ニンテンドッグス日記あてに
遅れて届いた1通のメール。
こんにちは。永田です。
もう、連載が終わってから2ヵ月が経ちますが、
「みんなでニンテンドッグス日記」
という連載があったこと、
覚えていらっしゃいますでしょうか?
簡単に説明すると、
「みんなでニンテンドッグス日記」は
樹の上の秘密基地という
任天堂のゲームを紹介するコンテンツのなかで
はじまったコーナーで、
4人の「ほぼ日」乗組員
(永田、武井、弥絵、ナガサカ)が、
『ニンテンドッグス』というゲームをつかって、
自分たちの犬を飼いながら
その暮らしをつづっていくというものでした。
ご存じの方も多いと思いますが、
『ニンテンドッグス』というのは
ソフトのなかで犬を飼うことのできるゲームです。
さんぽさせたり、芸を覚えさせたりして、
犬となかよく暮らしていく、
ちょっと不思議な魅力を持ったゲームです。
(『ニンテンドッグス』について、
詳しくはこちらのページをご覧くださいね)
さて、
その『ニンテンドッグス』の大きな特長のひとつが、
「すれちがい通信」という機能でした。
これは、ある簡単な準備をしておくと、
街なかで自分の『ニンテンドッグス』と
誰かほかの人の『ニンテンドッグス』が交信し、
自分の犬がほかの人のところに遊びに行き、
自分の『ニンテンドッグス』のなかに
ほかの人の犬が遊びに来るという
たいへんユニークな機能です。
『ニンテンドッグス』を挿し、
電源を入れたニンテンドーDSをスタンバイさせて、
かばんの中にでも放り込んでおくと、
半径数十メートル以内に同じ状態の人がいれば、
ソフトどうしが勝手に通信をしてくれるのです。
誰かと「すれちがう」と、
ニンテンドーDSが反応して教えてくれます。
「すれちがい通信」が成功した場合、
相手の犬と遊ぶことができることはもちろん、
相手のメッセージも読むことができます。
同様に、自分も「すれちがい通信」用の
メッセージをつくることもできます。
すごーくおおざっぱにいうと、
『ニンテンドッグス』を持った人どうしが
実際に「すれちがう」だけで、
ことばを交わすことなく、顔を合わせることなく、
コミュニケーションすることができるのです。
長い説明ですいませんでした。
ここからが本題です。
「みんなでニンテンドッグス日記」というコンテンツでは
街なかで「すれちがい通信」に成功した人のメールを
たくさん紹介していきました。
連載の途中で、
「『ほぼ日』を読んでいる人は、
メッセージのなかに『SayHello!』と入れよう!」
という提案をしたことで、
読者どうしの「すれちがい」も
たくさん確認することができました。
そのようにして「みんなでニンテンドッグス日記」は
読者のみなさんを巻き込みながらたのしく盛り上がり、
2ヵ月前に、いちおうの最終回を迎えたのでした。
さて、先日のことです。
もう終わってしまった
「みんなでニンテンドッグス日記」あてに、
1通のメールが届きました。
読んでみると、それは、
とある「すれちがい通信」のレポートでした。
そんなこともあるんだなあ、という
たいへんおもしろい「すれちがい」のことが
ていねいに書かれていました。
もう、「みんなでニンテンドッグス日記」は
終わってしまっているのですけれど、
ぜひみなさんに読んでいただきたいと思ったので
ここに紹介させていただきますね。
ささいな「すれちがい」かもしれませんが、
ちょっとだけ不思議な気分になれます。
最後まで、どうぞのんびりとお読みくださいませ。
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ほぼ日スタッフの皆様、
毎日楽しく読ませていただいています。
私が『ニンテンドッグス』をはじめたのは
ほぼ日の影響で、ニンテンドッグス日記では
メールで参加させてもらえたりして
とても楽しかったです。
連載も終わってそろそろ2ヶ月が経ちますが、
ちょっとおもしろいことがあって
報告したくてメールしました。
長文な上、個人的な他愛もない話なので
お暇な時にでも目を通してくださればうれしいです。
私のフレンドリストには
すれ違い回数20回という人がいます。
友達とか知り合いではなくて、
毎朝の通勤で偶然すれ違った見知らぬ人です。
はじめのすれ違いは6月のはじめごろ、
ほぼ日の影響で『ニンテンドッグス』を
はじめてすぐのことでした。
私はメッセージに「SayHello!」と入れてあり、
相手の人のメッセージは、
ふつうの挨拶のようなものだったと思います。
飼い主ポイントも同じくらいで、
すごく親しみがわきました。
すれ違ったのは停車中のバスの中だったので、
街中をたまたま歩いている人とすれちがったのか、
バスの中の人なのかも最初はわかりませんでした。
翌日も同じバスに乗ったのですが、
私の乗る停留所にバスがついた時にすれ違い反応があり、
そこではじめて
同じバスに乗っている人なんだと気付きました。
この日相手のメッセージを見てみると
「SayHello!」と文章が更新されてあり、
「ほぼ日読者の人だったんだ!」と
すごくうれしかったのを覚えています。
それから、休日を除いたほぼ毎日、
同じ人とすれ違い通信がありました。
メッセージも朝の挨拶から、
昨日もらったプレゼントのお礼などに発展しましたが、
相手の人は年齢と性別を表す
アイコンが未設定のままでした。
私はバスの中で、こっそり
どんな人なんだろうと探してみたりもしたのですが、
まったくわからない状況でした。
何回目かのすれ違いで相手の方が
「若い男性」のアイコンをつけてくれ、
(ちなみに私は「女性・OL風のアイコン」です)
なんとなくこの人かも?
という推理をしてみたりもしたのですが、
バスの中でニンテンドーDSを
広げているわけではないので、
ちょっとした心理戦のような体験をし、
おもしろかったです。
あと、年下なのか‥‥! と
妙な敗北感のようなものも味わいました(笑)。
私自身も、個人を特定されるのは恥ずかしくて、
バスの中で無謀にニンテンドーDSを
広げるのは控えていたのですが、
すれちがいが10回を超えたころ、
相手のメッセージに
「ちはるさん(私の名前)はっけん!」
のメッセージが!
いつ、どのタイミングで
わかってしまったのかはわかりませんが、
ひとまず翌日は
「これからもよろしく」
というようなメッセージを入れました。
でも、本当にビックリでした。
私を発見したというメッセージをもらった時、
実は相手の方が自分の外見的な特徴を
ちょっとだけ書いてくれていて、
相手の人が誰なのか
なんとなく絞り込めたような気がしてきました。
その数日後、帰りのバスで、偶然に
いつも朝すれ違う人と出会うというできごとがありました。
最寄りのバス停までの経路は基本的に一本なので、
ない話ではない、と思うのですが、
生活サイクルはバラバラのはずなのでびっくりでした!
バスに乗って随分たってから
すれちがい反応があるのに気が付いて、
相手のメッセージに
「このバス、
うしろ(私の乗っている辺り)暑いですよね」
というメッセージがあったことで
同じバスに乗ってることが判明、
そこから気分は刑事でした。
バス内を観察して、ここ数日でアタリをつけた人が
乗っていたのに気付いたので(背格好で確認)
これは、間違いないと思って、そこからもう脳内会議です。
知らないフリをするか、
何かしらアクションを起こすべきか。
脳内で
「変な人だと思われるから気付かないフリをしろ」派と、
「おいおい、今更シカトかよ。すでに面も割れてんのに、
ニンテンドーDSでしか会話できない
ヒキコモリかよ私は」派で大激論。
最寄りのバス停につくまでの20分以上悩み
結果、
・バスは、私の方が先に降りる。
・彼は、私より前方に座っている。
・何か声をかけるには、余りにも不自然かつ唐突。
そんな根性も自信もない
以上の点を踏まえた上で
「私もいい大人なんだから、挨拶くらいしよう」
ということで降りるとき、もしも目があったら、
手くらいは振ろう! ということに決めました。
そんなことを考えていたら、最寄りバス停に到着。
降りるとき‥‥チラッと様子を見たら‥‥目が合った!
手を振ったら向こうも笑顔で会釈だ!
そんな訳で、はじめの通信からひと月足らず、
相手を見つけることに成功しました!
友達にこの話をすると
「電車男的だ」と引かれてしまうのですが、
実際、できすぎた話だなーと思います。
ただ、そうやって挨拶が出来た後で、
その後その男の子と仲良くなれたかというとそうでもなく、
実はそれ以降、
同じバスに乗りあわせる回数が減ってしまって、
めっきり会わなくなってしまったのです。
同じバスに乗り合わせたときは、
毎朝手をふって挨拶は交わしていたのですが、
声をかけてもいいものか悩んでる間に、
会わなくなってしまいました。
なんとなくお互いを知ってしまったがために
微妙な遠慮や距離感が生まれてしまって、
避けられちゃったのかなーという気もします。
最近は私自身が遅刻防止に乗るバスを変えたこともあり、
たぶん今後、
関わりはなくなっちゃうかなー‥‥とも思います。
『ニンテンドッグス』をやり始めた時期も同じ頃で、
偶然に同じバスに乗り合わせて
(ちなみに後で気付いたことですが、バスを降りた後、
乗り換える地下鉄も一緒でした)、
ほぼ日をみていなかったら、
そしてニンテンドッグス日記を読んで
ゲームを始めていなければ、
たとえ毎朝同じバスに乗りあわせたとしても、
興味のない知らない人のままだったわけで。
それが、ほぼ日がきっかけで、
「知ってる人」になれたわけです。
相手をみつけられたのも、
バスという狭い空間だったおかげだし、
これが電車とか、街中だったりしたら
きっとお互い見つけることもできなかったと思います。
だからこそ、もっと仲良くなれたかもしれない
タイミングとかチャンスがあったはずなのに、
それを自分のつまんない遠慮や臆病風で
逸してしまったのは、ちょっとだけ淋しいです。
すれ違い通信の日々は、
なかなかスリリングで楽しかったなと思います。
長々とつまらない話に
お付きあいくださってありがとうございました。
時期的にニンテンドッグス日記の読者のすれ違い報告にも
この話を投稿できたのですが、
もしも、幸運に採用されてしまうと
二度恥ずかしい思いをすることになるやも、
とひっそり避けていました。
ただ、ニンテンドッグス日記のおかげで、
こんなおもしろい体験をした読者がいるよと、
お知らせしたかっただけなのです。
ホントに楽しいゲームを教えてくださって
ありがとうございました。
これからも、ほぼ日を楽しみにしていますので
お仕事頑張って下さい。
「たいしょう」の飼い主「ちはる」でした。 |
「ちはる」さん、ていねいなメールを
どうもありがとうございました。
素敵な「すれちがい」と「出会い」が
もっともっと広がっていくことをおいのりしています。
それでは。
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