠谷太香子さんに製品ができるまでのお話を聞きました。

女子美術短期大学卒業後、ブライダルファッションデザイナーの桂由美さんに師事。その後フランス・パリのオペラ座衣裳室での修行後、肌着・下着デザイナーとして独立。キャリアを通して身に付けた徹底した立体裁断の高い技術をいかし、 2003年には、大手ファストファッションメーカーの下着部門が立ち上がるときの中心メンバーを務める。現在は、自身でオートクチュールを発表するかたわら、日本の「オーガニック素材」の先端を走る名古屋の豊島株式会社と組み、「cohan」「ma・to・wa」（マ・ト・ワ）などのプロデュース・デザイン・開発を担当。日本の企業のみならず、香港やフランス、アメリカなど、世界をまたにかけ活躍されています。

空気をふくんだふわふわの生地

なつみ素材については、惠谷さんから「いい素材があります」とスマイルコットンを提案いただきました。

惠谷スマイルコットンは特殊技法を活用した綿で、すごくふわふわなんですね。日本アトピー協会が肌に弱い人にも推奨している素材の一つで、ベビー服やマタニティにもおすすめ。タッチの柔らかさや乾きの早さが検証されています。見本を持ってきたのですが、同じ10gのコットンでもこれだけボリュームが違うんですよ。触っていただくとわかりやすいと思います。

さゆり ‥‥すごい、ふわふわですね。

ジャンボ気持ちいいですね、これは。

惠谷どんな風に作られているかというと、一度紡いだ糸をほどいて、もう一度糸にすることで、糸が柔らかく、空気を含むんだそうです。肌にあたるところは全部この素材にしたかったので、アンダーのゴムの部分も、内側はスマイルコットンです。

ハサウェイそれは、うれしいです。私、かゆくなっちゃうんですよね。

惠谷最近、ゴムで肌が荒れる方が増えているみたいですね。汗かぶれの人も多いとか。寝ているときって汗をかきますよね。なので、できるかぎり肌にスマイルコットン以外があたらない設計にさせていただきました。これにストレッチ性を出すために最低限のポリウレタンを入れて編むことで、グーッと縦横に伸びる柔らかい素材になります。よく伸びるので、すごく縫いにくいんですね。

さゆりなるほど。

惠谷完成に持ってくるまで５回ほどサンプルを作り直して、国内の、腕のいい工場さんと苦労したかいだけあって、柔らかいタッチの気持ちのいいナイトブラができあがったと思います。もうひとつは、機能面ですよね。仰向けや横向きで寝るときに、胸の位置が流れてしまうのを止めるのがナイトブラの役割としていちばん大切なので、脇高にして、さらに乳間とカップの裏にマーキ（伸び止めする生地）を入れることで、バストの横流れを止めるようにしています。

ハサウェイカップの裏にまで。

惠谷カップの内側半分にマーキを入れることで、胸を適切な位置にホールドしてやさしく支えるようなつくりになっています。ここだけは、伸びないようになっているんです。

さゆり言われないとわからないですね。触っている感じは、気持ちいいのでそんな秘密が隠されていたなんて。

惠谷あとは、着たときのきれいさという意味で、デコルテラインがすごく大事で。お風呂からあがって、デコルテケアをしたい人のためにも、私はここがあいているものが好きなんですけど、ただ広くしてしまうと寝ているときにストラップがずれてくる。なので、後ろ身頃のストラップの位置幅を狭くしました。

ハサウェイストラップがズレちゃったら、ナイトブラの意味がなくなりますもんね（笑）。

惠谷私たちもいろんな寝姿を試して、どうしたらずれないのか細かく調整しました。もちろん着心地のよさを出すための、立体裁断です。

ハサウェイ惠谷さんといえば、立体裁断。

惠谷生地がペタッとしているので、立体にするために裏にダーツをいれて洋服にひびかないようにしました。表はギャザーにしてかわいらしく、位置を細かく調整しました。柔らかい生地に合わせてミシンの糸調子も変えて‥‥ 脇の下からはみ出るお肉も気になるじゃないですか。

さゆり気になります。

惠谷副乳ってよぶんですけど、そこもブラの中に仕舞えるように、副乳を包み込むような脇高のパターンにしました。また、アジャスターの金具も前につけることで、寝たときにあたりにくいようにしました。

さゆり細かい工夫のオンパレードですね。

どんなライフスタイルを過ごしたいのか。

ハサウェイ私が気になっているのは、リンパの流れを止めないだろうかってことなんですよね。

惠谷気になりますよね。ナイトブラとショーツはどちらも、リンパの流れを妨げにくいような工夫をしています。とくに鼠径部は止めないほうがいいので、ショーツの前の足ぐりにはゴムを入れていませんし、すごく気をつけてつくっています。

ハサウェイなるほど、だんだんナイトブラに興味が出てきました。つけるなら、何歳からがいいんですか？

惠谷 30代後半以降だと理想ですけど、気になってきたときで大丈夫だと思います。ちょっと医学的なことをお話すると、クーパー靭帯といって乳頭と大胸筋をつなげる部分が伸びたり切れたりしてしまうと、元には戻らないんですね。そういうことが心配な方が、わりと話題にされている気がします。

さゆり実際のところ、ナイトブラは必要ですかね？

ジャンボつくってる私たちがそれ聞く？（笑）

惠谷でも、正直に必要かどうかは、人それぞれの結論が出ると思います。どういうライフスタイルがビジョンかによるかもしれないですね。ストレスフリーを優先されるのなら、どうでしょう。

さゆりどんなライフスタイルを過ごしたいのか。

惠谷たとえば温泉に行くと、いろいろな女性の裸を見るじゃないですか。そのときに、胸の形が全然違いますよね。そういうものを見て、自分はどうなりたいのか考えてみると自分にとって必要かどうかわかる気がします。思うのは、胸のラインがきれいだと、気持ちがあがります。

ジャンボわかります、自信になる感じがあって。

さゆりブラの好みが人それぞれなように、ナイトブラも好みはあるんですか？

惠谷あると思います。かなりホールド感のあるものがお好みの方は、別を選んでいただいたほうがいいかもしれません。

さゆりつきのみせのアイテムだと、ちょっと物足りなさを感じるかもしれませんか？

惠谷生地も、伸びの少ない化繊のほうがホールド感が強いので、胸をしっかり支えてくれるものがお好みの方は、そういうものを選ばれたほうがいいと思います。つきのみせのナイトブラは、デザイン性と機能面、相反しているものをうまく合体させることを目指したものなので。

さゆりたしかに、スポーツブラみたいなガッチリ系のほうがホールド力はありそうですもんね。つきのみせのナイトブラは、お胸がおおきい方はもちろんですけど、小さめの方や、着心地がよいもので今をキープしたいって思われている方にもちょうどいいのかもしれない。

惠谷そう思います。お値段は少しはるかもしれませんが、ファーストブラとしてもおすすめです。

ジャンボそれは、素敵ですね！

惠谷最近は特に肌がデリケートなお子さんも多いでしょうし、パッドがついているので大きな胸の方までホールドできる。安心できる天然素材で、伸びがよくて動きについてきてくれるので、着心地はいいんじゃないかなと思います。

なつみやっぱり、スマイルコットンの気持ちよさは格別ですよね。

さゆり私、昔スマイルコットンのパジャマを持っていて、すごく重宝していました。ダブルガーゼみたいな生地で、気持ちよくて。軽くて小さくなるので、毎日のように着ていました。

なつみその気持ちよさに惹かれて、おそろいのショーツと、セーターの中に着られるインナーもつくらせてもらいました。

惠谷縦横に伸びるのでおしりにフィットしますし、おなかまわりをしっかり包み込むくらい長さを出してほしい、とオーダーをいただきました。わかりにくいですが、もちろん立体設計です。ハイネックも手首が長めで、身体にちょうどよくフィットしてくれるのですごく気持ちがいいと思います。ハイネックも半袖も汗をすってくれるので、アウターの下に着ても重宝すると思います。