先週の「パリこれ！」、
おフランスの荷物事件簿の荷物だけど、
一応その後無事に届いたよ。
何を持って「無事」というのかが
大きな論点となるところだけど‥‥。

「予定の到着日を大幅に1週間遅れ」
「届かぬ荷物を届けてもらうのに
　すったもんだし」
「大量の重い荷物を
　家の前までお届けするのは面倒だから
　客に下まで取りに来いという
　いつもどおりのパターン」
があったうえで、
最終的にボクのアパートの玄関を
荷物がくぐったっていう「無事」ね♪

さて、そんな荷物事件簿のおかげで
日本出発ギリギリまでバタバタしながら
我が家は年末年始をすごす日本に到着しました。
今日はパリを飛び立って、東京に降り立つ。
その24時間の間にパリと東京で乗った
２台のタクシーのお話を‥‥。

パリ出発の日。
予約してあった空港までの定額タクシー。
予約時間になると
運転手のムッシューからお電話。

「とにかく道がすっごい混んでいるんだよ。
　だから少し遅れるよ。
　すごいんだよ。道が。
　じゃ、後でついたら電話するから。」

‥‥。
出発前から嫌な予感。
そういうことを見越して
30分早めにタクシーを予約していた私、さすが。

20分遅れでやってきたタクシー。
おフランスではありがちな、
ボロボロの汚い車体に、
運転手のムッシューの
強烈な体臭がたちこめる車内。
座るとなんだかお尻の下がゴツゴツ。
何かと思えば窓拭き用のスプレー。
乱暴な運転で座席横のポケットから
ゴトンと落ちたものは
飲みかけのペットボトル。

ムッシューが遅れてきたため、
さらに夕方の渋滞ラッシュは
どんどんひどくなる一方。
渋滞にイライラする運転手のムッシュー。
いやいや、イライラ心配しちゃうのは
ボク達だから‥‥。
飛行機間に合うかなあ‥‥。

運転席で
「ちくしょうっ。
　くそっ。ざっっけんな。」
的な、
とってもとっても汚い罵り言葉を
言い続けてる。
なんだかとっても感じ悪いんだけど‥‥。

ちょっとでもすいている方にいきたいと
どんどん割り込んで、車線変更を繰り返し、
（→これもおフランスの定番
　「運転あるあるパターン」）
その結果、高速の分岐点で
道を間違えたムッシュー。

一度分岐点で間違えたら、
相当先に行かないとＵターンできない。
また運転席で
「ちっくしょう。くそっ。」って言っている。

それ言いたいの私だから‥‥。
そうこうしているうちに、
パリの北シャルルドゴール空港へ
向かわなくてはいけないのに、
パリの南のオルリー空港の
すぐそばの方まできてしまう。

「ちくしょうっ。
　飛行機は何時なんだ。」
と聞かれ、
「23時すぎのですけれど。」
と言えば
「なんだ。だったら余裕あるな。」
とムッシュー。
う〜ん‥‥。何か違うよね‥‥。

遠回りして遠回りして、
ようやく空港に到着。
決められていた定額料金を払ったら、

「こんな荷物が多いのに
　そんな安いはずがない。」
と文句を言われすったもんだ。
あなたの会社で決められている
定額料金ですし。
「しかも遅れたくせに‥‥。
　道まちがえたくせに‥‥。」
ということは、私はやさしいから、
心の中でぶつぶつ。
こんななのに
チップを渡さなくちゃいけないこの国。
なんだかな〜。

そして10数時間後。
羽田空港に到着したボクたち。
お願いしていた定額タクシー、
ボクたちが思っていた以上に
早く出れてしまったから、
まだちょっと離れた待機場所で
待機中だったんだ。
だからお迎え地点まで来るまで
５分待ったんだよね。

そしたら運転手さん、
本当に申し訳なさそうに、
「お寒い中お待たせしてしまって
　大変申し訳ありませんでした。」
「お疲れ様でした。
　車内、暑かったり寒かったり
　しませんでしょうか。」
ってね、本当に本当に優しいんだよね。

車は綺麗だし、快適だし。
これってついさっきパリで乗ったタクシーと、
ほんとに同じ物体なの？！

道がどういう状況なので
どの道を通って行こうと思いますが
どうでしょうか、
なんていう確認までしてくれるし。
到着したら車の荷物は全部おろしてくれるし。
こちらも手伝おうとすると
感謝されちゃったりするし。
車内に忘れ物がないかなどの点検も怠らないし。
降りた後、
私たちがマンションの入り口に消えるまで
静かに車内からお見送りしてくれているし。

これこそ心から
チップをお支払いしたい‥‥。
24時間の間に２つの正反対サービス。
ある意味どちらも
「驚愕」という言葉が浮かびました。

さて、ボクたちはこれからまたしばらく
日本に滞在するよ！
今週９日（水）から15日（火）までは
京都のタカシマヤで
「ぼわっと」が開催されるよ。
残念ながらボクは
お宿でお留守番らしいんだけどね‥‥泣。

京都から帰ってきたら、
西荻窪のお店と
渋谷ヒカリエの「ぼわっと」を
行ったり来たりする予定だよ。
年末年始、またたくさんの
「ほぼ日ファン」のみなさんに会えるの、
楽しみにしているね！

※この連載を再編集し、
　書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
　こちらをぜひご覧ください！