「日本からのお客さん、 もっとじっくりお店を みてほしい!」
パリのガイドブックを書いたり、 コラムを書いたりのお仕事が多い ボクの飼い主、まりこちゃん。
雑貨屋さん、パン屋さん、レストランetc。 色々な種類のお店に取材に行って 店主とおしゃべりをしていると、 しょっちゅう話題になることがあるんだって。
それは 「どうして日本人は ガイドブックに紹介されているものにしか 興味がないの?」 ってことなんだって!
例えば、文房具屋さんの紹介記事で、 「フランス語が勉強できる レトロなデザインがかわいいディスク型のカード」
って紹介したら、そのページを開いて写真を指差して、 「これはありますか??」 って聞かれることが多いのだそう。
「たくさんのかわいいセレクトカードたちや オリジナルの文房具も豊富に♪」 って書いてあったとしても、 ページで大きく取り上げられている その商品そのもの! が欲しくて、 残念ながら売り切れていたりすると 他にもかわいいものがいっぱいあるのに、 あまり他のものは見ずに がっかりして帰ってしまう人も多いらしく 「どうしてなの? どうしてそのものがなかったら 見ずに帰ってしまうの??」 と悲しそうに聞かれて私も悲しくなったり‥‥。
たくさ~んのかわいいボタンやリボンがある 素敵な手芸屋さんで 「エッフェル塔のボタンもあります」 と写真つきで紹介すれば、 みんなが「エッフェル塔のボタン」を目指して ページを開いてやってきて、 売り切れてしまっていたら、 やっぱりがっかりして帰ってしまうのだそう。
お店の人たちはね、 クローズアップされているものはもちろんだけど、 それ以外にもたくさんたくさん素敵なものが ありますよ♪ って思っているから、 目的の商品がなかったからって 他のものに見向きもせずに 帰ってしまうパターンが多いのは、 どうしてなのかしら?? って、日本人を接客するたびに (日本人のみに限らず アジア人全般の特徴みたい) ものすごく不思議に感じることの ひとつなんだって。
日本のガイドブックって、 カラー写真がいっぱい (というかほとんどカラー)で、 親切で丁寧な作りで、 たくさんのことを指南してくれて、 「おすすめのおみやげ」なんて 詳しく紹介するページなどが多いですよね?!
ガイドブックを作る側としても、 もちろん「これぞ!」というものを おすすめして紹介してはいるものの、 ページスペースの関係で掲載できないもの、 大きく紹介できなかったものがあったり、 同じものが重ならないようになど 他の店舗との関係でバランスをとって、 いくつかの中から商品を選ぶので 紹介できていないものがあったりなどなど‥‥ 泣く泣く諦めて、 カットされる写真もたくさんなので お店の人がおっしゃる通り、 「紹介しているもの以外も じっくり見て欲しい~!」 「それ以外にも食べてみてほしい~!」 と思っていたりします。
レストランのメニューも雑貨も、 シーズンごとに変わったりするし、 ず~っと変わらぬ同じものもあるし 紹介する方も、 ガイドを頼ってお買い物する方も 難しいよね‥‥。
フランスで販売されているガイドブックって、 日本のみたいに、あんなに丁寧に 「何々がおすすめ!」 「パリのおすすめのおみやげ!」とか 写真と値段がひとつひとつ カラーで紹介されているページなんて 絶対にないからさ、 「日本のガイドブックはなんて素敵なの!!」 と褒められつつ 「どうして日本人はガイドブックに 載っているものにしか興味がないの?!」 と残念がられたりするんだよね。
もしガイドブックを片手に、 お目当てのものを探しに行くことがあったら、 紹介されている、そのお店の「ザ!」な おすすめ商品以外にも、 じっくりお店を見てまわってあげてね!
※この連載を再編集し、 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。 こちらをぜひご覧ください!
2016-03-29-TUE