そのとき、永田農法で育てた酒米「山田錦」を
玄米に近い状態(精米歩合90%)で仕込んだという、
とくべつな日本酒の存在を知りました。
吉川町には「よしかわ杜氏の郷」という
第三セクター(地方自治体と民間企業による共同出資。
2023年には民営化されました)の酒蔵があり、
地元の米と水で酒づくりをするなかで、
そのお酒がうまれ、
2000年から販売を始めたということでした。
そもそも──、日本酒をつくるときには、
まず「米を磨く」工程が必要です。
米をより多く磨く(削る)ことで
香り高く華やかでスッキリとした味わいに仕上がるとされ、
普通酒で70%(つまり周りを3割ほど削ります)以上、
吟醸酒なら60%、大吟醸酒は50%以上、
なかには「20%以下まで磨いた」、
およそ8割を削ってしまうような
高級なお酒もあるほど。
そんななか「90%」という精米歩合は、
日本酒づくりにおいてたいへん難しく、
また、とてもめずらしい事例だということでした。
当時、まだ若く日本酒の味もよくわかっていなかった
「ほぼ日」乗組員たちですが、
それでもそのちょっと特別なおいしさには
驚いたものでした。