バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「褒められたら、
さらに自慢する?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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褒められたら、
さらに自慢する?!

バブー

「まあ、可愛いお子さんですね〜。
あら〜、ちゃんとバイバイもできるの!
なんておりこうさん♪」

「うわ〜ご主人、料理もできて
お掃除が大好きなんてステキすぎでしょ。
いいご主人で最高じゃな〜い!」

なんて言われた時、
みなさんならなんと返事をしますか?!

「いやいや、そんなことないですよ。
もうやんちゃすぎて余計なことばっかりで、
毎日大変ですよ‥‥。」

「全然ですよ〜。
料理って言っても大したもの作らないし
ごくごくたまにですからね‥‥。」

とのまりこ

日本語会話でのやり取りを考えると、
なんとなく上記のような感じが多いでしょうか?!

いえいえ、そんなことはないですよ。
って遠慮気味に謙遜する表現。
謙譲語がある日本の文化ならではの会話。

ところがフランス人と
会話する時の自分を
思い出してみると‥‥。

「うわ〜。ありがとうございます♪
よかったね〜。いいこって褒められたね。
えらいえらい。
ありがとうって言いましょうね〜。」

「ありがとうございます。
そうなんですよ。
料理も掃除も大好きでしてくれるから、
毎日一緒にやってもらって助かってるんです。」

などなど。
褒められたことを否定せず、
「ありがとう」と感謝の気持ちを
素直に表す会話になるのが普通なのです。

私なんて中身は日本人なので、
自分の旦那様を褒められたとして、
前述の表現くらいがもう精一杯ですが、
これ、フランス人だったら

「そうなのよ〜。
ね、私のスイートハート。チュー♪♪♪」
なんて目の前でイチャイチャ
チューチューして相手を褒め合う感じになります。

バブー
「あらま〜。
なんてかわいいイヌかしら。
なんておりこうさんなんでしょう。
賢いわ〜。」

なんて散歩中の飼いイヌが褒められたものなら、
「そうでしょ〜!
うちのかわい子ちゃん、
ほんっとに賢くておりこうなんですよ♪」
って堂々と肯定して
さらにもっと自慢しちゃうんだよね♪

とのまりこ
「謙遜」という表現がある
日本独特の文化と背景があるからこその違い。
それがあるからこそ、
相手を思いやる日本人の
「おもいやり」や「おくゆかしさ」
のようなものが生まれるのですが、
褒められたことをストレートに喜び、
感謝の気持ちを伝え、
時には嬉しくなってもっともっと自慢しちゃう
フランス流な受け答えもステキだな。

そしてその場に一緒にいる子供やパートナーも、
例えそれが「謙遜」という背景からだとしても、
目の前でせっかく褒められたことを
否定されてもっと悪いことを言われてしまうよりは
素直に褒められて喜んでいる姿を見る方が
ハッピーな気持ちになるんじゃないかなあ‥‥
なんて考えたり。

だから私は最近は
「謙遜」文化が土台にある日本人的に
できる範囲でですが、
誰かに褒められたら素直に受け止めて、
あんまり強く否定したりせず、
「ありがとうございます」
の気持ちをまず伝えるように
意識するようになりました。

バブー
特に「謙遜」文化のない場所では、
日本独特の遠慮がちな表現は
理解してもらえないことが多いから、
あまりへりくだり過ぎず、
素直に「ありがとう!」って伝えられると
きっとスマートな会話が生まれるはず?!

フランスでは(フランスに限らずだけど)
日本人は思った以上に
「図々しく」
なってちょうどいいくらいなんだよ!

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!

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バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

「Boîte」(ぼわっと)
東京都杉並区西荻北4丁目5−24
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2018-12-25-TUE

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illustration:Jérôme Cointre