糸井重里
・幸せや不幸せのことは、かんたんには言えない。
じぶんのことだって、わかっているとも思えない。
「ああ、幸せだなぁ」なんて口に出して言うなんて、
ある時代の加山雄三の歌のなかくらいのものじゃないか。
いや、言ってもいいんですよ、どんどん言ってください。
それはそうなんだけど、「じぶんが幸せかどうかについて、
幸せのなかにいる人は考えないんじゃないか」
という説があって、ぼくもなんだか納得した覚えがある。
いま幸せなのよ、と格別に言ってるときというのは、
幸せとはちがう別のものと比べているような気がする。
ただばかばかしく公園で遊んでいる子どもに、
「いま幸せかい?」とか尋ねたら、
考えなしに「幸せ」と答えるかもしれないが、
たぶん、そんなこと考えてもいないと思う。
ほんとうは、幸せ不幸せなどというのは、
抽象的な感じ方の「ものさし」みたいなもので、
その「ものさし」を持ち出さなくても人は生きている。
ドアの横幅が80センチだとか、90センチだとか、
ふつうに暮らしていたら考えたこともないだろう。
それに関わってはじめて「じゃ、80センチでいこう」とか
ドアについて数字で考えたりすることになるわけだ。
生きているほとんどの時間、人は幸せについて
量ったり確かめたりしないでやっていけるはずだ。
逆にいえば、幸せの「ものさし」なんかを持ち出すから、
幸せと表裏の「不幸」と出会うことになってしまうのだ。
それでも、どういうことが幸せなのかを考えたり、
どうなったら不幸で、どうやってそれを抜け出すのか、
人間の歴史はずうっとそれを考えてもきている。
正直にいえば、ぼくだって考えてはきているさ。
でも、それを考えれば考えるほど、ややこしくなってさ。
幸せという概念そのものがなければいいのにとか‥‥さえ。
◆今日の質問no.037「ごはん、パン、めん類、どれが好き」
どうでしょう?考えて、よかったらメールで教えてね。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
それは、「愛」ということばにも言えることなんだよねー。
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