アニ |
うちの母親の実家が二子新地なんで、
生まれたところが、わりと
岡本太郎美術館の近所だったんです。
小学生のときに遠足で行っていたところが
芸術の聖地に。
なにぃ?と思って。 |
ほぼ日 |
はははは。 |
アニ |
絵を観るのが結構好きで、
外国に行っても
いつも美術館に行ったりしてました。
それがね、日本の、
ものすごいそばに、ものすごいものがあったから
びっくりしたんです。
「近くにいたんじゃん!」って。 |
ほぼ日 |
『今日の芸術』とか『自分の中に毒を持て』とか
お読みになりましたか。 |
アニ |
その2冊ね、読みましたよ。
なんでしょうね、あんくらいまで行くと、
だいたいみんな同じようなこと言うな、
っていうのがあって。
とにかく芸術というものはものすごく大切で
言語を超えたコミュニケーション手段だから、
と書いてあって、
そのとおり!
そのとおり!と、
いちいち本に線をひいたりしてました。
「ここ、ここ、重要」って。
ページを折っといたりね。 |
ほぼ日 |
岡本太郎さんの作品が、アニさんの活動に
影響を及ぼしたことって、ありますか? |
アニ |
まあ、でも、その、いや‥‥
‥‥‥‥あります(照)。
|
ほぼ日 |
(笑)はっきり、どうそ、
おっしゃってください。 |
アニ |
あります(照)‥‥あのぅ、とにかく、その、
「マイナスのほうに賭けろ」とか
言うじゃないすか。
「あ! やばいかも」という気持ちが
生命のエネルギーだ、というのは
たしかにそうなんです。
それを「転じて」、成し遂げようとしてる。
言ってること、ぜんぜん、
まともな人なんですよね。
至極まっとうなことしか言わない。
スチャダラパーの活動も、十何年やってますが、
「こっちやったほうが売れるのはわかるんだけど」
と思ってることって、
やっぱ、やってもあんましおもしろくないし、
それだったら、
売れなくてもおもしろいほうをやったほうが、
エネルギー的には大きいです。
註:「マイナスに賭けろ」
岡本太郎さんは、何かを選択するときに
常に困難なほうを選ぶことを
若いときに決意しました。
それは、太郎さんの人生のあらゆる局面で
徹底されていたそうです。 |
|
ほぼ日 |
岡本太郎さんはある意味で、
エネルギーを大きくすることに
賭けた人ですね。 |
アニ |
岡本太郎さんって、すごい数の作品を
川崎市に寄付したでしょう。
誰かに高い値段で売ったり、
自分の作品の価値の出し方とかを考えない。
だけど、
芸術は人に見てもらわないと死ぬ、
ってことはわかってて、
それをとことん実践しててすごいな、と思う。
今回の『明日の神話』はどうすんですか? |
ほぼ日 |
修復して、寄贈する予定だそうです。
「もらう人募集中」なんです。 |
アニ |
へええ、ああ、すげえな。
|
ほぼ日 |
その前に、
7月から汐留で公開ですね。 |
アニ |
行きます、ぜったい。
修復してる人たちも
これだけでかいんじゃ、たいへんですよね。 |
ほぼ日 |
「今日は進んだな」という日でも
1メートル四方ほどなんだそうです。
もう、太郎さんに関わる人たちは、どこも
ギリギリに賭けろ、の精神で。 |
アニ |
(あらためてパンフレットを見て)
うん、すごい、この絵。すごい。
情念みたいなものの深さが、すごい。
|
ほぼ日 |
このTARO MONEYは、
『明日の神話』への寄付の
媒介のような役割をすることになるんですが、
お金のかたちをしていることによって
「人にあげようかな?」
「なんか、使おうかな?」
というように、動き出すといいかな、と
思っているんです。 |
アニ |
どういう使い方しようかな?
1個はやっぱり、財布に、
お守りとして入れます。 |
ほぼ日 |
そうですね、アニさんは、
いつも初詣に行かれているお立場なので。 |
アニ |
はい。 |
ほぼ日 |
あとの3枚は? |
アニ |
だれかにお駄賃であげることにします。
これ、1 TAROとか
このあと、出るんですか? |
ほぼ日 |
のちのちの、野望だけ、あります。 |
アニ |
「午後の日」って彫刻、あるでしょ。
多摩川沿いの工業高校の庭に
ポツって置いてあるんだよね。 |
ほぼ日 |
工業高校ってことは、
わりと男子が多めの学校でしょうか。
なんだか、太郎さんらしいですね。 |
アニ |
工業高校に通う高校生が、
何となく見てて、
どんどん擦り込まれていくのかな。
そういうもんじゃないですか、
大人になって、
ふと、あれ、高校にあったなぁって
思うんでしょうね。
そうやって、微妙に
川崎に貢献してるとこ、いいっすね。 |
ほぼ日 |
あんまり地域貢献というタイプに
思えないところなんですが、意外と。 |
アニ |
作品も、あんな量を川崎に寄付したから
美術館ができたんですよね。
「もらっちゃったしな、つくらなきゃ」
ってことだったり。 |
ほぼ日 |
個人の名前がついて、
あれだけ大きな美術館ができている人は
めずらしいですもんね。
アニさんは、お忙しい毎日かと思いますが、
青山の岡本太郎記念館へも行かれますか? |
アニ |
あのへん、夜通ると
わざわざ前の道を通ったりしてます。
最近、新曲を頻繁に配信してんですよ。
今日もこれから、そのレコーディングで。 |
ほぼ日 |
精力的な活動ですよね。 |
アニ |
でも、その前は休んでたんですよ。
前のアルバムを出したのが4年ぶりくらいですからね。
太郎にハマってる時期はずっと
太郎研究で忙しくて、
アルバムどころじゃなかったですから。
『太陽の塔』行ったりとか
しなくちゃいけなくて、たいへんだった(笑)。
|
ほぼ日 |
はははは。
これからも、TARO MONEYをはじめ、
「ほぼ日」は『明日の神話』を
応援していきたいと思っています。
また、ご協力をよろしくお願いします。 |
アニ |
岡本先輩のためだったら何でも。
地元の先輩だし、
呼びだしくらったみたいなかんじで、やります。
(おわりです)
|