バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
2003年、フランスに単身で渡り、 現在はパリを拠点にヘアメイク&フォトエッセイストとして 活躍しているとのまりこさんが、 愛犬のバブーくん(アイルランド出身)を相棒に、 パリ暮らしのちょっとびっくりな出来事や、 へぇ〜っと感心する習慣などなど(*)をお届けします。 *もちろんすべてのフランス人やフランス全土に共通しないこともあります。 週に1回、でも気まぐれにもっと更新するかも? すてきな写真とともに、おたのしみください。 Amusez-vous bien!

 
とのまりこさんと バブーくんのプロフィール
 




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「常識が違うって
大変?!」

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「常識が違うって大変?!」

バブー

みなさんボンジュ〜ル。
ボクたち約3週間日本を満喫して、
今週から再びパリだよ。
パリは2週間のスキーバカンスが終わって
昨日の月曜日から学校が始まったよ。

今回のバカンス、フランスからやってきた
友人フランス人ファミリー4人と
(パパとママと13歳のティーンエイジャーの
男の子と7歳の女の子)
10日間くらい一緒に過ごして、
日本をご案内していっぱい楽しんでもらったよ。

とのまりこ
元々、食べることが大好きで
パリで流行っている日本食もなんでも大好き。
ポケモンやキティちゃんなどの
日本のキャラクターも大好きで
ジブリの映画も見たことあって大好き。
だから日本に好意や興味は持っている。
というファミリーではあるけれど、
オタクと言えるほど漫画や何かキャラクターが
好きだったりするわけではないし、
実際の日本のことはほとんど何も知らない。
たまたま学校の同じクラスに日本人がいて、
日本がとても身近になったので
旅行先に日本を選んでくれたという
ごくごく一般的なフランス人ファミリーでした。


▲今回の滞在で雪の京都も体験することができたので、皆さんに写真をおすそ分けします♪

バブー
ボクたち日本人が友人にいることもあり、
日仏の文化の違いや常識の違いについても
とても興味を持って知ろう・理解しようと
してくれるし、
「フランスでは当たり前でも、
日本的にアウトなことがあったらぜひ教えてね。」
などなど、日本をリスペクトしながら
過ごしてくれたのだけど、
やっぱり難しいな〜って感じてしまうことも
いっぱいあったよ。

とのまりこ
その一つが靴文化の違いによる清潔概念の違い。
日本は家の中で靴を脱いで生活し、
学校に行っても校内では上履きをはくなど
外で履いている靴は汚いものという扱いで
過ごしていますよね。

一方フランスは靴のままの文化の国。
最近は、家の中用の靴を履いたり、
2階に上がる時は靴を脱ぐというルールがある、
という家庭などもありますが、
基本的に家の中も靴のままの生活スタイル。
サロンも寝室も台所も靴のままなんて、
もうほんと〜に私的には耐えられないのですが(笑)、
(しかもあんなに街がゴミだらけで、
唾やおしっこやいろんなものが落ちていて、
きったない場所で過ごしているのに!)
フランスは靴をはいたままの文化の国。

そんな国からやってきた彼らにとっては、
「またここでも靴を脱ぐの?!」
(旅館に入る時、居酒屋の座敷に上がる時etc.)
というシチュエーションが多く、
とても驚いていました。


▲パリのメトロ、こういう通路を歩いていてもくっちゃい! ので
日本の電車の中やホームや通路が何の匂いもしなくて綺麗と言うだけで、息子も大感激。

バブー
フランスではね、みんな靴のまま、
メトロやバスの椅子の上に足を乗せちゃったり、
なども日々何度も見かける当たり前の光景。
だから日本いても靴のまま
椅子の上に足をあげて膝を抱えて座ったり、
というシーンが多くて、しょっちゅう
「それ、日本では絶対ダメだから!」
って注意していたよ。

あとは例えば、
子どもが電車の外の景色を見たくて
窓の方を向いて後ろ向きに座ったりするじゃない?
あんな時も当然「靴を脱ぐ」なんて発想がないから、
靴をはいたまま後ろ向きに座ったりして
何度も隣の人たちに
じろって睨まれることがあったよ。
「靴。脱がなくちゃダメだよ!」
って注意しても、
「なんで?」
って聞かれたりして、いちいち説明。
お隣の人が靴が当たるかもしれないのを嫌がる
ということも、いまいちピンとこないくらいの
靴はいたまま生活文化から来ている人には
「なぜ?」と思ってしまう注意点のようだよ。
当たり前・常識が違うって
こういうことだよねって思いながら
あらためて色々考えたよ。


▲パリのメトロ。こんなふうに日本のような吊り革とかは全くありません。
だから、フランス人が日本の電車に乗ると、
体操競技のような吊り革が大量にぶら下がっているので、
思わず触ってしまう気持ちもわかる!

とのまりこ
最近は、日本にとにかく外国人が増えて
オーバーツーリズムで。
だから今までに起こらなかった問題も起きて。
なんてニュースばかりですよね??
「外国人」というときに、
どこの国の人たちを差しているのかにもよって
その常識が通じない具合も違うと思いますが、
今回、日本のことを理解して、
迷惑かからないようにしようと意識してくれている
フランス人たちですら、
「ちょっとそれはまずいって。」
「もうちょっとこうしてくれないかな。」
と思うことが毎日たくさん起こったので、
当たり前が違うってとっても大変なことだわ!
と実感したのでした。

バブー
最近よく、電車の中でふざけたり
吊り革を使って遊んだりする外国人たちを
「けしからん! 迷惑行為だ!」
ってSNSで炎上したりするのを見かけるよね?
あれもボクたち日本人から見たら、
「けしからん!」となるのはごもっとも!

だけど一方、
外国人側からの気持ち(?!)を考えると、
「ああ、そうだよね。
だからやっちゃうんだよね。」
ってことも見えてきたりするんだ。

今回ボクたちが一緒にいた
フランス人ファミリーも、
初めて電車に乗った日。
フランスとは違い、みんなが整列乗車をして、
人を押しのけて我先にと乗ったりしないこと、
そして電車が静かで綺麗なことに大感動して、
そして予想通り(?!)吊り革にぶら下がったりして
はしゃいで喜んでいたよ。

とのまりこ
初めてやってきた国で、自分たちの住む国とは
全く違う光景・景色に感激して興奮している上に、
パリの電車にはないたくさんブラブラしている
吊り革で楽しくなってしまい、
ついつい手をのばしぶら下がっちゃうのです‥‥。
たぶん。

ず〜っと前に、このコラムで、
『パリのメトロには
日本みたいな吊り革とか広告がない』

なんてことを書いたことがありますが、
(つかまるところはほんの少ししかない上に、
めっちゃ高い位置で
背の低い日本人には届かない高さ。)
そんな国からやってきた彼らにとっては
大量にブラブラぶら下がっている吊り革は
遊び道具に見えてしまうというか、
手を伸ばして試さずにはいられないもの
なんだと思われます。

しかも小さな子どもでも
ジャンプすれば届く高さにある
日本の吊り革は、子どもにとっては公園の遊具⁈
と同じような感覚なんだろうなあ‥‥
と思ったのでした。

バブー
だからといって公共の電車の中で
吊り革で遊んだりちょっとぶら下がってみたりが
正しくないことであるのはもちろんなのだけど、
よく外国人観光客のそんな姿が炎上している裏には、
そもそも吊り革自体が珍しくて
つい手を伸ばさずにはいられない
という裏の事情もあるのかな、なんて
今回は色々なことを考えたよ。

ちなみにもう一つ、今回理解してもらうのに
苦労したことで予想もしていなかったこと。
それがその辺りに駐車してある車を
触ったり、よっかかったりしないでね。
ということ。

フランスでは見かけない車を
「可愛い! ほしい!」
と近づいて記念撮影をしたりなどがあるたびに、
「絶対に触っちゃダメだよ!
よっかかっちゃダメだよ!」
って言っても
「なんで? 
何がいけないの? 
なんで触っちゃダメなの?」
という反応しか返ってこないよ(汗)。

車なんて前も後ろもガンガン当てながら
縦列駐車するのが当たり前な国
(こちらも以前のコラムを読んでね!)
から来ている人たちにとって
理解不能な話になるんだ。

だから日本人がいかに車を綺麗に使っていて
見えないくらいの小さな傷とかも気にして、
とても神経質なのだという説明を聞いて
やっと理解してくれたのでした。

あ〜、当たり前・常識が違うって大変だよね。
みなさんも、ボクたち日本人からすると、
ちょっと迷惑だなあと思う
外国人の行動を見かけたら、
一体どんな当たり前が違うから、
そうしちゃうんだろうなんて考えてみたりしても
面白いかもしれないよ??
(面白くないって?!そこはまあまあ‥‥。)

それでは今週も、素敵な1週間を!

 

 

 

 

 

 

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「シンプルシックで心地よい暮らし
パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」
出版社 : 世界文化社
発売日 : 2021/5/29

 

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

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