バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「ノートルダム大聖堂はいま
どうなっている?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「ノートルダム大聖堂はいまどうなっている?!」

バブー

今年の4月に火災に見舞われた
パリのノートルダム大聖堂。

その後どうなっているのですか?
という質問をよく受けるのだけど、
ノートルダム大聖堂の周りは
正面の大きな広場も含め
全て立ち入り禁止で覆われていて
中の様子はうかがうことができないんだ。


すっかり覆われて近寄れないようになっているノートルダム大聖堂。

とのまりこ

焼けてしまった部分が
木材などで補強されているところは
外からも見ることができるのですが
一体何年先に
再びあのノートルダム大聖堂に
入ることができるのか、
全くわからない状況です。


▲焼け落ちてしまった真ん中から後ろの屋根にかけては
木材を使って支えが作られているのが見える。

焼け落ちた屋根に使われていたという
数百トンの鉛が溶けて
その粒子が周辺地域に飛び散り、
住人や修復工事で働く作業員たちの
健康に危険が及ぶ恐れがある、
と言われていたのですが、
実際7月には、作業員たちが
危険な量の鉛にさらされないようにと、
3週間修復作業が中断していたりもしました。

実はその直前には
夏休み中、学童のようなもののために
使われていた近隣の小学校や保育所からも
高濃度の鉛が検出されて、
除染作業のため、
急遽閉鎖されたりもしたのです。

バブー
夏休み、日本から来た
観光客の人達を案内して、
ノートルダム大聖堂の周りを散歩してるよ、

なんて話をフランス人の友達にしたら、
「なんでそんなところ歩くんだ!
鉛が特に子供には悪いから、
一刻も早く体中をシャワーでよく洗え!
しばらくその辺には近づかないほうがいい。」

と言われ、
わりと大げさだなあ‥‥、
なんて思っていたのだけど。

目に見えないけれど、
鉛問題はとても深刻なことだったみたい。

とのまりこ
今年の9月、フランスでは
新しい学年が始まる、新学期の月。

我が家のプチモンスターが通う
保育園のお友達が幼稚園に入ったのですが、

※注釈
ちなみに、フランスでは
「幼稚園」と「保育園」の区別が
日本とはちょっと違い、
幼稚園に入るまで通うのが「保育園」。
3歳になる年から通うのが「幼稚園」。
となるので、同じ保育園に通っていた
友人が、保育園を卒業して
幼稚園に入学、ということになるのです。

幼稚園が始まったはずなのに、
なぜか毎日保育園にいて、
一体保育園はどうしたの??
と聞くと、
なんと、校舎の内外で
基準を大幅に上回る
鉛汚染があることがわかり、
新学期直前に除染作業が終わるまで
学校が閉鎖されるお知らせが
来たのだとか。


▲ノートルダム周辺の区ではないのに鉛汚染が出てきてしまった
学校問題を受けての区長からのお手紙。

その学校はノートルダムがある
周辺の区ではなく、
かなり距離が離れていたものの
そんなところまで
鉛が飛んできてしまっていると
その後他の学校などでも調査がされ、
除染作業の間学校が閉鎖されたり、
区から説明会があったりと
いろいろいろいろ、修復作業以外にも
問題があったようです。


▲9月開始直前に急遽新学期の初日登校日の延期が決まった学校の調査報告。
基準を大きく上回る数字だったのが除染後は大丈夫になりましたという報告。

バブー
4月に火事になったものの鉛問題が
数ヶ月もたった9月になって
こういう形でまだ出てくるんだものね‥‥。

ボクたちが住んでいるそのお隣の区は
特に調査はなかったみたいんだけど、
そんな遠くの建物の内部まで
数値が高くなっているのだから、
公園の砂場とか大丈夫なのかなあ‥‥。
と、ちょっと心配になったりしてるんだ。

学校だけではなく、
公園や公共の場所なども
ノートルダム周辺の区は
鉛汚染の数値と除染作業後の数値が
全てパリ市のサイトに掲載されていたり、
心配な人(特に子供)は
保健所で数値を調べてもらえたり
するみたいだよ。


▲工事の様子を見る人々。

修復工事という目に見えるものから、
汚染という目に見えないものまで、
何もかもが元どおりに戻って、
また世界中から観光客が訪れる
パリいちばんの観光スポットの姿が
見られる日が早くきますように‥‥。

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

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2019-11-19-TUE

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illustration:Jérôme Cointre