「ついに来た 『鴨の寒さ』?!」
今年は10月11月とわりと暖かかったパリだけど、 ここ数日一気に気温がぐんと下がって 本格的な冬がやってきたよ。 今週から来週にかけて、天気予報の温度は 全部一桁続き。 最低気温が0度とかマイナス1度なんていう 数字も出てきて、もしかしたら雪が降るかもね?!
▲一気に真冬の寒さがやってきたパリ。 コートの前を合わせて縮こまるようにして足早に歩く人が多い季節になりました。
さて、そんな寒〜い季節になると思い出す フランス語の冬の表現。 『Il fait un froid de Canard.』 (イル・フェ・アン・フロワ・ドゥ・カナール) =『鴨の寒さだね』 というのがあります。
『肌を指すような寒さ、ひっどい寒さ』 という表現で使われます。
▲『鴨の寒さ』の鴨さん。肉屋にももちろん牛や豚や羊と共に並びます。
これはね、秋冬に始まる鴨狩りの様子から できた表現なんだって。
一気に気温が下がる季節に始まる鴨狩り。 そして鴨をとるには寒さが一段と深まる 夜明け前や黄昏時に 長い時間待たなくてはいけないから。 そしてあまりにも寒くなると湖などの水面も 凍ってしまって鴨自体も凍りつく寒さだから という意味もあるんだって。
▲フランスの伝統的な代表鴨料理『鴨のコンフィ』。 オイル漬けになった肉を焼き、皮はパリパリに中の肉はホロホロ崩れるほどジューシーで柔らかくて絶品。
▲パリのビストロの超定番の鴨料理。 お店によって焼き方なども違うので自分好みの『鴨のコンフィ』を探すのも楽しみのひとつ。
鴨には直接寒さを表す動物というイメージは ありませんが、 日本人の私たちにとって、 『鴨』といえば『ネギ』、 『ネギ』といえば『鍋』、 『鍋』といえば『寒い冬』、 なんていう連想ゲームで、 なんとなく『鴨』=『寒い』に結びつけるのは イメージしやすいような気がして 割と覚えやすいなあと思った表現です。
鴨肉。 フランスに来るまでは あまり食べる機会もなかったのですが (鴨と言って思いつくのは『鴨南蛮そば』くらい? そしてなんだかパサパサしてて硬いイメージでした) フランスに来てから 超定番のビストロ料理だということ、 そしてジューシーで柔らかくて 美味しいことを知りました。
▲日本にもある冷凍食品スーパー「Picard」(ピカール)で売っている『鴨のコンフィ』と 付け合わせの『じゃがいも』。 (通常、オイル漬けにしたときのオイルとニンニクパセリで炒めたじゃがいもと一緒にいただきます。) もし入荷しているのを見かけたらぜひお試しを! の美味しさです 。
フランスで最も定番な鴨料理はね、 『鴨のコンフィ』 (オイル漬けされた鴨肉を焼いた、 ホロホロにくずれる ジューシーで美味しい料理) 『鴨のマグレ』 (フォアグラをとった後の鴨の胸肉を焼いた、 柔らかくてジューシーな料理)。
フランスに来る機会があったら、 ぜひぜひジューシーで柔らかい鴨肉の伝統料理を 試してみてね!
▲これは『鴨のマグレ』用のお肉。 スーパーでも肉屋でもどこでも売っている定番。 脂がついている側からじっくり焼いて中はかなりレアの状態でいただきます。 フレンチではオレンジソースなどちょっと甘いソースをかけることが多いけれど、 私は柚子胡椒などでいただくのが個人的に好き。
さて、『鴨の寒さ』に負けず、 今週も素敵な1週間を過ごしましょう♪
▲『鴨の寒さ』でも元気いっぱいのパリのマルシェ。美味しいものを食べて心も体もポカポカに。
▲こちら1代目バブーと雪の日。 さて、気温がぐんぐん下がってきたパリ。 『鴨の寒さ』でこの冬初の雪が降る日がそろそろやってくるのかな?
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2023-11-28-TUE