「テーブルマナーは、 ネコ通過で?!」
フランスってね、「てきと〜!!」って 思ってしまう場面が ちょこちょこあるのだけど、 (『テキトー』なんて言い方ごめんなさいね! でもそれは、日本人の、時にまじめすぎる 常識から見た話でね。 逆に外国の方からは、ボクたちの方が、 「まじめすぎてちょっとこわい」とか 「まじめすぎて窮屈でかわいそう〜」って 思われていることも多いと思うんだけどさ。) 意外にも「テキトー」どころか、 ものすごくちゃんとしているなって思う フランスの一面のひとつ。 それが子どものテーブルマナーに関してだよ。
▲ビストロやレストランでご飯をいただくことも多いフランス。 いい子にできなかったらお店の人にも周りのお客様にも白い目でみられて すぐに注意されちゃうことも‥‥。
食事の時のマナーに関しては、 フランスって びっくりするほど厳しい家庭が多い!
これは今まで20年近くフランスで暮らしてきて、 子どもを持つフランス人家庭に しょっちゅう遊びに行き、 しつけの仕方を見るたびに 感じていたことです。
しかし、自分が実際に 子どもをフランスで育てる1人となり、 今まで以上に子育てに関する事柄を 当事者として見るようになってから、 よけいに強く感じています。
だからこそ、素敵なレストランで 大人顔負けのお行儀とおとなしさで ご飯を食べる子どもを見かけたり、 (もしそれができないとしたら、 子どもは置いていかれるのが当たり前。 子どもだからしょうがないよね、 は通用しません) 結婚式などのパーティーでも 場慣れしている子どもが 多かったりするのだなと 納得する感じなのです。
▲背筋をピンとして、テーブルとお腹の間にも背もたれと背中の間にも隙間があるのが正解! パパがテーブルマナーにとても厳しいという息子のお友達、 ちゃんとマナーができている♪
「姿勢良く食べる」 「ひじをテーブルにつかない」 「両手をテーブルの上に出す」 なんて注意されることは 日本と変わらないけどね。
その「姿勢」に関するしつけが 思った以上に厳しいよ。 背もたれにも寄りかかっちゃいけないんだって。
大人顔負けのテーブルマナーに対するしつけ。 でもね、この時の表現がちょっとかわいいんだ。
「テーブルとお腹の間、 背中と椅子の背もたれの間に ネコが通り抜けることができる隙間を あけなさい」 って注意されるんだよ♪
▲家に人を招いてのパーティーでも、ついつい順番もメニューも 子ども優先で全てを考えてしまう日本人家庭。 一方であくまでも大人優先のことが多いなと思うことが多いフランス人家庭。 食事に関するマナーの違いも面白い!
大人だって、リラックスして ついつい背もたれに寄りかかったりするのに、 「ネコが通り過ぎる隙間がないっ!」 って子どもが怒られるのを横目に、 慌てて自分も姿勢をただしてみたり‥‥汗。
でも怒られているのに、 「ネコ♪」 って、背筋をピンと伸ばして座っている 自分のお腹の前と背中の後ろを ネコが通り過ぎているシーンが浮かんで、 なんとなく毎回「うふふ」と思ってます。
▲テーブルマナーに厳しいフランスの家庭に触れるたびにドキッとしている我が家‥‥。 まずは注意する大人自身がマナーが抜群にいい人にならなければと反省しています‥‥。
もちろんこのテーブルマナーの 厳しさの度合いは、家庭によるよ。 でもね、おしなべて、 フランスのしつけの中でも テーブルマナーは とっても厳しい家が多い気がするよ。
実際、子どもがその通りにきちんとできるか できないかは、難しい問題ではあるんだけどさ。 でもこうやって厳しく繰り返すことで、 フォークとナイフを使って スマートに食事をいただく大人が 出来上がるんだなあって 納得したりしているよ。
しかも 「背筋をピンと伸ばしなさい!」 って怒られるより、 「ネコが通れるように!」 って怒られたらちょっとユーモアがあって 楽しいよね?! よかったらみなさんも 「ネコ通過」マナー講座、 使ってみてね♪
▲初代バブーです。ボクはレストランでお行儀がいいねって、いつもほめられてたんだ♪
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2022-06-28-TUE