バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。


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「家はどんどん、
買い替えるもの?!」

 
     
バブー&とのまりこの パリこれ! 住んでみてわかった、パリのあれこれ。
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「家はどんどん、買い替えるもの?!」

バブー

日本で「家を買う」って言ったら
これから長く長く住むことになる
「終のすみか」
を指すことが普通だよね。

ところがフランスでは
「家を買う」と言っても、
決して「終のすみか」的な意味では
ないらしいんだ。

とのまりこ

フランスでは若いカップルが
2人で住むための
アパルトマンを購入した、というのは
わりとよく聞く話。

若いのにすごいなあ‥‥。
一生の買い物をそんな若くに
成し遂げてしまうのかあ‥‥。

と、パリに来たばかりの頃は
感心と羨望の眼差して見ていましたが、
どうやら「一生の買い物」という
概念で購入しているのではないらしい、
ということが、パリに長く住んで
わかってきたこと。

1人目の子供が生まれる、
2人目の子供が生まれて、
また家族が増える。
もしくは
仕事で昇格して役員になり、
給料がものすごく上がった

などの人生の環境が変わるごとに
家を「買い替えて」いく人が、
多いのです。

バブー
パリの不動産。
想像通りめちゃめちゃ高いけれど、
みんなローンを組んで買うよ。


▲街の不動産屋。パリの街にはカフェが多いというイメージがありますが、
負けないくらい多いのが不動産屋さん。
お店のウィンドーにはたくさんの不動産情報が貼って
あってしょっちゅう入れ替わるので、通りすがりに立ち止まって確認する人は多い。

パリは家を借りるのもとても高いから、
同じ10万円払って狭い家に住むなら、
ローンを組んで、
もっと広い持ち家を手に入れたほうが
いいじゃないか、
っていうのが、フランス人の意見。


▲物件情報はこのように、写真とともに値段、広さ、階層、部屋数、中央暖房か個別か、
などの情報が記載されています。

ボクたちも今まで何十回どころか、
何百回、
「そんな家賃を払い続けるなら
早く家を買ったほうがいい」
とアドバイスされたかわからないよ。


▲街を歩いていると、アパートの窓やベランダから掲げられているこのような看板。
絶賛募集中の売り物件や貸し物件に掲げられています。

とのまりこ
パリの不動産は
築年数がたったからと言って
価値が下がりません。
だから、
その不動産を売って次の頭金にして、
次のステージのアパートや家を買い、
また新たにローンを組む。
これを繰り返していくのです。

不動産の価値は、下がるどころか
むしろどんどん上がっていく、イメージ。
どこまで上昇していくのかは
経済学者ではない私が
責任持った発言はできないのですが、
1998年の1平米あたりの平均価格が
約2400ユーロ。
今が約1万ユーロ。
ということは、20年ちょっとで400%超え!!

「10年前に買ったアパートが
今じゃ倍以上で売れるから」というような
発言をよく耳にするのは、
全くもって大げさな話ではないのです‥‥。

築200〜300年という
古いアパートがあちこちにあり、
1960年代に建てられた建物などは
いまだに「近代建築」と言われるほど、
古い古い建物ばかりのパリ。
地震がないという恵まれた環境も
不動産価値が下がらないことに
大きく影響しているんだろうなあ‥‥。

バブー
というわけで、
フランスでは「家を買う」というのは、
人生の各ステージに沿って、
その時に合った物件を買い、
必要に応じて替えていく、というイメージ。

だから、ほんの一例だけど、
「子供が生まれた」というステージで
新たに家を購入する場合は、
学校の学区をまず最優先事項に考えながら
不動産探しをするとか、
「今いるところは学区がよくないから」
と不動産探しを始めるとか。
そんな理由もよく聞くよ。

「終のすみか」を手に入れる、
というイメージの日本とは、
随分違うよね。


▲最近、新居に引っ越した友達からの写真。

 

※この連載を再編集し、
 書き下ろしも入れて新潮文庫になりました。
 こちらをぜひご覧ください!(2015年8月出版)

フランス雑貨のお店オープンしました。
バブーくんは日本滞在時に、お店にいます。

「Boîte」(ぼわっと)
東京都杉並区西荻北4丁目5−24
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2019-10-01-TUE

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illustration:Jérôme Cointre