黄昏 た そ が れ  日光・東北編       南伸坊さんと、糸井重里。昔なじみのふたりが、始終しゃべりながら小旅行。前回は鎌倉の名所をめぐりましたが、今回は日光、松島、花巻あたりを回ります。ゆっくと変わる風景と、めくるめく無駄話。いったいいつまで続くのかな‥‥? そしてこの不思議な企画は、なんとすべてをまとめて本になるのです。いえ、ほんとの話です。
第36回 かまぼこ板で支えられていた。
糸井 ベニヤ板の話をしてたら
『木造モルタルの王国』
ってのを思い出したよ。
南 ははははは。
それは、糸井さんがつけたタイトルだ。
糸井 ガロの20周年記念の本のタイトルね。
『木造モルタルの王国』。
南 ははははは。
糸井 ガロを出してた青林堂って、
昔、材木屋の2階にあったんだよ。
つまり、1階が材木置場で、2階が青林堂。
で、ぼくは、材木屋の横の階段を上って、
「南さん、いますかー」って
訪ねて行ったりしてたんだけど、
ある日、階段を上るときに
ふっと気になって見てみたら、
2階を支えてる柱が
おかしなことになってるんだ。
南 あ、糸井さんが発見したんだっけ?
糸井 そうだよ。気になって、
わざわざ下まで下りてたしかめたんだ。
南 ははははは。
糸井 その、とっても重要な柱が、浮いてるんだよ。
で、その隙間のところに、
かまぼこ板みたいなものが詰めてある。
一同 (笑)
南 そうそう。
言われて見に行ってみたら、
たしかに浮いてる。
で、おかしかったのは、
そこは材木屋なんだから、
直そうと思ったら、
かまぼこ板なんかつかわなくても、
材料はあるはずなんだよ。
糸井 ふんだんにね!
一同 (笑)
南 でも、かまぼこ板が詰めてあるんだ。
ほんとうに!
糸井 つまり、そのかまぼこ板を外したら、
青林堂は崩壊するわけだよ。
一同 (笑)
南 はっはっはっはっ。
糸井 そういう状況であるにもかかわらず、
青林堂の人たちは妙に安心しててさ。
それがなぜかっていうと、
下にいっぱい材木が置いてあるからなんだよ。
一同 (笑)
南 はっはっはっはっ。
糸井 間違ってるよね、それはね。
南 間違ってるねぇ(笑)。
糸井 そういうようなね、
かまぼこ板で支えられつつも、
「かまぼこ板がどうにかなっても
 大丈夫なんじゃないか?」
っていう根拠のない安心感のうえに
ガロは建ってるんだっていうことを
二十代のぼくが発見したんだ。
南 ふふふふ。
あれを発見したのも糸井さんだったのか。
糸井 そう。遊びに行ってるうちに発見したんだ。
で、のちに、ガロの記念本を出すときに、
『木造モルタルの王国』
っていうタイトルをつけたわけ。
南 いいタイトルだねぇ(笑)。
(次回、ふたりの出会いが明かされる)

2009-11-10-TUE

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