バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「お別れの挨拶が、
 あたたかい?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「お別れの挨拶が、
 あたたかい?!」

バブー

フランスではね、
お店に入る時も出る時も、
モノを買う時も、
ドアを押さえてもらった時も、
エレベーターで誰かに遭遇した時も。

「Bonjour」(ボンジュール=こんにちは)
「Merci」(メルシー=ありがとう)
「Au revoir」(オヴォワー=さようなら)

などなど、必ず相手の目をみて
知らない人とでも言葉をかわすってことを
今まで何度か話題にしてきたけれど。

もうひとつ、
かなり頻繁に付け加えられる言葉があるんだ。

とのまりこ

それが、

「Bonne journée.」 (ボン・ジョルネ)
  =「よい(素敵な)1日を。」
「Bonne Soirée.」 (ボン・ソワレ)
  =「よい(素敵な)夜を。」
「Bon week-end.」(ボン・ウィーケン)
  =「よい(素敵な)週末を。」

など
「よい(素敵な)◯◯を〜!」シリーズ。

上記に挙げた他にも
「よい日曜日を。」
「よいバカンスを。」
「よい午後を。」
「よいパーティーを。」
などなど色々なパターンがあります。

「よいよいよいよい‥‥」書いてたら
なんだか変な感じに
なってきてしまいましたが。

バブー
日本語ではあんまり
「どうぞ素敵な1日を。」
なんて日常的に口に出して使わないよね。

でも、フランス語では
「こんにちは」「ありがとう」
と同じくらい頻繁に
口にするフレーズなんだ。

これに
「あなたも!(どうぞよい1日を)」
とお返しする感じで
「さようなら」に加えて
言葉がかわされるよ。

とのまりこ
日本語で考えてみると
あまり頻繁に使うことのないこのフレーズ。
すごくあったかみのある言葉のような気がして
なんだかいいな〜。
と、使うたびに思うんです。

買い物をして店を出る時。
受付で何かの手続きをしてもらって去る時。
郵便局で荷物を受け取った時。
電話を切る時。

このフレーズひとつで、
赤の他人との去り際が
ブチっと切れるのではなく
「ぽっ」と何かあったかいものが灯って
静かに消えるみたいなイメージかしら?

これは日本語で生まれ育った
日本人だから感じることなのかもな。
フランス人にしたら
お決まりフレーズすぎて
何も感じないのかもな〜。

なんて思いつつ、
このフレーズを言い合って
ニコッとしあう場面を考えたら、
お決まりだってやっぱり何か
あったかいものが
ビビビと通いあってると思うのです。

(まあ、もちろん
この「パリこれ!」でも再三登場するように、
信じられないひどいサービス対応
なんてのも多い国なので、
必ずしも100%の場面でではないですが‥‥!)

すごく素敵な言葉たちだな〜。
と、しょっちゅう感じるやりとりなのです。

バブー
デパートや駅ビルのエレベーターの中で。
コンビニで。薬局で。ファミレスでetc‥‥

ボタンを押しておいてもらったら、
商品を受け取ったら、
「ありがとうございます」

ごはん屋さんを出る時には
「ごちそうさまでした〜」

なんて。
無言で目も合わさずじゃなくて、
もっともっと
赤の他人と言葉をかわすことが
増えればいいのにな〜
なんて日本に帰るたびに思ったりしてさ。

フランスでの日常のこんなやりとりが
とっても素敵に感じるんだ!

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!

フランス雑貨のお店オープンしました。
バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

「Boîte」(ぼわっと)
東京都杉並区西荻北4丁目5−24
【地図】 【駅からの道順はこちら】

 

2017-01-31-TUE


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illustration:Jérôme Cointre