バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
2003年、フランスに単身で渡り、 現在はパリを拠点にヘアメイク&フォトエッセイストとして 活躍しているとのまりこさんが、 愛犬のバブーくん(アイルランド出身)を相棒に、 パリ暮らしのちょっとびっくりな出来事や、 へぇ〜っと感心する習慣などなど(*)をお届けします。 *もちろんすべてのフランス人やフランス全土に共通しないこともあります。 週に1回、でも気まぐれにもっと更新するかも? すてきな写真とともに、おたのしみください。 Amusez-vous bien!

 
とのまりこさんと バブーくんのプロフィール
 


   

7 2 5

見た目は炭、中身は天使の
チーズケーキ?!

7 2 5

見た目は炭、中身は天使の
チーズケーキ?!

バブー

みなさんボンジュ~ル。
今日はフランスのご当地お菓子の中でも
初めてみた人がびっくりする度が高い
面白い見た目のお菓子を紹介するよ!
 
その名も
『Tourteau Fromager』!
(トゥルトー・フロマジェ)

 

ドキッとする見た目のこちら。
カットしようとしている真っ黒焦げの正体は、
フランスの地方の名物ご当地菓子なのです。

 

とのまりこ
フランス西部の
ポワトゥー・シャラント地方の
名物チーズケーキなのですが、
見た目がかなり衝撃的。
 
ドーム型にぷっくり膨らんだ表面が、
炭のように真っ黒焦げなのです。
ところがナイフを入れると、
中身は信じられないほど白くて、
ふわふわ・しっとりのスフレのような食感。

 

ドーム型の表面は真っ黒焦げですが、
切ってみると中はふわっふわの白いチーズケーキ。

 

バブー
見た目と中身のギャップが最高!!
開けてどうして表面が
こんな真っ黒焦げなんだろうね?

 

とのまりこ
実はこれ、「失敗」から生まれた
名物お菓子なのです。
昔、ポワトゥー地方の農家の女性が
薪のオーブンでチーズケーキを焼いて、
すっかり忘れてしまい‥‥。
取り出してみたら、表面が真っ黒焦げに。
 
「やっちゃった‥‥」とガッカリしながら
恐る恐る中身を食べてみたら、
信じられないほどふっくら、しっとりと、
完璧に出来上がっていたというのです。
失敗が大発明になったという
『タルト・タタン』みたい!

 

トゥルトーケーキという名の名物地方チーズケーキ。
かわいくない見た目で?! 知らなかったら
おそらく素通りしている人も多いと思いますが、
パリのスーパーやチーズ屋さんにも必ず並んでいる
実は有名なケーキなのです。
このケーキの歴史が袋の裏に書いてあります。

 

バブー
この真っ黒な焦げ目、
実は科学的にも重要な役割を
しているんだって。
 
焦げた外側が「天然の蓋」の役割をして
強い熱から中の水分を守って、
蒸し焼き状態にすることで、
ふわっふわでしっとりな食感を
中に閉じ込めているんだって。
失敗かと思ったら、
完璧な技術になっていたんだね♪

とのまりこ
使われているチーズは、
一般的なクリームチーズではなくて、
山羊のフレッシュチーズ。
これが甘さの中に
ほんのりとした爽やかな酸味と、
山羊乳特有のやさしいコクを
生み出しているのだそう。
 
真っ黒焦げの焦げ目は
かなり苦そうに見えますが、
不思議なことにこれがほとんど苦くなく。
薄皮の焦げ目は香ばしくて、
中の爽やかな甘さの
コントラストが絶妙なのです。
 
ちなみに焦げ目はそのまま
全部いただく派と、
ちょっと剥がして食べる派と、
好みが分かれるそうです。
(私は常に全部いただいています)

 

この地方出身の友達が、現地の美味しいものを
買ってきてくれました。
味が確かな新鮮なものは耳の近くで手でぎゅっと握ると
「シュワッシュワ」「キュッキュッ」というような
みずみずしい音が聞こえます。

 

バブー
もともとは、山羊のミルクや卵、小麦粉が
春の訪れとともに手に入る貴重なものだった
フランスの昔の農村で、
イースターや結婚式などの
特別なお祝いの時だけ作られる
高級なお菓子だったんだって。
 
今では地元のマルシェやスーパー、
パン屋さんやチーズ屋さんに
日常的に並んでいる日常の味になっているよ。
 
パリのスーパーやチーズ屋でも
かなりの割合で見つけられるよ!
 

とのまりこ
地元では冷えた白ワインや
甘口のリキュールと一緒に、
食前のアペリティフとして楽しんだりもするそう。
 
日本で流行っていたのは
『バスクチーズケーキ』ですが、
あれも表面が割と焦げめなイメージですよね。
『バスクチーズケーキ』が生まれたのは
1990年代のこと。
 
一方この真っ黒焦げチーズケーキ
『トゥルトー・フロマジェ』が生まれたのは、
なんと19世紀!
『バスクチーズケーキ』よりも
はるかに歴史が古い
「元祖・焦がしチーズケーキ」
と言ってもいいのではないでしょうか。

 

 

バブー
見た目は真っ黒で可愛げもなくて
ちょっと怖いけれど、
中身は天使みたいに白くてふわふわだよ。
 
美味しい新鮮なものほど、
耳に近づけて手でギュッとすると
「キュッキュ」というか「ジュワッ」というか、
中のしっとりの水分が鳴る音がするんだよ!
スーパーとかで売っている新鮮ではない
工業製品はこの音がしないんだ
(ふわふわしていて美味しいんだけどね。
しっとりしたみずみずしい感じに欠けるよ)。
 
フランスのご当地お菓子って、
きっとまだまだ知らないものがたくさんあるね。
真っ黒焦げで見た目が可愛くはないから
見かけても素通りしている人が多いと思われる、
この焦げこげチーズケーキ、
見かけたらぜひ食べてみてね!
それではみなさん、
今週もステキな1週間を。

 

冬のコートを着ていたままだったパリは、
先週急に猛暑に!
例年よりも13度も高い34度などの気温で、
クーラーもなく苦しく暑い毎日だったよ。

 

 

 

 

*とのまりこさんの本*


「シンプルシックで心地よい暮らし
パリの小さなアパルトマンで楽しむおうち時間」
出版社 : 世界文化社
発売日 : 2021/5/29

 

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

フランス雑貨のお店オープンしました。
バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

「Boîte」(ぼわっと)
東京都杉並区西荻北4丁目5−24
【地図】 【駅からの道順はこちら】

2026-06-02-TUE

まえへ
トップへ

       

          

 

680
モロッコ番外編。
超本格的な
披露宴に
ガッツリ参加?!