糸井重里
・いままで、寝る前にお風呂に入るものだと決めていた。
仕事をするとか、本を読むとか、ドラマを見るとか、
いろんなことをぜんぶやり終えて、
もう他にすることがなくなってから眠る、
何十年もそういう習慣でやってきた。
だから、お風呂は寝る前に入るしかなかった。
やりたいことのなかに、入浴はなかったようなのだ。
お湯に入ったらもちろん気持ちがいい。
身体を清潔にするのもわるいことじゃないけれど、
それはなんというか義務みたいなものだと考えていた。
だから、あんまり、ゆっくりのんびりはしてなかった。
眠いしね、お風呂に入ってても、もう、早く寝たいのだ。
余裕のないぼくの象徴みたいな時間ではあった。
しかしねぇ、温泉に行ったときのぼくはちがいますよ。
余裕のよっちゃん、浴場の王様、露天風呂のヌシです。
気分もゆったりしてるし、何度でもお湯につかるし、
あったまってほかほかして、たのしみきっている。
仕事なんかそのあとでやればやれるんだから、
とにかく、疲れと悩みを温泉にすべて流し出して、
ため息でもなんでもつき放題について、それでいい。
温泉わがまま野郎になっているわけですよ。
毎日の自宅の入浴と、ちがい過ぎないか、ちがい過ぎる。
で、温泉のあの俺を、自宅に持ち込みたいと思った。
まずは、家のお湯の温度は、ややぬるすぎたかもしれない。
ここは心機一転、温度は少し上げて、と。
しかも「ねむくまの森のおふろ」で、温泉成分にする。
これだけで、ぽかぽか具合がぜんぜんちがったんだ。
そして、お風呂をたのしみたいという欲が出てきた。
そのためにどうしようかと考えに考えた結果、
何十年やってきた「寝る前」はダメなんじゃないかと、
思い直すことにしたのだった、余裕がなさすぎる。
(ここらへんの試行錯誤が数日続きまして…)
夜の9時とか10時くらいに入ることにしたら、
なんだか、すっごく温泉っぽくなってきたわけですねん。
仕事だって、そのあとでやれたりもしてるんだよ!
なにより、ちょっと早寝もできるようになっている。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ま、生活習慣の試行錯誤は、なかなか定着しないんだけど。
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